一覧に戻る
COMZINE BACK NUMBER
地球に優しく美しい エコ・デザイン 益田文和Vol.009:手もとに置きたくなるモノ

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。
1973年東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

1991年

(株)オープンハウスを設立
現在代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している

優れた機能を持っているとか、高い性能が特長だとかというわけでもないけれど、その存在そのものが魅力的で、つい買って手元に置きたくなるというモノがある。そうした商品は工学的な意味での環境効率や、定量的に評価できる環境性能を持っているわけではなく、数字では計れない意味と価値とを持っている点で一般的な意味でのエコデザインとは一線を画する。

それでも、この電球をつぶしたようなユニークな形のガラスのオブジェは、蛍光灯をリサイクルして作られた立派なエコ・プロダクツなのである。

蛍光管の多くは、寿命がきたり壊れたりして廃棄されると、そのまま埋め立てるなどして捨てられていたが、それでは蛍光管に含まれる有毒物質である水銀が溶け出して土壌や河川の環境を汚染し、動植物に蓄積され、最終的には人の健康を損なう危険がある。

そうした廃蛍光管を集め、水銀の無毒化など適切な処理をした上で、ガラス、蛍光パウダー、金属くずを回収して再生利用している企業(*1)が金沢市にあり、その再生ガラス素材を使ったリサイクルガラス工房(*2)ではガラスブロックやテーブルウエアをはじめ、さまざまなオリジナル製品が作られている。

この電球型をしたペーパーウエートとトレーもそうしたプロセスを経て作られたデスクアクセサリーなのである。アナログラスと名付けられたこれらの製品は、無機質でクールな蛍光灯から再生されたにもかかわらず、人の手によって生み出された柔らかく温かいフォルムとテクスチャーを持っており、デスクを照らす照明や窓から差し込む自然の光を集め、あるいは散らして、表情と変化を生み出すオブジェとして生まれ変わっている。

*1 株式会社サワヤ
*2 スタジオ リライト

Top of the page

月刊誌スタイルで楽しめる『COMZINE』は、暮らしを支える身近なITや、人生を豊かにするヒントが詰まっています。

Copyright © NTT COMWARE CORPORATION 2003-2015

[サイトご利用条件]  [NTTコムウェアのサイトへ]