一覧に戻る
かしこい生き方を考える COMZINE BACK NUMBER
IRとIr

「アイ・アール」と聞いて、ある人は株式を思い浮かべ、ある人はPDAやケータイを想像する。それぞれの頭の中には「IR」あるいは「Ir」の文字が浮かんでいるだろう。

企業のホームページで見かける「IR」は「Investor Relations」の略で、投資家向け広報のこと。一般的な広報を「PR(Public Relaitons)」と言うが、このうち投資家に的を絞った情報を「IR」と呼んでいる。

昔はこんな言葉なかったけど…。というのも無理ない話で、かつては、投資家向けに情報を提供しようという発想すらなかった。「企業は誰のものか」が問い直され、企業は社員のものではなく「株主のもの」という株価重視の欧米流の考え方に変わり、登場した言葉なのだ。
株主や投資家に対して、投資判断に必要な情報を公開する活動をIR活動と言い、具体的には、決算説明会の開催やアニュアル・レポート(年次報告書)の発行、広告宣伝などの活動を指す。

一方「Ir」は「Infrared(インフラレッド)」の略で、「赤外線の」という意味。
一般に「IrDA」と呼ばれる赤外線通信は、その標準化団体の名称(Infrared Data Association)が転じて、規格の総称となっている。
最近のケータイは、データ通信用のIrDAだけでなく、テレビやビデオで使われている赤外線機能もサポート。これによって、面白い使い方ができるようになった。例えば、ビデオの録画予約。通信経由でダウンロードしたテレビ番組情報を元に、VTR等の録画機器に赤外線で予約情報を送信できるのだ。面倒な録画予約も、これなら簡単!

略語はそのまま覚えてしまえば手っ取り早いが、その意味を知ると、さらに理解が深まる。ちなみに、この季節気になる紫外線を指すUVは「ultraviolet ray」の略。

コンテンツプロバイダー・アイラテが提供する「アプリモコン」の画面。携帯電話の赤外線機能を使って、テレビ番組の録画予約ができる。NTTドコモの505iシリーズ、JフォンのJ-SH53に対応。

画像提供:株式会社アイラテ
地産地消
image photo

地産地消――何となく、字面から想像できる言葉だ。
「地産地消」とは「地域生産−地域消費」の略で、消費者側からすれば、地元で生産された農林水産物を食べる(消費する)こと。生産者にとっては、消費者の近くで作るということになる。

そもそも「地産地消」は、東京大学名誉教授・木村尚三郎氏の言葉であり、氏はフランスが人口をはるかに超える観光客(年間約7600万人)を惹き寄せられるのは、その土地で作られたものを使っておいしい料理を安く食べさせるレストランがあるからで、「地産地消」こそが地域起しの要だと言う。

木村氏から発せられた「地産地消」が、ここ数年、農業や地域行政を語る上で一種の流行語となっている背景には、いくつかの理由がある。
まず、BSEや残留農薬などに端を発する食の安全性の問題。誰がどのように作ったかが分かる、顔の見えるものを食べたいというニーズの高まりだ。
また「地産地消」には、
 1)有機農法など良心的な生産者を支える
 2)健全な農林水産物の生産が地域の環境を守る
といった機能も期待できる。
さらに「地産地消」なら、食料を遠くから運んだり、旬以外の食材を生産するために余分なエネルギーを使わずに済むので、地球にも優しい。

日本各地の珍品のお取り寄せも楽しいが、実は地元の人が普通に食べているものにこそ、旨いものが隠れているのかもしれない。本当のグルメは「地産地消」を選ぶ!?

役不足

本題の「役不足」に入る前に、小手調べといこう。
【問題1】「情けは人のためならず」の意味は?
 (1)人には情けをかけろ(=親切にしなさい)
 (2)人には情けをかけるな(=余計な親切はその人のためにならない)
【問題2】「袖すり合うも“たしょう”の縁」。この「たしょう」に当たる漢字は?
 (1)多少
 (2)多生

“歌は世に連れ”というが、言葉にもその言葉が生まれる時代背景がある。
役不足――。今なら「この度、××会の事務局長を拝命いたしました。私では役不足と存じますが、精一杯頑張ります」と使ったりすることが多いだろう。
しかし、この言葉、もともとは歌舞伎用語で、当人の力量に対し舞台での役が不相応に軽いことを表す言葉だった(※)つまり「えっ、主役じゃないの? 父親役なんてオレには役不足だよ!」というのがもともとの使い方。
よって、へりくだるのであれば「役不足」ではなく「力不足」という表現が正しい。

さて、小手調べのタネ明かし。
1問目の「情けは人のためならず」は(1)が正解。情けを他人にかけることは、その人のためではなく、巡り巡って自分にも善い報いがくる。だから、人には親切にしなさい、というのが本来の意味。
2問目は「袖すり合うも多生の縁」で(2)が正解。見知らぬ人と袖が少し触れ合うだけの出会いでさえ、多くの生を経る間に結ばれた因縁があったから。このご縁を大切にしましょう、という意味の仏教用語だ。

このサイトが皆さんのお目に留まったのも「多生の縁」。末長くよろしくお願いします。

※参考:『ことばの花道―暮らしの中の芸能語』赤坂治績著、ちくま新書

イラスト/小湊好冶 Top of the page

月刊誌スタイルで楽しめる『COMZINE』は、暮らしを支える身近なITや、人生を豊かにするヒントが詰まっています。

Copyright © NTT COMWARE CORPORATION 2003-2015

[サイトご利用条件]  [NTTコムウェアのサイトへ]