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メールでのアポイントで失敗しない迷惑をかけないための5つの教訓

長くメール道を執筆していてお恥ずかしいのですが、最近、メールで失敗をしました。それは、よくある状況「面談予定のアポイントメント」で、つい最近起きたトラブルです。原因はいずれも、私の初歩的な勘違いや確認ミスによるものでした。メール道の連載で偉そうなことを書きながら、本当にお恥ずかしい限りです。
きっと、メールでアポイントメントを取るのが当たり前になればなるほど、こうしたトラブルが起きやすくなるでしょう。恥を忍んで、私の失敗から教訓を感じ取っていただければ幸いです。

失敗1 日程確認→返信の後で、再確認メールが来なかったのでトラブル
 

ある日、出先で、私の携帯電話が鳴りました。社員からの緊急連絡でした。いつもお世話になっている社会保険労務士の先生が、約束でオフィスに来社されてお待ちとの連絡です。
私はあわてて手帳を確認しましたが、ご来社の予定はありません。先生に電話口に出ていただいたところ「社長から訪問日程確認のメールをいただいたので伺いました」とおっしゃいます。一瞬、血の気が引きました。そして、非礼のお詫びをいたしました。
「あっ!」
私は、そのメールのやりとりを思い出しました。そして失敗の原因も思い当たりました。

 1.先生から日程候補日お尋ねのメールを受信
  私:「2月3日までに打ち合わせの為にお時間いただける日を教えていただけますでしょうか?」
  先方:「2月2日または3日では如何でしょうか?」

 2.私から日程確定のメールを送信
  私:「2月2日16時でお願いします。どうぞよろしくお願いいたします。」

 3.先生とのメールのやりとりはそこでおしまい
 4.私は、手帳にブッキングをしなかった

つまり、アポイントメントが成立したと思った時点が、先生と私とで違っていたため、トラブルになったのです。先生は、私からのメール返信があった時点で「約束成立」だと考え、私は、先生から再確認の「メール」が届いたら「約束成立」だと考えていました。
これまで、私はメールのやりとりのタイムラグの間に「新たな約束」が入ってしまうケースを数多く経験してきました。ですから、先生の返信が届かなかったことを「多忙な先生のことだから、ひょっとしたら私が返信をしている間に予定が埋まってしまったのかもしれない」と早とちりしたのです。そして、パソコンや手帳にはブッキングしないまま、気がつけば面談の日程調整のことさえ忘れてしまったのです。

そこで、3つの教訓を学びました。
 1.日程確認メールの最後に、次の一文を添える
  「もしこの日程でよろしければ念のためご返信ください。」
 2.日程確認メールを自分が送信した時点で仮ブッキング
 3.その後、返信があれば本ブッキング。返信がなければ取り消し

失敗2 日程確認→返信の後で、再確認メールを見落としてトラブル
 

ところが、その3つのことを励行しても、また失敗することがありました。
ある日、心臓が止まりそうな電話がかかってきたのです。それは、私が公私共にお世話になっている大学院の教授からのお電話でした。
「本日11時に、久米さんが私の研究室に来ることになっていたのでは?」
その時は会社で仕事中でしたが、既に時間は11時半です。冷や汗をかきながら、パソコンで日程を確認すると、その予定はありません。
「以前、久米さんからの日程確認メールに、すぐ再確認メールを返信したが」
調べると、確かに2週間近く前に確認メールは出されていました。なぜか、そのメールをうっかり見落としていたのです。本当に赤面です。いくら毎日メールをたくさんいただくといっても、ビジネスパーソンとして、それは言い訳になるはずもありません。
「昨日も再確認メールを送ったが…」
と、更に追い討ちの一言をいただき青ざめました。たしかに再確認メールが、前日の夜中の12時過ぎに配信されていました。残念ながら、12時直前まで自宅でメールチェックをしていた私が、パソコンを閉じた後でした。そして、当日は、土曜日ということもあり、ある朝食会で講演をしていたため、電話をいただくまでメールに気づかなかったのです。

この出来事は次のような経緯になっていました。
 1.先生から日程候補日お尋ねのメールを受信
  「一度デモを見ていただきたいのですが、3月4日(土)あるいは3月3日(金)の夕方はいかがでしょうか。」

 2.私から日程確定のメールを送信
  「3月3日は出版記念パーティでNGですが、3月4日は早朝セミナー講師で10時終了、それが終わってから都内ご指定場所11時ではいかがでしょう。」

 3.先生から再確認メールを受信
  「3月4日11時頃から私の研究室ではいかがでしょうか。」

 4.私が、完全に見落とし

 5.先生から前日に再々確認メールを受信

 6.外出等で私が見落とし

せっかく、再確認、再々確認メールをいただいたとしても、私のようにうっかり見落とす可能性もあるのです。

そこで、先ほどの教訓を少し改定する必要があります。
 1.日程確認メールの最後に、次の一文を添える
  「もしこの日程でよろしければ念のためご返信ください。」
 2.日程確認メールを自分が送信した時点で仮ブッキング
 3.その後、返信があれば本ブッキング
 4.もしも、返信がなければメールを送信者名で検索し、確認メールの見落としを防ぐ
 5.それでも返信がなければ取り消し

三度目の正直 日程確認→返信の後で、電話確認でトラブルを未然に防ぐ
 

似たようなことは重なるもので、昨日、私が最も尊敬している先輩経営者とランチをご一緒するお約束がありました。光栄なことにランチのお誘いを受けて、私が日程候補の中から予定の合う日を返信して、きちんとブッキングをいたしました。

しかし、来る日も来る日も確認メールは届きません。教訓に従って、前日、当日とメールを確認しましたが、やはり再確認メールは届きません。
もし、ここで教訓どおりにするならば「予定は取り消し」となるところです。しかし、当日の朝、ひょっとしたらと思って、先方の社長秘書あてに確認のお電話をいたしました。すると、「社長の予定は特に入っていないが、確認の上お電話をくださる」とのこと。
そして11時ごろ、先輩経営者ご自身から、私の携帯電話にご連絡をいただきました。「予定通りランチをご一緒しましょう!」ということになったのです。ご本人の心の中では「約束成立」していたのです!
おかげさまで同じ失敗を3度繰り返さずに済みました。
ここで教訓を更に追加してまとめてみましよう。

 1.日程確認メールの最後に、次の一文を添える
  「もしこの日程でよろしければ念のためご返信ください。」
 2.日程確認メールを自分が送信した時点で仮ブッキング
 3.その後、返信があれば本ブッキング
 4.もしも、返信がなければメールを検索し、確認メールの見落としを防ぐ
 5.前日までに返信がなければ「お電話」で確認

ここまで気を配れば、どんな要素が重なっても、失礼な約束違反をしないで済むと思いますが、いかがでしょうか?

最後に?メール道を、面談道、電話道、手紙道、ブログ道と共に深める
 

今回の私の失敗例でもおわかりの通り、メールの便利な点が広まると同時に、メールの限界や欠点も明らかになってまいりました。
メールは、面談や電話のようにリアルタイム双方向の対話手段ではありません。ですから、どうしても、タイムラグ、見落とし、お互いの思い違いが起こりやすいのです。だからこそ、面談や電話と組み合わせて、意思疎通を図る必要があります。
また、私の机の上には、最近いただいて感動した筆文字の封書が、ずっと大切に保管されています。メールは直ぐに読み捨てられるのに、素敵な手書きの手紙は「捨てるのがもったいない」のです。メール時代だからこそ、特別なメッセージは「手紙で送りたい、受け取りたい」と思う人が増えるでしょう。
そして、メールはブログと組み合わせることで、更に大きな効果を発揮します。繰り返し受ける質問のお答え、紹介したい商品のことなどは、ブログに書いておいてリンクするのが良いでしょう。写真入り、動画・音楽入りで、説得力十分な上、メールを書く手間も格段に減るはずです。つまり、メール道の先には、面談道、電話道、手紙道、ブログ道など、あらゆる伝達手段を自在に使い分ける「コミュニケーション道」があるのです。
その究極の目的は、縁あって知り合う人たちと「いかに相互理解を深めるか」ということに尽きるでしょう。ジョン・レノン、オノ・ヨーコ夫妻の言葉ではありませんが、正に「完全なコミュニケーション」を求める道を歩みたいと思います。
これからも、皆さんと一緒に、それぞれのやり方で「コミュニケーション道」を深めてまいりたいと思います。

 
久米信行(くめ・のぶゆき)プロフィール

1963年

東京都墨田区生まれ

1987年

慶應義塾大学 経済学部卒業

1987年

イマジニア株式会社入社 ファミコンゲーム開発

1988年

日興證券(株)入社 資産運用・相続診断システム開発

1991年

久米繊維工業(株)代表取締役に就任

1995年

ティーシャツ・ギャラクシー(株)設立 代表取締役
(現ティーギャラクシー・ドット・コム(株))

 

このほか、(社)ソフト化経済センター客員研究員、(社)東京商工会議所 IT推進委員会委員、(株)カレン 社外取締役などを務める。

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イラスト/小湊好治 Top of the page

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