日用品コンピューティングが目指す3つ目の方向が、コミュニケーションのための道具。
「テレビ電話や電子メールではなく、もっとカジュアルなコミュニケーション。離れて暮らす家族の様子や雰囲気を何となく伝えてくれる道具です」
例えば、博物館のパンフレットがダイニングテープルの上に置いてあれば、おばあちゃんは「ああ、孫が社会見学に行ったんだな」と分かる。が、離れて暮らしていると、そんな毎日のささいな出来事は知りようもないし、孫もわざわざ電話や電子メールで伝えたりはしない。
離れて暮らしている家族の息遣いを伝えるために考案されたのが「Peek-A-Drawer」だ。“ちょっとのぞいてみる引き出し”と名付けられた「Peek-A-Drawer」は、ネットワークでつながった一対の引き出し家具。天板の裏にカメラが取り付けられていて、上段の引き出しにモノを入れて閉めると、これを自動的に撮影。下段の引き出しにはコンピュータと液晶ディスプレイが組み込まれており、送られてきた写真を表示する。
椎尾さんは一つを自宅に、もう片方を名古屋で暮らす母の元に置いて使ってもらったという。半年間で孫と祖母の間でやり取りされた画像は約200枚。この引き出し、特におばあちゃんには好評で、孫が興味を持ちそうな骨董や庭になった花や実、ぬいぐるみなどをキレイにレイアウトして、メモ書きを添えて送ってきたという。
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