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タグ

値札をプライス・タグと言うように、「タグ(tag)」は荷札、付箋という意味。最近はタグと聞くと「HTMLソースの中にある半角カッコ〈 〉で括られてる、アレね!」と、HTMLタグを連想する人も多いだろう。

ところで、今一番旬な“タグ”と言えば「電子荷札」。日本語で書くとかえって訳が分からなくなるかもしれないが、一般に「ICタグ」「無線タグ」と呼ばれているものだ。
この「ICタグ」には、RFID(Radio Frequency IDentification System)という無線通信を使った識別技術が使われており、タグ自体はICチップとアンテナで構成されている。仕組みは、JR東日本の「Suica」などの非接触型ICカードとほぼ同じで、ICタグを読み取り機に近付けてデータ(ID)を送信する(図参照)。

ICタグは、しばしば「次世代バーコード」と言われるが、それは次のようなメリットがあるからだ。
・バーコードが約20バイトなのに対し、64〜数百バイトとデータ量が大きい。
・詳細情報を必要な時点で書き込め、混在読み取り機能もある。
・読み取り距離は1メートル程度、対象物が動いていても認識できる。
・透過性があるため、ダンボール箱に入っていても開封せずに確認できる。
・汚れやホコリなどの影響を受けにくい。
・印刷するバーコードと違い、偽造が難しくセキュリティも高い。
一方、価格は数円のバーコードに対し、ICタグは数百円〜数千円と高く、これが普及のネックとなっている。

そんなICタグの注目製品が、日立製作所の「ミューチップ」。0.4ミリ角の世界最小クラスのICチップで、2005年3月25日から開催される愛知万博の入場券に採用される。このミューチップはアンテナ外付けだが、今年の9月にはアンテナ内蔵型も発表された。これが製品化されれば、有価証券の偽造防止、食品のトレーサビリティ、伝票に埋め込んで物流管理の自動化を図るなど、さまざまな分野での応用が期待できる。

米粒よりはるかに小さい、日立製作所の「ミューチップ」。
画像提供:日立製作所

千六本  

携帯電話のコマーシャルに、娘がテレビ電話で「千六本」の意味を母親に尋ねる、というシーンがあった。最近、料理は好きだけれど、料理本に書いてある用語の意味が分からない人が増えているそうだ。ベターホーム協会の調査によると「千六本」の意味が分かった人はわずか6%だったと言う(※)。

千六本とは、料理用語で大根を千切りにすること。1006本だから、さぞかし細いのだろうと思いがちだが、これは勘違い。昔、中国では大根を「蘿葡(ろふ)」と呼び、これを細かく切ることを「繊蘿葡(せんろふ)」と言っていた。この言葉が日本に入ってきて、「せんろふ」「せんろうぽ」「せんろっぽん」と変化したのだ。

「千六本」は中国から伝わった言葉だが、日本の料理にも故事来歴や産地名にちなんだ料理名がある。例えば、「信田(しのだ)」「利久」「有馬」。
信田卵、信田巻、いわしの利久焼き、茄子の利久煮。そして、サンマの有馬煮といった料理があり、それぞれに共通して使われる食材があるのだが、ご存じだろうか?

では、答えを。「信田」は油揚げを使った料理で、これは大阪府和泉市・信田の森での猟師とキツネの説話(後に浄瑠璃、歌舞伎にもなる)に基づいている。
「利久」は茶道の千利休のこと。信楽茶碗で長石のはぜた跡がごま粒に見えるものがあるが、この景色を「胡麻」と言う。ここから、胡麻→茶碗→利休となり、ごまを使った料理に「利久」という名前が使われるようになった。
そして「有馬」は実山椒を使う料理のこと。兵庫県・有馬が山椒の産地であったことから、この名前が付いた。

このほか、能にちなんだ「松風」=ケシの実など、先人達は料理の名前一つにも風雅な趣向を凝らしてきた。そんな文化的背景を知ると、料理がもっと美味しくなる?!

※2003年3月、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の同協会の料理教室に通う女性323人(20代:77%、30代23%)に調査した結果。

OKとNo

「この件、OKです。進めて下さい」。何気なく使っているこの「OK」って、何の略?
「バック、オーライ」や「結果オーライ」のオーライは「all right」でしょ、じゃあOKは???

OKの語源については、諸説あるようだ。例えば、アメリカ合衆国大統領Andrew Jacksonが、書類を承認する時に「All Correct」と書くところを、発音通りに「Oll Korrect」と綴り、それが「OK」の語源になったという説。あるいは、北米インディアンの言葉で、「It is so.」を意味する「okeh」からとする説……。
なかでも有力なのが、第8代米国大統領Martin Van Burenを支持する民主党の一派が1840年に組織したO.K.Clubが起源であるという説だ。この支持クラブの名前「O.K.」は、彼の出身地である「Old Kinderhook」の頭文字をとっており、これがニックネームとなって、人々が“OK、OK”とかけ声をかけ始めたと言うのだ。
ちなみに、OKは「He O.K.'d it.(=彼は承認した)」と言うように動詞としても使われる。

では、もう一つの「No.」はどうだろう。数字を表わす「Number」を、どうして「No.」と綴るのか。略したら「Nu」ではないのか? No.は実は英語の略ではなく、ラテン語で数を意味する言葉「Numero(ヌメロー)」の省略形。Numeroの始めと終わりの2文字を取っているのだ。

2つの言葉ともあまりになじみすぎていてあえて辞書を引く気にならない単語だが、少し大きな辞書には両方とも出ている。秋の夜長、つれづれに辞書を“読んでみる”と意外な発見があって面白い。では、ここで問題。みんなが乗る「バス」は何の略? 答えは編集後記で!



イラスト/小湊好冶 Top of the page

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