また一方では「年賀状を出す楽しみ」が増えているからこそ「やめられない」と感じる人もいるでしょう。
家庭用デジカメ、パソコン、プリンタの3点セットが進化したおかげで、誰もがスゴイ年賀状を作れるようになったのです。
今や、デジカメは1000万画素時代。メモリもハードディスクも安くなって、ガンガン写真を撮りためてはパソコンにストックできます。まさに「下手な写真も数撮りゃ当たる」です。誰もが海外や国内を旅して回る時代、小さなお子さんのいる「親馬鹿世代」ならずとも年賀状用の写真には事欠きません。年賀状でひそかに自慢したい(?)わけです。
もちろん手描きのイラスト、絵画、書道もデジカメで簡単に年賀状の素材に取り込めます。多趣味な人、習い事をしている人が増えている中で、年賀状は絶好の作品発表機会なのです。おおげさに言うなら年賀状で自己表現。
それなのに年賀状がやめられますか?
あとは、フリーソフトやデジカメ・プリンタのおまけについてきた画像加工ソフトで、ちょっといじれば、独自の年賀状が簡単に作れます。年賀状作成ソフトにあらかじめ大量に用意されたイラスト集と組み合わせても良いでしょう。
これまでなら、こうしたフルカラーの手作り作品をプロに印刷してもらうのは、予算や最少発注数の点で無理がありました。しかし、今なら家庭用の安価なプリンタで十分に高品質な印刷が可能になっています。
日本郵政公社もすかさずインクジェット専用ハガキを出したので、買ってきた年賀ハガキを50枚もご家庭用プリンターにセットしておけば、1時間かからずともキレイに高速印刷できるのです。
昔、木版画で多色刷りの年賀状を何日もかけて作っていた時の苦労を思い返すと、まさに夢のようです。
それなのに年賀状がやめられますか?
毎日のようにメールを交換し、ブログやSNSで顔を合わしている人が増えています。しかし、それとこれとは話が別。どうやら年賀状は年賀状でやめられそうにありません。いや、むしろ、自分のブログやSNSのことを、年賀状を通じて疎遠な友人たちにも知ってもらいたいのです。
これからは、年賀状が減りこそすれ増えそうにはありません。しかし年賀状が無くなることもないでしょう。個人それぞれのパソコンに宛名データベースが残り、自慢したくなる写真や作品が蓄積されている間は、年賀状も出さずにはいられないのです。