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東大病院では7台の再来受付機が導入されている。 |
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診察券を入れると、呼出受信機と受診票が発行される。 |
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日本語の文字が表示される呼出受信機。メロディと振動でお知らせ。 |
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受診票には、予約時間や診察科などが表示されている。 |
東大病院が導入している「外来患者案内システム」とは、どういうものだろうか? 簡単にいうと、東大病院は予約制なので患者はあらかじめ、診察時間を予約する。来院すると、外来受付でワイヤレスの呼出受信機が渡される。その受信機には、文字情報が表示され、外来患者はその文字情報に従って、診察室の外待合いや中待合いに移動するというものだ。
具体的には、次のようになる。
1)外来患者は予約時間に来院し、再来受付機に診察券を入れて受付を行い、呼出受信機と受診票を受け取る(初診の患者は、電話で予約し、初診窓口で受付時に、呼出受信機を受け取る)。
2)患者は、病院内のアンテナの範囲内であれば、自由に動き回ることができるので、東大病院内にあるレストランやコンビニ、カフェ、中庭、ベンチなどで待っていることができる。従来のように、満員の待合室にいる必要がないし、空いている場所に移動して、自由に待っていることができる。
3)患者は、自分の順番が来るまで、院内で自由に時間を使うか、外待合で待つ。
4)順番が近づくと診察室の医師が端末を操作する事により、呼出受信機に通知され、予約の順番に従って、該当の患者さんに「該当する診察科の中待合への誘導」を行う。
5)該当する外来患者の呼出受信機は、メロディが鳴るほか、振動することで案内・お知らせをする。
6)続いて、中待合から診察室への患者の誘導は、医師が行う。患者は、診察を受け、各階受付へ呼出受信機を返却。
7)医師の診察後、医師が患者の希望を聞き、次回の診察時間を端末から入力し、次回の予約を行う。
(参考)東大病院「外来受診の流れ」
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/patient/op_07.html
このようなシステムによって、外来患者は待合室で、自分の順番が来るまで「じっと待つ」という束縛から解放される。待合室が満員で座れないこともあるだろうし、そうでなくても窮屈な思いをすることがある。そんなストレスから解放され、カフェやレストランなどでリラックスしながら、自由に時間を過ごせるのだ。結果的に快適な状態で診察を受けることができる。
「しかし現実は、予約した時間通りに、受診できることはほとんどなく、どちらかと言えば、遅れ気味になってしまうのが実情です」
医師としては、わざわざ来てくれる患者さんの話をできる限り聞きたい。かといって、余裕をもったスケジュールにして無駄な時間も作りたくない。となれば、スケジュールが遅れ気味になるのは、仕方がないことだ。むしろ良心的な診察をすればこそ、スケジュール通りにはならないのではないだろうか。
こうした状況は、誰が悪いわけでもなく、患者も理解しなければいけないが、予約時間に遅れが生じると、どうしても苦情が言いたくなるもの。そうした、患者とスケジュールのバッファになるのが、この「外来患者案内システム」なのだ。それは病院からの「多少遅れが生じることもありますが、ゆっくりとリラックスしてお待ちください」というメッセージでもあるだろう。
なお、予約の時間設定は、各診療科によって30分間隔のところもあれば、5分間隔のところもあるなど、さまざまだ。これは、診療科の内容がそれぞれ異なるためだという。
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