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タカアシガニの水槽の前で、その脱皮映像を確認。この映像は撮影成功までに2年もかかったとのことで、世界的に見ても貴重な映像だ。 |
ところで、いくらシステムが優秀なものであったとしても、それを使って観られる映像がつまらないというのではまるで意味がない。今回のイベントで観ることができた映像は20本にも上るのだが、そのどれもが生き物の興味深い姿や行動を写したものであり、映像を観る事でその生き物への興味がわいてくるものばかりだ。「不思議な姿!」とか「面白い行動!」という感想から、「どうしてこんな姿に?」とか「なぜこんな行動を?」という気持ちにつながるのだ。子供の興味を高めるのに役立つことはもちろん、大人の知的好奇心をも満たしてくれることは間違いない。
「生き物が日常的に見せてくれている姿・行動というのは、それぞれに面白いものなんです。私たちはそれをお客様に見ていただいて、生き物への関心を高めていただきたいと思っているのですが、残念ながらお客様が面白い場面に出会える機会は限られてしまっています。
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新江ノ島水族館
企画・広報グループ 広報チームの三縄和彦さん。これまでに数多くの貴重な映像の撮影に成功している人物だ。 |
それを何とかしたいという思いが、今回の試みのきっかけのひとつなんです。生物の貴重な姿や行動を写した映像で知識を得た上で、更に実際の生き物を間近で見て確かめてもらえれば嬉しいですね」(新江ノ島水族館企画・広報グループ 広報チーム 三縄和彦さん)
生き物の行動が面白いといっても、それが水族館に行けば常に観られるとは限らない。一日のうちの深夜にしか観られない行動もあるだろうし、半年に1回とか数年に1回というようなものもあるからだ。例えば、今回のイベントで使われた中にある「タカアシガニの脱皮する様子」の映像というのは、撮影に成功するまでに2年もの月日が費やされている。また、同じくイベントで観ることのできた「瓶に閉じ込められたマダコがフタを開けて脱出する様子」というのは、
来場者が常に観られる生態ではない。生態展示は難しく、マダコはフタも開けず瓶に入ったままでじっとしている、ということもあるからだ。
ちなみに、新江ノ島水族館が所有する生物の貴重な姿や行動を写した映像の全ては、三縄さんがさまざまなスタッフの協力を得て撮影したものだ。広報の撮影業務のなかでコツコツと撮りためたもので、現在、その総数は編集したもので60本以上。そのような映像を撮影する専門のスタッフがいるのは日本の水族館では珍しいことだそうで、世界的に見ても貴重な映像もあるとのことだ。これらは新江ノ島水族館のウェブサイトでも公開されている。
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新江ノ島水族館のウェブサイトでは、これまでに撮影された生物の映像が「えのすいショートムービー」として公開されている。 |
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