「えっ、今ごろマニフェスト!?」という声も聞こえてきそうだが、この言葉、あるところでは10年以上前から使われている。
それが産業廃棄物処理業界で、ここでいうマニフェストとは「産業廃棄物管理票」のこと。ここに産業廃棄物の名称や数量、委託先などを記載し、産廃の排出・運搬・処理を確認・管理する。
不法投棄防止、産廃の適正処理を目的に制定された「産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(通称:廃棄物処理法)12条では、排出事業者にマニフェストの発行・確認・保管を、収集運搬・処理業者にマニフェストによる運搬処理報告と伝票保管などを義務付けている。マニフェスト不交付や虚偽の記載・登録などに対しては罰則があり、不法投棄など不適正な処理が発生した際には、排出事業者にも現状回復のための措置命令が出される場合もある。
ところが現実には、悪質業者による管理票の偽造や焼却といった事件が後を絶たない。ある地域では、最終処分場の印鑑を押した管理票が売られるといった由々しき事態も。
マニフェストには、複写式伝票を使用した紙の管理票と電子マニフェストがあるが、紙は偽造・焼却されたり、不法投棄で排出事業者の責任を追及する際に膨大な事務作業を伴うなどの難点がある。環境省は、電子マニフェストの普及拡大を図り、普及率が一定水準に達した段階で「大量に産廃を出す排出事業者や感染性の医療廃棄物などに限定し、電子マニフェストの導入義務化を検討する可能性がある」としている。
昨年11月の総選挙で大流行した政権公約という意味のマニフェストは「manifesto」と綴り、イタリア語経由で入ってきた英語。一方、産業廃棄物管理票のマニフェストは、語尾に「o」のない「manifest」と綴る。綴りは違うが、どちらのマニフェストも事後のチェックが何よりも大切!?
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