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かしこい生き方を考える COMZINE BACK NUMBER

「えーっと、パスワード何だっけ?」「いっけねー、IDカード置いてきちゃったよ」。こんなトラブルから私たちを解放してくれるのがバイオメトリクスだ。
バイオメトリクスとは、私たちが声や顔で知人・友人を見分けるように、一人ひとりが持つ身体的な特徴や行動様式から本人を確認する技術。「バイオメトリクス(biometrics)」のバイオは生体、メトリクスは測定法という意味だ。

一般に個人認証には3つの方式がある。つまり、パスワードや暗証番号による「記憶」ベースのもの、ICカードや鍵といった「所有」ベースのもの、そして指紋や顔、署名や声などで認証する「バイオメトリクス」というわけだ。
バイオメトリクスには、“なりすまし”や貸し借りが防げる、忘れたり紛失したり盗まれたりしない、偽造が難しい、自然で分かりやすい、いつでも認証できる、などのメリットがある。

現在は、研究所やオフィスの特定の部署の入退出管理に使われることが多く、例えば指紋による認証の場合、入口に取り付けられたセンサーに指を置くと、あらかじめ登録してある指紋データと照合されて本人であるかどうかが確認できるという仕組み。
今後は、電子商取引や電子行政サービスでの身元確認など、高いセキュリティが求められる分野での活用が見込まれている。


「我が社は独創性を追求し、コア・コンピタンスで未来を開いていく」「企業が生き残るためのコア・コンピタンスは二極分化しており……」。
経済誌などでよく目にする「コア・コンピタンス」とは、経営学者のG.ハメルとC.K.プラハラードによって提唱された概念で、「他社に真似出来ない製品やサービスを提供する独自の技術・スキル」のことをいう。ちなみに、コンピタンス(competence)とは英語で「能力」の意味。

G.ハメル、C.K.プラハラードは、その著書『コア・コンピタンス経営―未来への競争戦略』の中で、現状や過去の分析を元にしたリストラやリエンジニアリングでは勝ち残れない。未来において強い競争力を保つには、「コア・コンピタンス」となりうるものは何かを見極め、そこに経営資源を集中して差別化を図ることが有効であると提言している。

海外への生産移転、空洞化の進展など、“もの作り”の危機に直面している産業界。特に日本企業の9割を占める中小企業では厳しい状況が続いているが、なかには“コア・コンピタンス”によって世界にその名を知られる元気な会社もある。

例えば、東京都八王子にある社員268人の「日本分光」。分光とは、モノに光を当て、反射/透過した光をスペクトルという成分に分解し、ここから物質の正体や量、構造を明らかにする技術。同社の分光機器は世界で9割のシェアの占め、2000年ノーベル化学賞受賞の白川英樹氏や01年受賞の野依良治氏の研究にも大いに貢献した。
ノーベル賞といえば、02年受賞の小柴昌俊氏が記憶に新しいが、ニュートリノの観測を可能にした光電子増倍管を作ったのが「浜松ホトニクス」。この分野で世界シェア6割を誇る。

日本復活の条件、それは誰にも真似出来ない新技術・新サービスの開発にあると言えよう。

ある日突然、うちの社長がCEOになった。「CEOだって? ついに我が社も外資導入か」。
国破れて山河あり…と遠い目をするお父さん、それは早とちりというもの。会社の役員人事に執行役員制(オフィサー制)が導入されたのだ。

CEO(Chief Executive Officer)は執行役員制での呼び名であり、最高経営責任者と訳される。職位呼称である会長、社長とは別に、実質的なマネジメント序列の最高位となる。同様に、COO(Chief Operating Officer)は最高執行責任者。一般的にはCEOが会長、COOが社長というケースが多い。

執行役員制は、1997年にソニーが導入してから急速に普及。その背景には日本企業の経営不振、不祥事の多発、株主からの責任追及などがある。
本来、取締役会とは事業の執行をチェックすべきものであるが、多くの日本企業では、事業を執行する人間=チェックする人間であり、責任の所在が明確でなかった。その反省から、取締役会制度の見直しが行われ、執行役員制の導入が進んだというわけだ。
一方、欧米では、事業執行と監督機能が明確に分かれており(人材も別)、株主を代表して経営にモノを言う「社外取締役」も多い(社内取締役はCEOのほか数名)。業績が下がれば当然、「収益が悪いのは誰の責任だ、執行責任者を変えろ」と要求される。

執行役員制を導入したものの、日本では、取締役との兼務であったり、執行役員の権限・義務が明確になっていない場合が多く、今後の課題となっている。


イラスト/小湊好冶 Top of the page

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