ふと仕事の手を休めて、南の島にある宿泊予定のリゾートホテルのホームページに逃げ込んだ時に「悪魔」からかと思うようなメッセージが目に飛び込んできました。そして、一瞬、目を疑いました。
「全室、無線LAN回線完備」
「インターネット端末貸出サービス」
ああ、余計なお世話も良いところです。ここは駅前のシティホテルやビジネスホテルではないのです。非日常を味わいに出かけるのに、まるで出張先のホテル探しで気にするようなメッセージ。
しかし、心は動きます。
最近は軽い軽いUSBメモリに、ブラウザやメールソフトなどをインストールすることもできます。わざわざノートパソコンを持ち歩く必要はありません。ホテルのパソコンを使って、オフィスや自宅と同じ環境で安全にメールやブログ、SNSのチェックができるのです。
うーん。
時計は深夜の2時。ここで寝て、リゾートでやるか。ガマンして、ここでがんばるか。
何度も何度も心の葛藤を繰り返しました。そして、ようやく出発前日の深夜に、長期休暇前のモロモロの宿題は終わったのです。成田空港からふわっと浮いた瞬間から心が軽くなりました。無事メールやブログの無い世界に旅立つことができました。
ああ、なんと素敵な南の島。毎日が新鮮な発見の楽しい日々。
しかし、げに恐ろしきは、ネットが染みついたココロとカラダ。デジカメを新調したこともあって、美しい景色や面白い光景を次々にパシャパシャ撮っていたのは良かったのですが…。ああ、書きたい。ブログを書きたい。みんなに伝えたい。この感動を。わざわざ、ネットから逃避してここまできたのに、このブログ貧乏症とでもいうべき悲しい性(さが)は、一体なんでしょう。しかし、その禁断症状も治まり、帰る頃にはネットやパソコンが無くとも生きられるところまでにリハビリができたのです。
めでたし、めでたし。
しかし、帰国後待ち構えていたのは…。
わ、メーラーの受信数には見たこともない4桁の数字。もちろん迷惑メールを自動的に排除した後のメール数です。それからの1週間がどれだけ恐ろしい日々だったかは、もうここに書く元気もありません。
ああ、できることなら、今すぐにでも、人知れぬ南の島か、山奥の秘湯に逃げ込みたい。
いや、もしかしたら、今度の休暇にはやはりパソコンを持っていくべきなのか、とまたもや悪魔のささやきが聞こえてきたのでした。