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私のネットライフ  ネットワーカーに本音で聞きたい10の質問 第7回 『今日の雑学+(プラス)』編集長 小橋 昭彦 「私」を磨き、「公」の力に
 
こばし・あきひこ。文筆家。メール情報誌『今日の雑学+(プラス)』編集長。仕事と子育ての「融合」をモットーとし、在宅で3人の子と接しつつ「HOWKS(HomeOfficeWithKidS)」という概念を提唱。兵庫県の山間部でまちおこしに取り組む。主著に『ここまでわかった!? 最新雑学の本』(講談社)。データセクション株式会社代表取締役、CANフォーラム運営委員、地域サイトネットワーク運営委員、関西ブロードバンド株式会社取締役、国際大学GLOCOM客員研究員。

Q1
まずは、お仕事についてご紹介いただけますか?

『今日の雑学+(プラス)』という情報誌を発行しています。ただそれ自体は収入源ではありません。雑誌等への連載を主とした文筆の仕事が第一です。情報社会における人と知のあり方に興味があるので、情報社会学研究や知的生産性向上支援(調査受託や知識検索エンジンの提供)などにも携わっています。
時間的には、「シフトアップかすが」という非営利組織を基盤にした、情報化を通じたまちおこし活動が大きな部分を占めています。「田舎.tv」というウェブサイトの運営が中心ですが、グリーンツーリズム的な活動などにも「情報化」の視点から取り組んでいます。その延長として、「CANフォーラム」や「地域サイトネットワーク」運営委員としての活動があります。

Q2
インターネットとの出会いについて教えて下さい。

昔、友人たちと創作同人誌を発行していました。パソコン通信はそれ以前からやっていたのですが、1994年頃かな、『SFマガジン』(早川書房)誌上で、翻訳家の大森望さんがインターネットについて書かれた文章を読んで、作品の発表に同人誌より向いていると思って。それで1995年に初めて自分のページを作り、1998年になって『今日の雑学+(プラス)』を創刊したという流れです。

かつて作っていた同人誌
小橋昭彦さんが関わっているサイト
『今日の雑学+(プラス)』
ざつがく・どっと・こむ
シフトアップかすが
こころのふるさと 田舎.tv
地域サイトネットワーク
CANフォーラム
マーケティング情報源 4im.net
データセクション株式会社
関西ブロードバンド株式会社
Q3
1日に何通くらいメールをやりとりしますか?その所要時間、特に工夫していることなどありますか?

メールの受信数は、100から200通くらいでしょうか。こちらから送るのはその10分の1くらいです。受信のときは、メールソフトの自動巡回機能を使わないようにしています。メールが届くたびにアラートが出て、思考を妨げられてしまうので。また、最近はスパムやウイルスが多いので、リモート機能を利用してサーバ上で怪しいメールを削除してから、本文をダウンロードするようにしています。純粋にメールそのものを読む時間は、情報誌的なメールならせいぜい1通10秒くらい。個人宛メールはもっとしっかり読みます。
メールの送信は、何度か手を入れてから送ります。とりあえず書いて一度目を読む側の立場で読み返して、誤解を受けそうなところ、誤読されそうなところを補足し、二度目に不要なところや冗長なところを削り、三度目で全体の読みやすさを点検して送信します(気心の知れた相手ならそこまでしませんけれども)。だから送信にはけっこう、時間がかかっていますね。

ある日のタイムスケジュール
04:00 起床
メールの返信。連載原稿の下書き
07:00 朝食
以降、昼食をはさんで原稿執筆
調べものなど
14:30 長男を迎えに幼稚園へ
子どもの相手
メールチェック。読書
17:00 夕食、風呂
19:30 子どもを寝かしつける
20:00 まちおこし関係の会合
23:00 帰宅、読書しつつ就寝


Q4
仕事メールとプライベートメールの区別、整理はどうされていますか?

ものを書くという仕事は、プライベートと分けられないので、メールも明確には分けられません。目的別というか性格別に分けるために、いくつかのメールアドレスを使い、読むときの態度を切り換えています。個人宛のメールは真っ先に、かつしっかり読みますが、情報誌メールは1日とか数日に1度、まとめて流し読みするとか。
整理法としては、メールソフトのフォルダ機能を利用した自動振り分けです。あと、優先度が高いメールは、赤く色をつけて返事を急ぐように心がけるなどしています。最近、それでも返事が遅れることが増えてきたので、やっぱりメールは即返信かなあと思っています。

Q5
ネットで情報を発信、展開されていらっしゃる理由と目的を教えていただけますか?

そもそも自分自身の勉強として身につけたことを、ネットでも公開するようにしたというのが、ことのはじまりです。当初目的の同人誌的なネット利用、つまり自分の作品を公開することは結局していません。その前段階(下調べで得た情報をコラムとして公表したり、役立ちそうなクリップを公開したり)を、とりあえずネットでやっているということです。
そうこうするうちに、読者から得られる反応や、公開という行為そのものにある、自分自身を引き出す力、人と出会う力が貴重な財産になってきました。同じような経験を他の人にもしてもらい、その力を結集して、まちおこしにつなげようと。そういう思いでやっています。

Q6
ご自宅で仕事をされるにあたって、公私を分けてネットを利用されていらっしゃいますか?

明確に分けづらい部分があります。企業内個人によるブログでもそうだと思いますが、「私」を磨くからこそ「公」に貢献できる。まちおこし活動でも、「他の人の喜ぶ顔が見たい」という「私」的欲望を追求する結果、「公」の力になっている気がします。滅私奉公ではなく、活私奉公みたいな。ただ、情報漏洩といった倫理的な面には気をつかっていますし、途中経過で分けづらい以上、最終的な達成目標のマネジメントをしっかりすることは心がけています。

Q7
お使いのPC環境と、ネット環境を教えて下さい。

DELLのタワー型デスクトップ2台でひとつの液晶を共有。1台はバックアップ用です。それから、出張時に利用するノートPCもDELLです。家庭内では有線+無線LANを利用しています。ハンリョ用、親用、子ども用などのパソコンを接続するためです。
ネット環境面ではブロードバンドが最近までなかったのですが、『田舎BB』というADSLサービスを自分たちのグループで始めました。都会と違ってインフラ面ではどうしても遅れがちですが、人のつながりがあるので、携帯でちょっと電話して相談したり来てもらったりというメリットがあります。
田舎って屋外に楽しい情報が多いので、都会より無線が有効と思っています。それで、地域でも無線アンテナつけましょうよと啓蒙しています。登山客に人気のある「三尾山」(標高580メートル)の頂上でも無線ネットが利用できるようにしました。いや、だから何に使えるってものでもないのですが。

三尾山頂で無線利用中の友人
Q8
作業を快適にする工夫や、テクノストレスをためない健康法をお教え下さい。

文筆業とあって、手をいたわる気持ちで、キーボードにこだわっています。あとは適度に屋外に出て山に囲まれてみるとか。
自宅で仕事をするということは、「いつでも仕事ができる」ということなので、「いつも仕事に追われる」環境になりえます。その反面、「いつでも逃避できる」「いつでも外で遊べる」でもあり。ストレスは気の持ちようでしょうか。

使っているキーボード
Q9
愛用、愛読されているWebサイト、メルマガ、ブログを紹介して下さい。

コラムを書くときに利用するサイトという視点で、科学系のネタに出会える情報源系、関連調査や文献入手等に利用する調査系からいくつかご紹介します。

情報源系

 

調査系

 
           
EP : end-point 科学に佇む心と体
(雨崎良未さんのブログ)
  Google  
           
EurekAlert!   Amazon.co.jp  
           
Nature Japan   国立国会図書館
「蔵書検索・申込システム」
 
           
Science Blog   ingenta  
           
Science News   「社会学文献情報データベース」
( 富山大学「日本社会学会」)
 
           
「自然科学系の雑誌一覧」
(自然科学書専門の出版社「裳華房」のサイト)
  Scirus  
           
           

コラムとは関係ないのですが、最近出会って個人的に「!」と思ったものもご紹介します。
   
「社会実情データ図録」( 本川裕さんのホームページ)
 

最近発見したサイトですが、各種の統計をしっかりまとめてあって、便利です。

   
「中毒情報データベース」( 財団法人日本中毒情報センター)
 

以前、子どもが脱酸素剤をなめてしまって、わあ、大丈夫か、とネットで調べていたときに出会ったサイト。探せば専門情報がきちんとあるのだと感動しました。

 

Q10
読者にネットの有効利用へのアドバイスをお願いいたします。

自分で情報を発信してみること。これがいちばんです。

 
 
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