一覧に戻る
COMZINE BACK NUMBER
 
写真:林完次/文:林望 小笠原邦彦 林完次 竹内均 高山宏 
角川書店/2625円(税込)

そのタイトル通り、月に関する話を文学、天文学、社会学、人類学、美術などさまざまな分野の専門家が分担執筆し、一冊の本にまとめられている。
海の満潮、干潮が月の引力で起こることはよく知られているが、その月の引力や月の満ち欠けが人体に与える影響、生物界に起こす現象は科学的にはミステリーのままだ。本書はそのミステリーを解き明かすことを目的とせず、その月の不思議を科学が苦手な読者でもページをめくるのが楽しくなるような編集が見事。
「カタツムリは満月の夜は東に、新月の夜には西に向かう」という海洋生物学の話から、日本語の「月」は元々「憑く」という言葉からきているという民族学の話、オリオンとアルテミス(月と狩猟の女神)のギリシア神話、ウサギが登場するのは日本だけではないと知らされるインドとアフリカの民話、ガリレオ・ガリレイから今日に至る月面観測の歴史など、どのページも簡潔にまとめられている。豊富な資料となるテキストと共に、天体写真家、天文作家である林完次氏による写真、図版はまさに「月のパーフェクトガイド」。

   
 
no image
月のひつじ コレクターズ・エディション
DVD販売元:ジェネオン・エンタテインメント/価格4935円(税込)

人類が初めて月に降り立ってから35年。「人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍」の名言とともに、月面を歩くアームストロング船長の姿をとらえたのは、実はオーストラリアの片田舎にある巨大パラボラアンテナだった!
歴史的偉業を世界に中継するためにNASAが白羽の矢を立てたのは、羊しかいないのんびりとした田舎町。かつてない巨大プロジェクトの参加に町の人々はお祭さながら狂喜する。が、中継施設の内部では、地元職員とNASAから派遣されたエリート研究員との間に不穏な空気が流れ、晴れてアポロ11号からの受信に成功したのもつかの間、停電によりアポロの位置を見失うという大ピンチに襲われる。一世一代の名誉ある仕事を前に緊張の日々を過ごす職員たちと、そんな彼らを温かく見守る気のいい町の人々。月に向かうアポロを追跡しながら、同時に人々の悲喜こもごもを包み込むかのように屹然と牧羊地にそびえ立つアンテナ(原題は、「THE DISH(お皿)」)。そのアンテナがついに月面着陸の瞬間をキャッチし、TV画面に現れるとき、静かな感動を呼び起こす。
手軽に月旅行へ行けるような未来を夢見つつ、輝く月夜にはそんな科学の業績を裏で支えた人々に思いを馳せてみてはいかが?

   
 
http://jvsc.jst.go.jp/universe/luna/

独立行政法人・科学技術振興機構(JST)のホームページ「JSTバーチャル科学館」のブロードバンド対応コンテンツ。「デジタルコンテンツグランプリ2002カルチャー部門最優秀作品」であり、アポロ計画を中心にNASAの記録写真や宇宙飛行士、科学者などのインタビューを交えながら、月の起源の謎までを探っていく。
さまざまな映画でも題材として取り上げられているアポロ計画だが、インターネットを利用して月面旅行の映像が簡単に楽しめるのが嬉しい。ムービーは「月をめざして」「アポロ計画から惑星科学へ」「月のミステリー」の3章からなり、各章に10の関連モジュールが用意され、ムービーだけではなく月に関するさまざまなデータや現在研究中のテーマなどが文章で解説される。
クリックして進んでいく内に、学校の授業を受けているような気分になるのも、このサイトの持ち味なのだが、貴重な映像は学生の時に授業で見せられた月よりも、はるかに鮮明で美しいことに驚かされる。
昔、天体望遠鏡を買ったという経験のある人は、窓から本物の月を眺めながら、秋の夜長を楽しむにはピッタリのサイトです。

   
 
  Top of the page

月刊誌スタイルで楽しめる『COMZINE』は、暮らしを支える身近なITや、人生を豊かにするヒントが詰まっています。

Copyright © NTT COMWARE CORPORATION 2003-2015

[サイトご利用条件]  [NTTコムウェアのサイトへ]