|
『クール・ランニング物語 ジャマイカ・ボブスレーチームの軌跡』
著者:ネルソン・クリスチャン・ストークス
訳者:有沢善樹
発行:日本放送協会
価格:1900円(税別) |
|
 |
1988(昭和63)年の「カルガリー冬季オリンピック」に出場したジャマイカ・ボブスレーチームを描いた映画『クール・ランニング』は世界中で大ヒットを記録した。93(平成5)年公開されたこの作品は冬季五輪シーズンになると、TVで再放送されることも多いのでご覧になった方も多いだろう。映画は実際の出来事(伝説のクラッシュに代表される)をもとに描かれたものだが、ドキュメンタリー映画ではなく、笑いあり、感動ありのスポーツヒューマンドラマ。今回取り上げる本書はその映画『クール・ランニング』の原作ではなく、ジャマイカのボブスレーの歴史を描いたノンフィクションで、2002(平成14)年に執筆され、日本では05(平成17)年12月に翻訳本が出版された。
著者は実際にカルガリーオリンピックに出場したジャマイカ・ボブスレーチームの選手。当時の映画化における裏話なども記されているが、全編を貫くのはジャマイカが本気でこの競技に取り組んできた「プロジェクトX」的ドキュメント。カルガリー以降も3度のオリンピックに出場し、現在ジャマイカ・ボブスレー連盟会長を務める著者が描く、ジャマイカという国自体の歴史と、冬季オリンピック各競技の歴史は、新たに知らされることも多い。
メジャースポーツと違って、なかなか解説されることのないウインタースポーツ。ジャマイカを代表するボブ・マーリーの曲の歌詞から始まる本書を読んでから、トリノオリンピックのボブスレー競技を観戦すれば、楽しみ方も少しは変わってくるはずだ。 |