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各タクシーにはカーナビモニターとAVM操作表示器を装備する。カーナビは補助的な役割で使用しており、乗務員が経路誘導機能を使うことはまずない。 |
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CTIはNTTの発信者番号通知サービスを利用しているため、当然ながら番号を通知してこない電話に対しては、顧客データベースとの連携が取れない。データベースに登録してある限り、名称検索、住所検索、電話番号検索などさまざまな検索方法によって顧客の位置を特定することはできるが、駅やコンビニの公衆電話からかかってきた場合は電話口で確認するしかない。
携帯電話からの着信の場合も同様だ。データベースに登録済みで、なおかつ本人が自宅にいる場合は位置を特定できるが、外出している場合は、やはり電話口で確認することになる。
もっと難しい問題は、電話番号がそのままで顧客が引っ越してしまったケース。実際、顧客を迎えに行ったはいいが、空き家だったという事例が何度かあったという。対処するにはデータベースに修正を加えるしかない。また、新しい住所表示ができたときは、地図データも変更する必要がある。つまりデータのメンテナンスが欠かせないのだが、それには手間と労力が必要になる。
もちろん、コスト的な問題もある。江ノ島タクシーが導入したシステムの場合、53台のタクシー1台あたりで、約100万円かかったという。タクシーの配車システムは、導入先のニーズに合わせて内容を変更するソリューションとしての提案のため、導入コストは決して安くはない。
さらに飯森さんは、ハードウェアの耐久性にも問題があるという。「確かにカーナビの使用頻度は一般ユーザーの比ではないけれど、車載製品の耐久性・信頼性は、改善の余地がありますね」と話す。
ともあれ、CTI連動型GPS-AVMがタクシーの配車システムを劇的に進化させたことは間違いない。徐々にではあるが、法人単位での導入も進んでいる。ところがこのシステム、不思議なことに東京や大阪のような都心部の法人ではあまり使われていないのだ。
理由は簡単。車の数が多い都心部の場合、顧客の近くには常に何台かのタクシーが走っている。わざわざ効率の良い配車を考えるまでもなく、無線で呼びかけた方が早いのだ。
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CTI連動型GPS-AVMにより、かつては無線による配車センターとのやりとりに神経を集中していた乗務員の負担が大幅に軽減された。効率的な配車は環境汚染防止にも寄与している。 |
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このシステムが最も効率的に機能するのは、適度な人口があり、公共交通の便が今ひとつ、道がやや複雑で、お金持ちの高齢者が多い、といったような地域。江ノ島タクシーの営業エリアがまさしくそれにあたる。
「近頃のタクシーは、呼べばすぐ来るようになったなあ」と感じたことはないだろうか?
その裏にはきっと、このCTI連動型GPS-AVMの存在があるはずだ。最新のタクシー配車システムは、生活に密着した部分でのIT導入が成功した典型例といえるだろう。
取材協力:江ノ島タクシー株式会社(http://www.enoshima-taxi.jp)
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