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数字で見るインターネット
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あなたのワンタッチがニッポンの未来を変える?!
京都市長選の“本番”に備え、芸舞妓さんも電子投票機で「模擬投票」を体験。
京都市長選の“本番”に備え、芸舞妓さんも電子投票機で「模擬投票」を体験。
画像提供:電子投票普及協業組合



電子投票が街にやってくる!

「どうか、私の名前をタッチして下さい!」
電子投票が普及したら、こんな“お願いの言葉”が選挙時の定番になるかもしれない――。

電子投票とは2002年2月施行の「電子投票特例法」により地方選挙に限って導入が認められた新しい投票方法。その導入に当たっては、有権者が従来と同じように指定された投票所へ出向き、そこに設置された電子投票機を使って票を投じる第1段階、どの投票所からでも投票が可能になる第2段階、インターネットからも投票が行える3段階と、3つのステップが想定されており、現在はまだ第1段階が始まったばかり。これまでの導入数も全国9自治体とまだまだ少ない状況だ。

今回の数字は、その9例目に当たる京都市東山区での電子投票分(1万5343票)の集計に要した時間。これは今年2月8日の京都市長選において、市内で最も人口が少ない東山区でのみ試験的に導入されたもので、集計作業にかかった時間は、投票用紙に手書きした不在者投票分(177票)を含めても22分。前回の57分と比べ大幅に短縮された上、物珍しさも手伝ってか市内最高の投票率というオマケが付く結果となった。

では、どのように投票するのか簡単に紹介しよう。まず有権者は投票所で本人確認を済ませた後、投票用紙の代わりに「投票カード」を受け取る。このカードを電子投票機に差し込むとタッチパネル画面に全候補者一覧が表示されるので、投票したい候補者の名前あるいは「投票しないで終了する」というボタンをタッチ。あとは戻ってきたカードを係員に返却すれば投票終了だ。なお、投票情報はカードではなく、投票機に装着された記憶メディア(東山区ではコンパクトフラッシュ)に保存される。現在は投票所と開票所をオンラインで結ぶことが認められていないため、投票時間終了後、この記憶メディアが各投票所から開票所へ搬送され、開票立会人の下、読み取りと集計作業が行われることになる。

電子投票導入のメリットとしては、まず、これまで多くの人手を必要とした開票作業がなくなり、要員削減と集計時間の短縮が図れること。また、画面上で選ぶだけという簡単操作により、名前の書き間違えや判読できない「疑問票」、立候補者以外の名前が書かれた「無効票」がなくなるほか、障害を持つ人も投票がしやすくなる。例えば視覚障害者は電子投票機に音声案内のヘッドフォンと専用入力端末を付ければ一人で投票できるし、手が不自由な人も画面に軽く触れるだけなら自分で行える可能性が高い。これまで代理人投票を余儀なくされていた人達にとってはまさに朗報だろう。

これだけメリットがあるのになかなか普及が進まないのはなぜか? 一つには昨年、今年と国政選挙が続いていることがあるが、最大の理由は、コストとトラブルへの不安。特に人口が多い自治体ではレンタルする電子投票機の台数が多くなるため出費は数千万単位となり、また台数が増える分だけ故障やトラブルの可能性も多くなる。実際、過去9回の実施の中には全投票機が一時ダウンするなどのトラブルが発生したケースもあり、当面は様子見に徹する姿勢を打ち出した自治体も少なくない。

しかし、いつまでも足踏みしていては、この先ずっと「自書式投票」のまま。この従来からの投票方法は名前が浸透している現職議員や世襲議員に有利なため代議士のセンセイ方の中には愛着がある方も多いようだが、有権者にとっては投票は手軽に済ませられるものが一番だ。
幸い、今年に入って実施された2回はいずれも故障、障害ともにゼロ。この結果を受けて、三重県四日市市が12月の市長選への導入検討を発表している。さらに、超党派の国会議員連盟「電子式投開票システム研究会」では、今夏の参議院選での試験的な電子投票導入を目的に、国政選挙にも電子投票を導入するための法改正を目指す方針を打ち出しており、これが実現すれば全国的な普及への大きな一歩となることは間違いない。

いよいよ本格的な稼動が近付いてきた電子投票。あなたがこれで1票を投じる日も意外と近いのかも?

   

おすすめサイト
【電子投票を詳しく知る】電子投票普及協議組合(http://www.evs-j.com/
【電子投票をデモ体験】京都市東山区役所(http://www.city.kyoto.jp/higasiyama/news/senkyo.html

 
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