もし、あなたの人生が衆人環視の中で繰り広げられているものだとしたら？　もし、あなたの住む街が誰かによって創られた巨大なロケセットで、あなたの愛する妻や友人も俳優として、あなたにあてがわれた人々だとしたら？
周囲を海で囲まれた離れ小島の町、シーヘブンで暮らすトゥルーマンは、明るく良識ある典型的なアメリカ市民。保険会社のセールスマンとして働き、美しく快活な看護婦の妻や気さくな親友、陽気な隣人に恵まれ、平凡ながら申し分のない生活を送っている。だが、そんな出来すぎの平穏な生活はどことなく不自然で、トゥルーマンは自分がいつもと違う行動を起こすと、とたんに周囲が慌てふためきだすことに不安と疑問を感じ始める。
そう、彼はこの世に生まれついた時から、「トゥルーマン・ショー」というTVドラマの主人公。彼の人生は隠しカメラによって24時間、世界中に放映されていたのだ。自分の生活、自分の妻や友人、自分の全人生が虚構だと知った時、トゥルーマンは現実世界への脱出を図る……。
一見、奇想天外な設定ながら、その実、深いリアリティーに満ちているのは、私たちもまた、自分たちの世論とメディアが生み出す「事実」に、どこか「茶番」の匂いを感じる事があるからかもしれない。だが、トゥルーマンは自力で脱出する。ラスト、ロケセットの出口の前でにっこりと笑うトゥルーマンの姿には、きっと「本物」の勇気と感動を覚えるはずだ。

前作『話を聞かない男、地図が読めない女』は、全世界で33カ国語に翻訳され、42カ国で770万部を超える世界的なベストセラー。日本では第２作の本作を含めるとバーバラ＆アラン・ピーズ著のこのシリーズは累計350万部のセールスを記録している。本書にも記されているように、この手の本の支持者は圧倒的に女性で、男はこういう本を異性からプレゼントされると、自分に対する侮辱だと受け取り、自ら進んでこのシリーズ本を読む男性は、同性のなかで明らかに少数派らしい。しかし、実際に男が読むと、普段家庭のパートナーから言われている事が、世界共通であることにほっとするはずだ。一方、女性から見れば、「熟年離婚」を考えさせられる前に、男に読んで欲しい本なのかもしれない。
本書ではさまざまなケーススタディをもとに、男女の行動や思考の違いを生物学、心理学、統計学さまざまなデータとともに解説されている。そのなかには「西欧諸国では2020年までに、一生結婚しない女性の割合が25％に達する」「女が一日にしゃべる言葉は約6000〜8000語。男は2000〜4000語」など、具体的な数値が上げられており、ビジネス社会でのマネージメント本としての役割を果たしている点も、本書がベストセラーとなった大きな要因だろう。
なぜ男が嘘をつくか？　この問題の答えは本書の後半の章に登場するが、そこから何か「解決策」を求めようとするかどうかが、男と女の大きな違いだということに、書は気付かせてくれる。