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かしこい生き方を考える COMZINE BACK NUMBER
地球に優しく美しい エコ・デザイン 益田文和Vol.005:ちびた鉛筆は捨てられない



益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。
1973年東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

1991年

(株)オープンハウスを設立
現在代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している


最近あまり鉛筆を使わなくなった。

シャープペンに取って代わられたのか、そもそも手書きの機会が減ったのか、いずれにしてもオフィスではすっかり影の薄い鉛筆だが、絵を描く時には、今でもなくてはならない道具である。一本で、細くも太くも、濃くも薄くも、硬くも軟らかくも描き分けられる鉛筆は、いわばアイデアの源泉であり、特に日本の鉛筆は描き味が滑らかで、海外のイラストレーターやデザイナーにとっては垂涎の的である。

文章を書く時も、いきなりキーボードに向かうより紙に鉛筆で書き始めたほうが、不思議と気持ちが素直に表わせるようだ。鉛筆は表現力を引き出す道具として改めて見直されても良いのではないか。

鉛筆の軸にはインセンスシダーという北米原産のヒノキ科の木が最適といわれている。最近は集成材や合成木を使った鉛筆もあるが、削るたびに香り立つということはない。いずれにせよ貴重な森林資源を使う以上、最後まで大切に使い切る心構えを持つべきだろう。

というわけで、昔懐かしい補助軸の登場である。今でもちゃんと売っているどころか、昔に比べて種類も増え、進化さえしている。補助軸を変える時に現れる、ちびた鉛筆がなんとも恥ずかしいような、誇らしいような感じだったのを思い出す。

確かに良いものには違いないけど、なんとなく貧乏くさくていやだ、という向きにうってつけの道具がドイツのファーバーカステル社から出ている。創業1761年、鉛筆の元祖の誇りをかけた製品は、鉛筆、消しゴム、補助軸、鉛筆削りが一体になった、その名もパーフェクトペンシルというシリーズ。プラスチック製(3000円)とアルミ製(5000円)があって、なぜか最初から少し短い鉛筆が付いている。一本100円の補助軸に比べると値段は少々張るけれど、これなら結構お洒落。もし、これでもまだケチくさいと言い張るなら、同じ機能で2万5000円のシルバーコーティングから、なんと130万円のホワイトゴールドまで揃っている。さあ、どうします?

問い合わせ先;銀座伊藤屋

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