最初の「侃々諤々」はどの担当も正論を吐いて譲らない様をいい、次の「喧々囂々」は口やかましく言い立ててうるさい様子を表現している。
「侃」という漢字には、川の水が流れてやまぬように信を尽くしてやまぬこと、「諤」には憚らず正しいことを言う、直言するという意味がある。一方、喧々囂々の「喧」は多くの声、「囂」は頭から湯気をたてて怒り叫ぶという意味の漢字。
ということで、「侃々諤々」と議論していた時は、大声を出して騒ぎたてる状態ではなかったということになる。
漢字の意味を知れば使い分けられそうだが、何分にも語感が似ていて紛らわしい。辞書の中には、「喧々諤々」という項目を設け、喧々囂々と侃々諤々が混用された言葉と紹介しているものもある。
言葉は生きものというが、そのうちに「喧々諤々」の方が一般的になってしまうかもしれない。その時の意味は、口やかましく正しいことを言う――、そんな言葉があってもいいような気もするが……。
※参考文献:角川漢和中辞典(角川書店)、広辞苑(岩波書店)
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