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DVD『マーズ・アタック!』 11月18日発売980円(税込・期間限定)
監督・製作:ティム・バートン
出演:ジャック・ニコルソン、グレン・クロース、アネット・ベニング、ピアース・ブロスナン、ダニー・デビート他
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ |
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平たい銀色の円盤に乗って突如、地球に現れた火星人。小柄な体に肥大化した頭、そしてお約束のギョロっとした目。一度は思い描いたことのあるステロタイプなビジュアルに、まずは苦笑いするだろう。
本作は、新作『チャーリーとチョコレート工場』が大ヒット中の奇才ティム・バートン監督の1996(平成8)年の作品。よくある宇宙人の地球侵略話でも、バートンの手にかかれば一筋縄ではいかない。パニック映画の定石をなぞらえて、大統領以下マスコミや市民が対応に追われる姿を描くも、どの登場人物もズレまくっているのだ。全く関係のないことに執着していたり、無関心だったり、異常にハイテンションだったり。首脳陣の協議の末、友好的に火星人を出迎えることにしたものの、『E.T.』のような感動的な交流があるはずもなく、到着した彼らは有無を言わさず地球人を襲撃する。ここで「話せばわかる」は通用しない。意味なく容赦なく、殺戮を繰り返す。だが、ご安心を。バートンは、残酷さの微塵も感じさせないキッチュさで大殺戮を描き、どこまでいっても大真面目にB級感を紡ぎ出すのだ。
「上等なお馬鹿映画」とでも呼ぶべきか。ハリウッドきっての一流スタッフ、豪華キャストを揃えながら、あくまでB級に徹する姿勢は従来のSFパニック映画に対する皮肉なメッセージにも思えるし、議論を待たない無闇な暴力は、時として傲慢になりがちな私たち人間の性を見せられているような気もしてくるのだ。けれども、バートンが決して悲観的ではなく、人間に明るい未来を見ていることはラストを見れば明白。思いがけない結末をぜひ楽しんでほしい。 |