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今月のテーマ:「台風」

チャバ、ソングダー、メアリー、マーゴン、トカゲ……。これらはすべて昨年日本に上陸した台風の名前です。特に平成に入って最悪の被害を各地にもたらした「トカゲ(23号)」は、改めて台風の恐ろしさを我々の記憶に刻み込みました。便利になった情報手段ですが、その有効活用は個人に負う部分に多いのが気象です。今月のテーマは「台風」です。


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CINEMA:台風クラブ

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DVD「ディレクターズ・カンパニー名作シリーズ」 4935円(税込)
監督:相米慎二
出演:工藤夕貴/大西結花/三浦友和
発売元/パノラマコミュニケーションズ
販売元/ジェネオン エンタテインメント
台風接近とともに狂気に襲われる中学生たちの青春ドラマ

2001(平成13)年9月9日に肺がんのため夭折した、故相米慎二監督の代表作の一つ。20年も前の作品でありながら、今なお輝きを失わない青春ドラマの傑作である。
東京近郊のある地方都市の中学校。台風の接近とともに、言いようのない感情の昂ぶりを見せる中学生たちは、いよいよ台風が上陸するという日、学校に取り残され騒乱状態に陥る。雨と風が激しさを増すごとに、自分でも説明のつかない感情を爆発させ、アンバランスな身体を持て余す少年少女たち。大人への不信、東京への憧れ、もどかしい恋心やつたない猜疑心、そして思春期独特の危うい破滅願望。遂に台風が頭上を通過するその時、子供たちはすべての感情を一気に吐き出すかのように、暴風雨の中で歌い、踊り狂う。
1シーン1カットの長回しで、子供たちの躍動する肉体をあますところなく、すくい取ってみせる相米スタイルは、常に何かが起こりそうな不穏さに満ちていて心がざわつく。が、そのカメラワークに勝るとも劣らないのが、工藤夕貴ほか中学生役の役者たち。繊細な心の揺れ動きを見事に体現してみせた。
1985(昭和60)年の公開時には、映画の内容もさることながら、それまで清廉潔白な役柄が多かった三浦友和が無責任な大人を演じたことでも話題を呼び、まさに台風さながらのセンセーションを巻き起こした。才人の不在を惜しみつつ、名作を味わいたい。

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BOOK:水害の世紀 −日本列島で何が起こっているのか

頻発する異常気象と水害の危機、日本の水害の実態を紐解く

東京の真夏日が観測史上初の40日間連続記録、年間最多の10個の台風上陸等(共に2004(平成16)年)、近年「異常気象」という言葉を耳にすることが多くなった。しかし気象庁によれば本来異常気象とは「過去30年間に観測されなかったような値を観測した場合」の気象と定義される。その中でも圧倒的に多く発生している異常気象が、洪水被害だという。7月に発売されたばかりの本書は、まさしく「今」の日本における水害の可能性を様々な角度から検証している。
日本の降水量は世界平均の約2倍を誇るという。しかもその大量の雨は梅雨期と台風期に集中して降ることもあり、日本は常に水害の危機と隣合わせであった。古来、治水は治世につながるとも考えられており、本書では今に活かされる先人達の知恵も詳細に紹介されているが、同時に現在の人々の水害への危機意識の低下も厳しく指摘されている。
水害対策には、大きく分けて自分の身は自分で守る自助、近隣の人々と支えあう共助、行政による公助、の三つが求められるという。DIG(Disaster Imagination Game)と呼ばれる災害図上訓練やネット上の洪水ハザードマップの活用法等を始めとして、被災者にならないための工夫も数多く載せられており、水害に代表される自然災害を前にしてもできることが沢山あることを我々に教えてくれる。

BOOK
『水害の世紀 −日本列島で何が起こっているのか』
森野美徳 監修
日経コンストラクション編
発売元:日経BP社/1905円(税別)
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