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クレール平田の外観。場所は名神高速道路岐阜羽島ICから約10km。 |
岐阜県の最南端に位置する海津市。市東部を南北に流れる長良川の堤防沿いに、「道の駅 クレール平田」はある。外観はちょっとおしゃれなペンション風。緑豊かな周囲の風景によく似合っている。中に入ると、建物の中央にお目当ての農産物直売所があった。案内してくれたのは駅長の堀文雄さん。駅長になって丸6年だという。
「クレール平田がオープンしたのは2000年1月。地域振興施設としてレストランと農産物直売所が、情報交流館として道路情報提供室と休憩室があります。直売所の広さは約85平方メートルで、売っているのは野菜がほとんど。ご覧のように毎日賑わっています」
クレール平田ができた時から農産物直売所は同駅の目玉施設だったが、オープンにこぎ着けるまでには大変な苦労があったという。「その辺りは会長さんが詳しいんで」と紹介されたのが、農産物直売所運営協議会会長の吉田香さん。吉田さんによると、この直売所に野菜を出荷している生産者のほとんどが、農業経験のない退職者たちだとか。
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店内の様子。販売されている農産物はほとんどが野菜だが、果物や切り花などもある。 |
「意外でしょう。農家だった私が生産者の代表になったんですが、県からここに農産物直売所を作ると聞いた時は、生産者を集められるかどうか不安でした。農家の人たちはここで野菜が売れるとは思っていなかったんですよ。そこで、退職者を中心に平田町に住むやる気のある30人を集めて運営協議会を作り、農業普及指導員に野菜の作り方を教わったんです」
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駅長の堀文雄さん。 |
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農産物直売所運営協議会会長の吉田香さん。 |
集まったのは、ほとんどが60歳以上の高齢者。1年前からじっくり野菜作りを学び、オープン時は各自が思い思いの野菜を作って出荷した。誰がどんな野菜を作るかは全くの自由。生産者はその日採れた新鮮な野菜を適当な数だけ持ち込み、好きな値段を付けて陳列台に並べた。
「何が売れるのか分からないから、とにかく何でも置いてみようと。最初はそんな気持ちでしたが、オープンしてみるとこれが予想以上に売れましてね(笑)。朝採れたばかりの新鮮な地場野菜ですし、なにせ値段がスーパーの約半値ですから」
クレール平田はオープンしてすぐ、岐阜や愛知の近隣住民にとって欠かせない農産物供給地となった。現在、平日の来客数は平均650人ほどで、休日には約1000人にまで増えるという。そのうち県外からの来客が約4割。生産者の数も、今では134人にまで増えた。
ところが、売れるに従って徐々に問題が表面化してきた。売れる野菜はすぐに売り切れてしまうが、生産者は店頭在庫の状況が分からないので補充ができず、売り切れたまま。また通年を通した販売状況も分からないので、今何が売れているのかという消費者ニーズをつかむことができない。そのため、生産計画も勘に頼るしかなかった。
「これではいけないと思い、オープン1年後に役所の人と一緒に愛媛県内子町の『フレッシュパークからり』に行って勉強したんです」と吉田さん。フレッシュパークからりの農産物直売所では、既にITを導入した効率的な出荷販売システムを構築していた。
「凄いことをやっているなあと感心しました。うちの会員は高齢者が多いから難しい機械は操作できません。でもこのシステムなら、数字さえ打てれば何とかなりそうだった。それで、導入を決めたんです」
クレール平田にも、ほぼ同じIT活用型支援システムが導入されている。システムが稼働したのは2002年7月から。一体どんなシステムなのか?
また、導入によって何がどう変わったのか? |