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地球に優しく美しい エコ・デザイン 益田文和Vol.012:動物の形をした輪ゴム

益田文和(ますだ・ふみかず)プロフィール

1949年

東京生まれ。
1973年東京造形大学デザイン学科卒業

1982年〜88年

INDUSTRAL DESIGN 誌編集長を歴任

1989年

世界デザイン会議ICSID'89 NAGOYA実行委員

1994年

国際デザインフェア'94 NAGOYAプロデューサー

1995年

Tennen Design '95 Kyotoを主催

1991年

(株)オープンハウスを設立
現在代表取締役。近年は特にエコロジカルなデザインの研究と実践をテーマに活動している

なんともかわいらしいことを考えたものである。
輪ゴムの一本一本が動物の輪郭を持っている。
ダチョウ、ゾウ、カバ、カンガルー、キリン、サイ。
それぞれ、ピンク、ブルー、パープル、オレンジ、イエロー、グリーンの色が付いている。
引っ張ればよく伸びて、ただ色がきれいな輪ゴムにしか見えない。

これで小さなブーケの根元を留めてあげよう。
もらった人は気づかずに、はずしてそのままテーブルの上に置くだろう。
するとそこには小さなブルーのゾウと黄色いキリンが現れて…。
いろいろと想像すればそれだけで楽しくなる。

実際、輪ゴムというものは、普段少しも意識しないで使い捨てているし、たまたま残っていても例のゴム色が汚れてみすぼらしくなって、その上じきに劣化するから、引っ張るとすぐ切れてしまう、便利だけれど忌々しいもの、と相場が決まっている。
そんな輪ゴムの一つ一つに心を込めたデザインは捨てる気持ちを起こさせない。

エコデザインといっても様々で、省エネルギーや省資源、リデュース、リユース、リサイクル、エコマテリアルに長寿命、などなど。そして、この輪ゴムのように「気づき」を目的にしたものもエコデザインの一つである。
ゴムはゴムの木から採る天然の素材ではあるが、幹を傷つけられ樹液を採られたゴムの木はやがて枯れてしまう。どんどん採ってどんどん作り、どんどん捨てればそのうち天然ゴムも手に入らなくなる。

「気づき」のエコデザインは、いつの間にか習慣になってしまった使い捨てを考え直す機会を与えてくれる。しかも、少しも押し付けがましいところが無く、楽しくユーモラスな形に言わず語らずメッセージを込めて。

アニマルラバーバンド:シリコンゴム製で透明と不透明がある。

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