2003年7月号で親しみがわく『呼びかけ方・名乗り方』について、私が実践している方法をご紹介いたしました。 「メール道」の読者でしたら、ケータイメールに見られるような、宛名も無く、いきなり本文を書く暴挙をしていないと思います。しかし、「メール道」の企業研修でも、「宛名術・呼びかけ術」について、よく質問されることがあります。
・誰を「様」と呼び「さん」と呼ぶか? …その区別の方法 ・いつから親しみを込めて「さん」と呼ぶか? …タイミング
ていねいな手紙調の「書き言葉」と、親しみをこめた「話し言葉」の狭間を行き来する「メール道」では「宛名や呼びかけ」も、悩みの種です。 今回も、古くからのネットワーカー、尊敬するメールの達人が実践している個性豊かな方法を教えていただきました。こうしたものに「これが正解」はありませんが、ご自身のお仕事、メール相手などに合わせて使い分けてください。
パソコン通信時代から、メールに親しんでいるようなネットワーカーは、上下関係の無い「さん」づけで呼び合うのが基本的な礼儀です。 コンサルタントで、NIFTYマーケティングフォーラム運営の経験をお持ちのベテランネットワーカー、平 誠さんは「基本的には『さんづけ』で通して」いらっしゃいます。 あえて肩書きをつける場合は「組織と組織のお付き合い」「肩書きが物を言う」ケースだそうです。裏を返せば、メール歴の長いネットワーカーに肩書きつきの「様」づけで呼ばれて、ていねい語で話されている間は、まだ個人的なお付き合いにまで進展していないと考えた方が良さそうです。
私は基本的には「さんづけ」で押し通しています。
肩書きをつける場合は、組織と組織のお付き合いという面が 出てくる場面ですね。別な言い方をすれば肩書きが物を言う と言うか、仕事をしている場合ですね。
でも通常は○○さんと仕事をしているわけですから、 「さん」付けが良いと思います。
一方で、HITOMI印刷所の人見良行さんは「○○会社 ○○さま」として「基本的に役職は付けない」作法をネット店長として実践されています。 メールのお相手は、面識の無い企業のお客様が中心でしょうから、会社名は必須でしょう。ただし「その人個人へ行くメールアドレスだと思っているので」、特に役職名はつけないそうです。 なるほどと思いましたのは、礼儀正しさと親しさのバランスを取った「平仮名」遣いです。 「様」を使わず、あえて「さま」としたり、文中では「さん」としているバランス感覚を見習いたいものです。
私の場合は、冒頭では、「○○会社 ○○さま」です。
基本的に役職は付けません。 その人個人へ行くメールアドレスだと思っているので...
また、「様」をつかわず、あえて「さま」としています。
私の場合は、メールの相手が「お客様」ですので、 堅苦し過ぎず、礼儀正しく、を目指してこの形になりました。
しかし、文中では、やや身近に感じて欲しいという願いを 込めて、「○○さん」としています。
「様」だと、ていねいだが堅苦しい。「さん」だと、親しみがあるが、馴れ馴れしくもある。この問題の解決は、人さまざまでした。「様」から、ある時、いきなり「さん」に変えるのは勇気が要ります。 そんな時は、コンサルタントの山口憲和さんの解決策が、役に立つでしょう。 「冒頭は○○様、文章中は○○さん」と使い分けるのです。また、お客様にメールを出す場合は、親しい間柄でも冒頭は「様」を使い続けるそうです。
私の基本形として、冒頭は○○様、文章中は○○さん という使い分けをいたします。
冒頭の「様」が「さん」になる方は 一緒にお会いしてとても親しくなった方 だと思います。
お客様の場合はどれだけ親しくなっても 冒頭は「様」を使うようにしています。
いつ、「様」が「さん」に変わるのか? これが難しいです。
やっぱり日本人ですので、年下の方の方が 「さん」になりやすい気はします。
お会いする回数に応じて「さん」になりやすく なる気もいたします。
eメールマーケティングの専門家、カレン社長の山内善行さんは、企業文化とメール作法に関連があるとおっしゃっています。 例えば、同窓生の親しい間であっても、属する企業の文化によって、山内様、山内殿、呼び捨て....メール宛名の作法も変わってしまうのは、半ば、怖くさえあります。相手が所属する企業が、社員同士、役職で呼び合う会社か、さんづけで呼びあう会社かにも、注目してみてください。
私も、標準は、○○さん、○○様です。
でも、久米さんの場合と違って、最初からさん/様で、 それが途中で変わることはあまりない気がします。
組織名を書くことは、まずありません。 役職名も、なるべく(意識して)外すようにしています。 これができるのは、メールならではですね。
呼び名に関しては、やはりその人が勤めている企業の 文化が出ますよね。
それが如実に現れるのが、同窓の友人間の呼びかけです。 立派な企業に勤めている人は、山内様、山内殿を 使うことが多いですし、ベンチャーや外資系で仕事を している人は「山内:」と親近感を込めて 互いに呼び捨てにしています。
───────────────────────────────────────────── 宛名ひとつをとっても、メール相手との関係、メール歴、属する企業文化の違いなど考えながら、 臨機応変に使い分ける必要がありそうです。 何より、メール相手がみなさんに対して使っている宛名がヒントになるでしょう。 達人の作法を参考に、みなさま独自の「宛名術・呼びかけ術」を考えてみてください。
1963年
東京都墨田区生まれ
1987年
慶應義塾大学 経済学部卒業
イマジニア株式会社入社 ファミコンゲーム開発
1988年
日興證券(株)入社 資産運用・相続診断システム開発
1991年
久米繊維工業(株)代表取締役に就任
1995年
ティーシャツ・ギャラクシー(株)設立 代表取締役 (現ティーギャラクシー・ドット・コム(株))
このほか、(社)ソフト化経済センター客員研究員、(社)東京商工会議所 IT推進委員会委員、(株)カレン 社外取締役などを務める。
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