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地球に優しく美しい エコ・デザイン 益田文和Vol.011:ウイスキーの樽から作られたペン軸

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。
1973年東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

1991年

(株)オープンハウスを設立
現在代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している

ウイスキーの熟成に使われる木は樹齢100年以上のホワイトオーク。深い森でたっぷりと時間をかけて育ったブナ科コナラ属の大木は、組織が均質になるよう柾目板に製材され、樽に生まれ変わる。それから50年以上、中に蓄えたウイスキーの原酒に樽のエキスが溶け出し、抜けきるほどに熟成を重ねる。

やがて、森の精と馥郁(ふくいく)たる香りを琥珀色の液体に移しきって役目を終えたオークは、タガをはずされ蒸されながら、伸び伸びと体を伸ばして元の柾目板へと戻る。生まれてから百数十年、森での生活と蔵での役目を終えたオーク材はそれでもなお、磨かれたような肌理と枯れた味わいを持っている。

この特別の楢材はさらに鮮やかな変身を遂げるため、再び一本一本丁寧に刃物があてられる。あるものは生まれながらに風格を持った不思議な椅子となり、またあるものは堅固なテーブルや棚となって、長い歴史を語り続ける。

その中で、自ら新しい物語を生み出すための道具となったものもある。「ピュアモルト」と呼ばれる三菱鉛筆のボールペンとシャープペンのシリーズは、樽の形を連想させる少し太めの軸が手になじみ、長く手元において使いたいデザインだ。
一方、プレミアム・エディションと呼ばれるシリーズは、特に肌理の細かい材を磨いて黒く染め上げた質感と、つやのある金属とのコントラストが美しい。
どちらにしても、その素材が経てきた「時間の記憶」ゆえに、書くための道具を超えた価値を持っている。

楢材そのものの生地色のほか、ダークブラウンをはじめ、オレンジ、レッド、青みがかったアッシュグレーとフォレストグリーンの全6色から選べる。ボールペン、シャープペンとも一本1,000円。プレミアム・エディション2,000〜5,000円。このほか印鑑もある。

三菱鉛筆株式会社  http://www.mpuni.co.jp/lineup/sharp/puremalt/index.html

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