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ITの逆説 パラドックス日記 久米信行 その10 「AV化するほどリモコンが増える」

みなさんのパソコンは地デジ対応になりましたか? パソコンと薄型テレビはつながっていますか? 地デジやBS/CSの受信はアンテナから光ファイバーに換えましたか? パソコンやハードディスクレコーダなどはすべてLAN回線で結ばれていますか?

どうやらパソコンは、日に日にAV機器に近づいているようです。話題の新OS「Windows Vista」対応パソコンのカタログを集めたら「地デジ対応」の新製品がずらり。アップルもテレビにつないで楽しむ新製品「Apple TV」を発売したばかりです。
一方、AV機器の主役ハードディスクレコーダも進化を遂げ、今や予約録画コンピュータを思わせる機能充実ぶりです。もはやLAN回線を通じて、複数台のパソコンに再生画像を送る、外部のハードディスクと連動するなど当たり前。アンテナ代わりにBフレッツの光回線を使う「スカパー!光」なども普及して、テレビとパソコンの、更には電話との境界線がますますあやしげになってきました。10年前には考えられなかった連携です。
しかし、このリモコンの数は何とかならないでしょうか? 明らかにリモコンもボタンの数も増えて「複雑怪奇」で「人に優しくなくなっている」気がします。

わが家のリモコンを数えたら2ケタの大台に

この機会に、わが家のリビングにあるリモコンを数えてみました。
まずは、液晶テレビのリモコン。そして、ハードディスクレコーダーのリモコン。幸いにも、ビデオとDVD録画再生機を兼ね備える3in1型に買い換えたので、リモコンを2つ減らすことに成功しました。しかし、よせばいいのに性能と価格重視でテレビとレコーダーを違うメーカーにしたので完全に連動いたしません。

レコーダーとは別に、ケーブルテレビを見るためのセットトップボックスも並んでいます。もちろんリモコンは別。近日、ケーブルテレビから「スカパー!光」に換える予定ですが、ひとつリモコンが減って、ひとつリモコンが増えるだけ。
恥を忍んで言えば、このたった3つのリモコンさえ私はうまく使いこなせません。つい最近も、全豪オープン決勝の予約録画に失敗して涙を飲んだのです。

テレビのリモコンで入力切換をしてケーブルテレビの画面を表示→ケーブルテレビのリモコンで番組表を表示して放送時間を確認→またテレビのリモコンで入力切換をして、ハードディスクレコーダの画面を表示→ハードディスクレコーダのリモコンで予約登録→ああ、ひと安心。
たったこれだけの作業なのに、数時間にわたってハイビジョン録画されていたのは、なんと「番組表」。シャラポワもウィリアムズも映っていなかったのです。幸か不幸か、わが家のリモコンはこれだけではありません。
映画はスクリーンを下ろして、プロジェクターで見ますので、それを操作するリモコンも必要になります。もちろん、映画をサラウンド音声で楽しむ時にはAVアンプが必要で、リモコンが無ければ、入力切換や音量調節ができません。音楽を聴く時もややこしく、今やiPodのリモコンとAVアンプのリモコンを交互に操作しなくては、好きな曲を楽しむこともできません。

学習型の購入で更にリモコンは増える

さすがに困って複数のリモコンを1台にまとめる学習型リモコンを購入し、チマチマと学習登録。これは便利、ついにリモコン1台でスッキリと思いきや、専用リモコンでないとできない操作も多く、「できない操作」のためにわざわざリモコンを持ち替えるモヤモヤ気分と、リモコンが1台増えただけでした。

しかし、まだAV機器だけならいいのです。よせばいいのに液晶テレビをモニタがわりにしてリビングPCを置こうと計画中。カタログを見ると、どこかで見たようなボタンだらけのリモコンが付属しています。リモコン操作をまた憶えるかと思うとめまいが…。

いっそのこと、パソコンをリモコンがわりにして、AV機器から家電・照明まで全部コントロールできれば便利なはず。パソコンが進化したら、そんな暮らしになると思っていました。しかし、思い起こせば、テレビとビデオしかなかったリモコン2台時代の方が、よっぽどシンプルで平和だったのです。

あ! まだ大切なリモコンを忘れていました。昨年末に2台増えました。それは話題の任天堂ゲーム機Wiiの対戦用リモコンですが…人を幸せにするリモコンなので許しましょう。これで見事10個の大台に乗りました!

久米信行(くめ・のぶゆき)プロフィール

1963年

東京都墨田区生まれ

1987年

慶應義塾大学 経済学部卒業 イマジニア株式会社入社 ファミコンゲーム開発

1988年

日興證券(株)入社 資産運用・相続診断システム開発

1991年

久米繊維工業(株)代表取締役に就任

現在

久米繊維工業(株)代表

受賞歴に日経インターネットアワード、経済産業省IT経営百選。日経パソコン、経営者会報、日経IT-Pro等で連載中。

著書に「メール道」「ブログ道」(共にNTT出版)

イラスト/小湊好治 Top of the page

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