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燃料電池

燃料電池と聞いて、皆さんはどのようなモノを思い浮かべるだろうか。おなじみの乾電池を想像する人も多いのでは? 燃料電池は「電池」と名前が付いているものの、実際には発電機(発電装置)のようなもの。
その原理は、中学のころ理科で実験した「水の電気分解」の逆で、水素と酸素を電気化学反応させて電気を作り出す。発電に必要な酸素は空気中から取り込むが、水素は燃料電池の種類によって原料(都市ガスやLGP、メタノールなど)や取り出し方が異なる。

「使い続けられる」「クリーン」「発電効率がいい」「静か」などの利点を持ち、次世代エネルギー源として注目を集める燃料電池だが、その歴史は意外に古い。今から約200年前、1801年にイギリスのデービー卿が原理を発明、39年には物理学者ウィリアム・ロバート・グローブ卿が発電実験に成功した。画期的な発明であったにもかかわらず、それから100年以上も歴史の舞台から姿を消し、実用化が始まったのは1952年になってから。その後、米航空宇宙局NASAがアポロ計画に固体高分子型燃料電池を使用したことで、世界的に脚光を浴びるようになった。65年にジェミニ5号に搭載され、69年にはアポロ宇宙船で月へも行った。

現在、燃料電池は、家庭用の発電装置、燃料電池自動車、モバイル用の電源として開発が進められているが、私達が普通に使えるようになるには、まだ多くの課題が残されている。例えば、トヨタやホンダが開発している燃料電池自動車でいえば、航続距離や低温で凍ってしまう水の取り扱い、水素ステーションなどのインフラ整備。家庭用の箱型パッケージタイプのものなら、コストダウン(販売目標価格:50万円/1kW)や発電性能・耐久性の向上だ。
そして、ノートPCや携帯電話などモバイル機器用でいえば、小型軽量化や発電効率、交換用メタノールカートリッジの供給体制が課題となっている。理論上、現行のリチウムイオン電池の10倍の駆動時間を実現できるといわれる燃料電池。モバイラーにとって、次世代バッテリへの期待は高い。

家庭用の固体高分子形燃料電池
家庭用の固体高分子形燃料電池
(PEFC=Pol
ymer Electrolyte Fuel Cell)
水素は都市ガスやLPGから取り出す。右の背の高い装置は、排熱を回収して作った温水を貯めておく貯湯槽。発電と給湯が同時にできるのがメリット。
写真提供:社団法人日本ガス協会
ノートPC直結タイプの「ダイレクトメタノール型燃料電池」
手のひらサイズの小型燃料電池「モバイル情報機器用ダイレクトメタノール型燃料電池」 株式会社東芝が開発したモバイル機器向けの燃料電池で、燃料はメタノールを使う。写真上はノートPC直結タイプの「ダイレクトメタノール型燃料電池」、写真左は手のひらサイズの小型燃料電池「モバイル情報機器用ダイレクトメタノール型燃料電池」。それぞれ04年、05年に製品化を目指す。
写真提供:株式会社東芝
マニフェスト  
マニフェスト制度の仕組み
  工場・事業所(排出事業者)から出た産廃は、収集運搬業者 → 中間処理業者 → 収集運搬業者 → 最終処分業者のルートで流れる。排出・運搬・処理の流れを確認・管理するのが「マニフェスト」。

「えっ、今ごろマニフェスト!?」という声も聞こえてきそうだが、この言葉、あるところでは10年以上前から使われている。
それが産業廃棄物処理業界で、ここでいうマニフェストとは「産業廃棄物管理票」のこと。ここに産業廃棄物の名称や数量、委託先などを記載し、産廃の排出・運搬・処理を確認・管理する。

不法投棄防止、産廃の適正処理を目的に制定された「産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(通称:廃棄物処理法)12条では、排出事業者にマニフェストの発行・確認・保管を、収集運搬・処理業者にマニフェストによる運搬処理報告と伝票保管などを義務付けている。マニフェスト不交付や虚偽の記載・登録などに対しては罰則があり、不法投棄など不適正な処理が発生した際には、排出事業者にも現状回復のための措置命令が出される場合もある。

ところが現実には、悪質業者による管理票の偽造や焼却といった事件が後を絶たない。ある地域では、最終処分場の印鑑を押した管理票が売られるといった由々しき事態も。
マニフェストには、複写式伝票を使用した紙の管理票と電子マニフェストがあるが、紙は偽造・焼却されたり、不法投棄で排出事業者の責任を追及する際に膨大な事務作業を伴うなどの難点がある。環境省は、電子マニフェストの普及拡大を図り、普及率が一定水準に達した段階で「大量に産廃を出す排出事業者や感染性の医療廃棄物などに限定し、電子マニフェストの導入義務化を検討する可能性がある」としている。

昨年11月の総選挙で大流行した政権公約という意味のマニフェストは「manifesto」と綴り、イタリア語経由で入ってきた英語。一方、産業廃棄物管理票のマニフェストは、語尾に「o」のない「manifest」と綴る。綴りは違うが、どちらのマニフェストも事後のチェックが何よりも大切!?

「電子マニフェスト」、排出業者用のマニフェスト情報登録画面 「電子マニフェスト」、排出業者用のマニフェスト情報登録画面。
情報・画像提供:財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター 情報処理センター
シャーペンとカッター
早川徳次氏と、氏が発明した「早川式繰出鉛筆」
  シャープ株式会社の創業者である早川徳次氏と、氏が発明した「早川式繰出鉛筆」。
情報・写真提供:シャープ株式会社


今や小学生でさえ持っているシャープペンシル。この筆記具をなぜシャープペンシルと呼ぶの? ヒントは液晶の世界的メーカー。
そう、シャープ株式会社に由来するのだ。正確にいえば、シャープペンシルから、現在のシャープという社名が生まれた。創業者・早川徳次氏は、1915(大正4)年、世界に先駆けて独創的な芯の繰り出し装置「早川式繰出鉛筆」を発明。発売当初は軸が金属(ニッケル)だったため「冬に冷たい」「和服には向かない」と不評だったが、欧米で大ヒットし貿易会社から大量に注文が入ったことで国内でも火が付く。名称は「エバー・レディー・シャープペンシル(常備芯尖鉛筆)」、これが後にシャープペンシルとなったというわけだ。

そして、カッター。今回ご紹介するカッターは文房具ではなく、男性の皆さんが学生服の下に着ていたシャツのこと。カッターシャツという呼び方は関西地方では一般的だが、関東ではYシャツと呼ぶことが多いようだ。が、なぜシャツに“カッター”という名前が付いたのか?
実は、命名者がいた。スポーツ用品のミズノ株式会社の創業者・水野利八氏だ。カッターシャツはもとはミズノが売り出した運動用シャツで、そのネーミングは「勝った! 勝った!」という歓呼の言葉からヒントを得たもの。
ミズノは18(大正7)年、カッターシャツの他に、オーバースエーターやボストンバッグ、ランパン、ポロシャツなど、独自のネーミングを付けたアイデア商品を発売している。

一企業の商品名が後に一般名称になった例は他にもあり、「ニッポン・ロングセラー考」6月号でご紹介した亀の子束子、セロテープ、ホチキスなどだ。

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燃料電池ってどんな電池? マニフェストは事後チェックが大切! 大正生まれのシャーペンとカッター

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