一覧に戻る
COMZINE BACK NUMBER
COMZINEエンターテイメント情報 COMZINE PICK UP
Vol.020 お酒
 
BOOK 『酒肴奇譚 語部醸児之酒肴譚』
小泉武夫 著
中公文庫/552円(税抜)

発酵博士としてTV、雑誌、新聞などで八面六臂の活躍を見せる小泉武夫・東京農大農学部教授による酒と肴のうんちく話。福島県の造り酒家に生まれた同氏が、かねてから温めていた諸白醸児(もろはくじょうじ)の名を初めて名乗り、古今東西の酒と肴にまつわる奇々怪々な実話を自らが語り部となって軽妙洒脱に紹介していく。
徳川時代の酒合戦や大正時代の贅を極めた酒宴を、資料を紐解きながら解説。自らの体験による世界の珍酒奇酒巡り、読むだけで鼻腔の奥がヒクヒクする臭い酒の話など、教授らしく学術的解説を交えて、楽しく酒が学べる。
もちろん、うまい肴の作り方や、その肴への酒の合わせ方など、呑んべえにはたまらない配慮がなされ、読んでいる途中で思わず冷蔵庫や収納庫をのぞき込むこと必至。年末に読めば、正月に向けてあれこれ食材を買い込んで、一升瓶を抱いているうちに正月が終わってしまいかねない酒肴、いや趣向。宴席で主役になれる一冊。

   
 
CINEMA 『愛しのタチアナ』
no image
「トータル・カウリスマキ DVD BOXセット」(DISC.2に『白い花びら』と共に収録)
DVD発売元:ビデオメーカー

往年の名優、名画からイメージされたカクテルが数あるように、映画とお酒は不滅の関係。『カサブランカ』のシャンパン・カクテルや、『凱旋門』のカルヴァドス、ジェームズ・ボンドのマティーニのように、映画の人気とともにポピュラーになったお酒も数知れない。男と女のロマンティックな時間を演出したり、友情を育む絆となったり、お酒は名ドラマを生む粋な小道具でもある。
フィンランドの巨匠アキ・カウリスマキの場合は、ウォッカがお約束。酒豪で知られるカウリスマキのこと、映画には必ずといっていい程登場するのだが、この作品では何とボトル一気飲みの男が登場する。しかも、男の相棒はコーヒー中毒。妙なおかしさと哀しみをたたえた40代独身男の二人は、わけもなく車で旅に出、会話らしい会話もなく、ただひたすら一人はウォッカをグビグビ、一人はコーヒーをガブガブとやる。道中、異国の女性二人組が現れ、港まで送ることにするも、不器用な彼らになす術はなく、旅は終始無言、無表情のまま。何もドラマティックなことは起こらず、グビグビ、ガブガブ。が、やがて、ウォッカ男のぎこちない恋心が見えてくる。ちょっとしたしぐさや目配りのドキドキすること! そして、いつの間にか男の手からボトルが消え、意外な結末がやってくる。わずか62分の作品だが、寒い冬の晩にキュッと効くウォッカのような純愛映画だ。

   
 
WEB 『お酒の扉 蔵元青年の会』
http://www.japansake.net/

家業が酒造会社という蔵元の新世代が監修する日本酒のサイト。一時期の大吟醸、吟醸ブームも、ワイン、焼酎に押され気味だが、気軽に日本酒を楽しんでほしいという趣旨から、女性や、普段日本酒を敬遠しがちな人にも分かりやすく日本酒の楽しみ方を紹介している。
「精米歩合とは」「酵母のはなし」「日本酒度って何」「日本酒の種類」など“お酒を知る”ことから、「おいしいお燗」「ラベルの読み方」「お酒と料理の相性」「器で変わるお酒の味」など“お酒を楽しむ”ことまで、見やすいコンテンツで構成されている。料理の紹介では「酒粕入りグラタン」「酒粕入りおでん」など意外な酒粕メニューが提案されており、レシピも分かりやすく実用的。
蔵元青年の会の役員による雑学コラムもあり、「日本酒をチャンポンにすると悪酔いする」という風評の真偽など、知っているようで知らなかったことも。酒造関連のリンクも充実、ページデザインがすっきりしていて、お正月用の日本酒選びの前に知っておきたいサイト。

   
 
  Top of the page

月刊誌スタイルで楽しめる『COMZINE』は、暮らしを支える身近なITや、人生を豊かにするヒントが詰まっています。

Copyright © NTT COMWARE CORPORATION 2003-2015

[サイトご利用条件]  [NTTコムウェアのサイトへ]