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かしこい生き方を考える COMZINE BACK NUMBER
本文の言葉使いは「ていねいに」
板ばさみ:礼儀がすぎれば慇懃無礼、親しみがすぎれば失礼千万

メールのやりとりでは、相手の顔も声もわかりませんので、ひとつ言葉遣いを間違えますと、心がすれ違ってしまうことも少なくありません。

敬語を使いすぎれば、形式的な礼儀正しさばかりが目立って、よそよそしい印象を与えてしまいますし、かといって、あまりになれなれしいメールを出せば、不快に感じて、おつきあいを拒む先輩諸氏もいらっしゃるかもしれません。
ですから、言葉遣いをどうするか? どれほど敬語を使うべきか? 迷われている方も多いでしょう。

慣れないうちは、実際の対話や電話以上に相手との間合いが取りにくいのが、メールの世界です。

迷ったら「ていねいな話し言葉」

あれこれ悩むより、困った時には「ていねいな話し言葉」でメールを書いてみてはいかがでしょう。これならば、まず失礼はありません。

例えば…
子供の頃からお世話になったご近所さん
学生時代にお世話になった恩師
新人時代にお世話になった上司
と再会して親しく話をしている時の自分をイメージしてみてください。

つまり、ある程度「本音で話せる」けれども、心から尊敬している目上の相手との話し方がいいのです。

「漢字だらけの書き言葉」より、「ひらがなの話し言葉」

同じ敬語でも、手紙でしか使わないような「書き言葉」を使うとどうしても、よそよそしくなります。ましてや、ワープロなしでは書けないような「難しい漢字」が並ぶと、見るからに堅苦しく感じます。

ですから、「ひらがな」を多用した「ていねいな話し言葉」を書くのが良いでしょう。たとえば、メールの冒頭ならば…

 難解な書き言葉

○○○○様

謹啓 時下益々ご清祥の事とお慶び申し上げます。
平素は、ご愛顧賜り有難う御座います。

と書くよりも…

 ていねいな話し言葉

○○○○さん

こんにちは、久米 信行です。ごぶさたしております。
今年の夏は短かったですね。皆さんお変わりありませんか?

と書いた方が親しみやすく、かといって、失礼なほど、なれなれしくはないでしょう?

相手との関係で、気持ちを切り替えてみる

慣れてきたら、相手との関係を見ながら若干「気持ちの切り替え」をしてみると良いでしょう。

基本は「ていねいな話し言葉」であっても、相手との間合いで、微妙な言葉遣い、文面、長さを変えてみるのです。これは、良い気分転換にもなります。
私の場合、ほとんどが、ていねいな話し言葉でのメールですが、公私ともに仲の良い人や、旧知の友人などから、親しみをこめてクダけたメールが届いた時だけ、思い切りラフな(時に乱暴な言葉を使った)メールを書きます。

あとは、親しい人に、ちょっと笑えるようなメールを書くのも、息抜きであると同時に、メールの間合いをつかむトレーニングになりましょう。

メール達人は、年下の人にこそ「敬語」を使う

メールの世界でも「目上」「目下」「年上」「年下」で言葉遣いを変えることがあります。

ていねい語は、目上、年上の人に使うのは当たり前。しかしながら、実は、年下の人に使ってこそ、心に響くのかもしれません。

例えば、ニフティの元常務にしてネットワーク長屋のご隠居、中村 明さんから、日々、私のメールマガジンに対してお礼メールが届きます。これはもう数年以上も続いているのですが、いただくたびに感動します。
中村さんは、私よりも二まわり以上も年上の大先輩ですが、いつでも、宛名は久米 信行様、言葉遣いはていねい、その文面は、親愛の情にあふれています。
しばしばご一緒している勉強会に参加されることに関連して、一文を添えてくださいます。

 中村さんのメール

久米様

暑い日が続いていますが、流石に、夕方になると、
秋の気配を感じますね。
今週の二十九日の会には、参加させて頂きます。
既に、中川さん宛に、参加の通知を致しました。
久々の再会を楽しみにしています。

中村 明

ですから、私も、中村さんを見習って、年下のメール縁者に対しても、なるべく親愛の情と敬意とをこめた言葉を使うように心がけています。

メール達人は、年下の人にこそ「敬語」を使う

その他、相手との関係でわかりやすいものとしては、「社内」「身内」と「社外」の区別がありましょう。

「社内」や「身内」向けのメールについては、「あいさつ」などを省いて、いきなり「本題」ということも少なくありません。これは、お互いに時間を節約するために必要なことです。

しかし、いくら同じ職場、家で顔を突き合わせていてもそこは人間ですから、事務的メールだけでは心が冷えます。ですから、その分、ミーティング、食事時などで顔と顔をつき合わせた時には、温かみのある対話を交わす必要がありましょう。

ここでも「ていねいな話し言葉」をお忘れなきよう!


久米信行(くめ・のぶゆき)プロフィール

1963年

東京都墨田区生まれ

1987年

慶應義塾大学 経済学部卒業

1987年

イマジニア株式会社入社 ファミコンゲーム開発

1988年

日興證券(株)入社 資産運用・相続診断システム開発

1991年

久米繊維工業(株)代表取締役に就任

1995年

ティーシャツ・ギャラクシー(株) 設立 代表取締役
(現ティーギャラクシー・ドット・コム(株))

 

このほか、(社)ソフト化経済センター客員研究員、(社)東京商工会議所 IT推進委員会委員、(株)カレン 社外取締役などを務める。

 
イラスト/小湊好治 Top of the page

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