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地球に優しく美しい エコ・デザイン 益田文和Vol.008:気持ち良く捨てるためのデザイン

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。
1973年東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

1991年

(株)オープンハウスを設立
現在代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している


使い捨ては環境に良くないといっても、使い捨てが悪いということではない。殊に消耗するような物や衛生に関わる物の場合、使い捨てることを前提にしたデザインの工夫が求められる。

どんなに愛する家族や恋人同士でも歯ブラシだけは別々の物を使いたいと、多くの人は思っているようだ。それほど清潔感が大切ということだろうか。また、使い古して毛先の開いたのをそのまま使い続けると、きれいに掃除できないばかりか、歯茎を傷めることにもなりかねないらしい。
出来れば早めに取り替えたいものだが、あのプラスチックの塊をポイポイと捨てるのは気持ち良いものではない。特に最近はグリップが太く、どぎつい色の樹脂を使ったものが欧米のブランドを中心に主流になりつつあるから、なおさらそう思う。

しっかり握って力まかせにゴシゴシ擦っても何とかきれいになるように、ブラシの形や素材を工夫してありますよ、という欧米型のデザインに対し、単純な細身の柄の先に小さめのブラシが付いていて、握るというよりつまむように持ち、力よりテクニックで汚れを落とすというのが日本流の歯ブラシのスタイル。こんなところにも道具に対する考え方の違いが現われている。

無印良品の歯ブラシはPP(ポリプロピレン)の白いフロスト仕上げ。形もとりわけシンプルで清潔感があり、美しい。さらにその上、ブラシが付いたヘッド部と柄が簡単に分離でき、ヘッド部だけ交換できるユニークなデザインだ。ヘッド部の根元には誰の歯ブラシかを見わけるために5色の識別リングが付けられる。バラすとコンパクトになるので携帯用にも片付けるのにも便利だ。
ヘッド部は重量にしてわずか1g。ここまで工夫してこの量なら、消耗したら捨ててもしかたないと思えるだろう。

ナイロン製の替え歯ブラシは先が普通のタイプと先細タイプが選べる。
  取替式歯ブラシ:ふつうタイプ・替ブラシ1個付き180円
             先細タイプ・替ブラシ1個付き250円
  替え歯ブラシ:ふつうタイプ2個入り120円
           先細タイプ2個入り200円
  歯みがきセット:PP製のカップ入380円
  識別リング:シリコンゴム製5個入80円
  歯みがき:1個11g入り3個セット200円

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