「省エネ当番」は、1日1回のバッチ処理でデータのやり取りをしているが、これを更に24時間365日監視し、最高の運転効率を維持し、トラブルを未然に防ぐサービスを提供する「空調設備メンテナンスシステム」が2008年10月から販売された「エアネットII」だ。
「エアネットII」では、遠隔地チューニングの「省エネ当番」の機能に加えて、(1)遠隔地からコントローラを監視し、故障を予知する機能(2)年4回の現地点検と故障時の2時間以内の緊急対応(3)15年間の修理費用無償(4)初期性能からの乖離をレポートする性能検証サポート機能(5)ビル衛生管理法対応点検といったサービスをパッケージしている。
順に説明していこう。
(1)故障の予知
エアコンの故障では、エアコン本体が故障する前に、エアコン本体に付いているサーミスタというセンサーが故障する場合がほとんど。このサーミスタが故障してもエアコン自体は普通に稼働しており、ユーザが気がつくことはほとんどない。ところが、このサーミスタが故障することによって、エアコン本体が異常運転を繰り返し、最終的には本体が故障してしまうという。
そこで事前に、サーミスタの故障を察知し、取り替えてしまえば、エアコン本体は故障しない。しかも、このサーミスタの値段は50円程度なのだという。機器を長持ちさせることが省エネにつながるのは言わずもがなだろう。
「エアコンのコントローラは、パソコン並みの機能を持っており、データを解析すればサーミスタの故障を感知することができます。これを即座に取り替えることで、大きな故障を防ぐことができるのです」
ユーザ側のコントローラは、1台のコントローラで100台のエアコン本体を制御することができる。通常は、定期点検の際に、作業員が持参したパソコンをコントローラにつなぎ、故障を調べる。ところが、「エアネットII」では、コントローラと遠隔地にある「エアネットコントロールセンター」を公衆回線で結ぶことで、データを解析し、本体の故障を予知することができるのだ。
(2)年4回の現地点検と故障時の2時間以内の緊急対応
現地で目視しないと分からないことはもちろんあるが、コントローラ経由での点検は公衆回線によって既に行われているので、短時間で点検を終了することができる。大幅な省力化が図られたわけだ。故障自体がほとんど発生しないのだから、緊急の対応もスムーズに行うことが可能だ。
(3)15年間の修理費用無償
実は「エアネットII」より前に、1993年に遠隔監視の「エアネット」で故障予知を、更に98年には10年間の修理費用無償を実践してきた。サンプル例は少ないが、既に発売から15年の実績があり、ユーザからの要望もあり、オプションで10年を15年に延長することとした。
(4)初期性能からの乖離をレポートする性能検証サポート(コミッショニングサポート)機能
空調設備に関するレポートを必要に応じてWeb配信し、データを「見える化」にすることで、コンサルテーションやサポートを適切に行う。ユーザも自社の空調の実体を知ることで、省エネ化を更に進めたり、空調の改善計画が立てやすくなる。
(5)ビル衛生管理法対応点検
2003年4月に改正施行されたビル衛生管理法に対応し、エアコン室内機の点検、清掃を実施する(オプション)。
こうしたサポートサービスを含んだサービスが「エアネットII」だ。
「適正運転の範囲を越えた場合、その都度遠隔地から無理やり、電源を切ったり温度を下げたりすることも可能なのですが、消し忘れと思ったのに、実は働いている人がいたり、その日は暑がりのお客さまがいたという場合もあるので、こちらから無理に制御することはしていません」
データから見て、消し忘れと思われても、強制的に電源を切ることまではなかなかできないのは、仕方のないところだ。
だが、ユーザの意識を高め、少しでも省エネを推進していこうという意識付けになることは間違いない。
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エアネットIIは、省エネ当番の機能に加え、故障予知、運用改善、性能検証、修理費無償などのサービスをパッケージしたソリューションだ。 |
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