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ビジネスに活きる メール道 久米信行:結論→理由→データの三点セット
結論だけでは言葉足らずになることもある!

タイトルとメールの冒頭で「結論」から書くことが、受信箱にあふれている大量のメールの中からメールを開けてもらえる、そして読んでもらう相手に親切だと感じてもらえる早道だというお話をいたしました。

はじめに「結論」を書いた後は、必要に応じて「理由」や「データ」も書きます。きっと、多くのメールは、「結論」だけでも通じるような日程調整、業務連絡の類でしょう。 しかし、時には「新規のご提案」あるいは「お断り」など、ただ結論を伝えるだけでは、カドが立ったり、説明不足となって相手に不快な印象を与えることがあるかもしれません。

そこで、「結論」「理由」「データ」の三点セットが大切なのです。

「新しい提案」をする場合の「結論」「理由」「データ」の例

それでは、新しい提案をする場合の「三点セット」を具体的なケースで考えてみましょう。

まずは「結論」です。これは、なるべく短い文で、簡潔に説明する方が良いでしょう。 メールのタイトルは「貴社の制服にオーガニックコットン製品をお薦めします」。 そして、メールの書き出しで、ごあいさつの後、さっそく「結論」を書きます。

 1)結 論

○○社 総務部長
□□□□様

こんにちは!久米繊維工業/T-GALAXY.COMの久米 信行です。
過日は、ご来社ありがとうございました。
下町のタイ料理がお口にあったようで良かったです。

さて今回お引き合いいただきました、貴社ユニフォームに、 私たちは、無農薬有機栽培のオーガニックコットン製品をお薦めいたします。


そして、その後「理由」を書きます。もちろん、その「推奨理由」は独りよがりなものではなく、お客様のニーズに合っている説明でなければなりません。 専門用語がある場合は、その補足説明もつけた方が良いでしょう。

 2)理 由

それは、ISO14001認証を取得され、エコロジー企業を
目指されている貴社の経営理念や環境方針に合い、
□□様が、いつもおっしゃっている地球に優しい素材を
使いたいというニーズに、ぴったり合った商品だからです。


そして、最後に「データ」や「補足説明」を示します。 この時、外部の信頼できる第三者機関のホームページにリンクすると有効です。メールを長くすることなく、知りたい相手には十分な情報を伝えることができます。 そのリンク先に、会員企業あるいは推奨先として自社名が挙げられていれば、上記のデータを裏付けることにもなり、より信頼していただけるでしょう。
また、提案を後押しする、前向きなデータとあわせて、先方が心配しそうな欠点についても、先回りして示しておくと、親切でしょう。

 3)データ

弊社が使っておりますオーガニックコットンは、
米国テキサス産で、米国と州の農務省の認定を受けたもの、
そしてNPO日本オーガニックコットン協会の認証商品だけを素材に使用いたしております。
3年間、農薬や化学肥料を使わない畑で取れた有機栽培のコットンだと
認証された素材を自社製造いたしました。
 ▼NPO 日本オーガニックコットン協会
  (会員名簿 会員No.*****が弊社です。) 
  http://www.joca.gr.jp/

オーガニックコットンと言いますと、手間暇がかかる分だけ高コストをイメージされると思います。
ご高察の通り、○%ほど割高になります。
しかしながら、その耐久性は、一般製品の○%以上長持ちすると言われております。
 ▼オーガニックコットン製品の耐久性
  http://www.……

また、グリーン調達を心がけている企業は、ユーザーの好感度が○%以上高いという調査結果もございます。
ですから、ユニフォーム選びも、PRの方法次第では、企業イメージを向上させると考えられます。
 ▼ グリーン調達企業のユーザー好感度
 http://www.……


そして、最後にもう一度「結論」を書きましょう。

 1)もう一度結論

ぜひ、貴社のユニフォームにオーガニックコットン製品をご採用いただきますよう、よろしくお願いいたします。
ご不明な点ございましたら、メールでも、電話でも、お気軽にお尋ねくださいませ。


「おことわり」をする場合の「結論」「理由」「データ」の例

おことわりする場合も三点セットの基本は変わりません。 先方のリクエストに応じられない場合には、そのボトルネックとなる障害について、きちんと説明する必要があるでしょう。

 1)結 論

○○社 営業部長
□□□□様

こんにちは!久米繊維工業/T-GALAXY.COMの久米 信行です。
過日は、ご来社ありがとうございました。

さて、先日、ご提案いただきました貴社○○の商品ですが、
残念ながら、不採用に決まりました。
熱心にご提案いただきましたのに、ご期待に応えられず
申し訳ございません。


続けて、その「理由」を書きます

 2)理 由

貴社の商品を採用できませんのは、旧来より取引いたしております
△△社の同等品を長年使い続けているからです。


そして、その理由が、客観的であること、妥当であることを説明するために、 必要であればデータを示します。
場合によっては、その競合する取引先のホームページにリンクすることも有効でしょう。

 3)データ

そして、2つの商品の価格を比較してみましても
  貴社○○    @100円
  □□社同等品  @98円
と、現在使っている商品の方が有利なのです。
 ▼□□社同等品
  http://www.……

こうして、理由とデータを示すことで、先方は、長年の取引先に勝つためには、かなりの値引きをしないといけないことが理解できるでしょう。
また、ライバルのホームページを見て、闘志を燃やすかもしれません。
それでも取引をしたいと思うならば、今度は、さらに思い切った提案メールが届くかもしれません。

最後に本音で「結論」を書きます。

 もう一度結論

もし、貴社が、さらなる価格などを新提案いただけるようでしたら、
再度前向きに検討させていただきます。
どうぞご検討の程よろしくお願いいたします。
ご不明な点ございましたら、メールで、電話で、
お気軽にお尋ねくださいませ。

ただ、あいまいに断るよりも「結論」「理由」「データ」を、簡潔に明確に書いた方が有効だとおわかりいただけるでしょう。


久米信行(くめ・のぶゆき)プロフィール

所属

久米繊維工業株式会社 代表取締役社長

役職

Jentle.co.jp, T−GALAXY.COM プロデューサー

経歴

1963年

東京都墨田区生まれ

1987年

慶應義塾大学 経済学部卒業

1987年

イマジニア株式会社入社
ファミコンゲームソフト「松本亨の株式必勝学」の企画開発・営業

1988年

日興證券株式会社入社
営業開発部でAI資金運用・相続診断システム
「ベストプランナー」の企画開発・研修・推進

1991年

久米繊維工業株式会社入社 代表取締役に就任

1995年

ティーシャツ・ギャラクシー株式会社 設立 代表取締役
(99年にティーギャラクシー・ドット・コム株式会社に社名変更)
異人種交歓メール「縁尋奇妙」配信開始
(97年より日経BP社WEBで連載「久米 信行が集めた経営よもやま話」)

1997年

T-GALAXY.COMサイトで日経インターネットアワード受賞

1999年

日経パソコン「焦点」コラム リレー連載開始

2000年

社団法人 ソフト化経済センター客員研究員
社団法人 東京商工会議所 情報サービス分化会 委員 (現IT推進委員会)

2001年

ALL ABOUT JAPANサイトで、Tシャツガイド
NPO法人 日本オーガニックコットン協会 理事

2002年

eメールマーケティング支援業 株式会社カレン社外取締役
NTTコムウェアのメルマガ・WEBで「メール道」連載開始

2003年

日経アドバンテージで「CSOを育てる」連載開始
日経PC21で「コミュニケーションの極意を学ぶメール道」連載開始

 
イラスト/小湊好治 Top of the page

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