一覧に戻る
COMZINE BACK NUMBER
デジカメ散歩
第13回 新しいビジネスの拠点へ「品川」

品川の街が大きく変貌を遂げた。2003年に開業した東海道新幹線品川駅をはじめ、今年4月には巨大な駅ビルも誕生し、平日も多くの人々がこの駅に、この街に降り立っている。
再開発のきっかけは、1984(昭和59)年。旧国鉄の貨物ヤードの跡地を民間企業が取得したことだった。これにより品川駅東口に広がる約8.8ヘクタールの再開発が進められ、歩行者と自動車の動線を分離した都市計画が実現された。
しかし一方で、駅からちょっと足を延ばせば、旧東海道の宿場町だった時代の面影を見つけられるのも「品川」ならでは。今回は、そんな品川の今昔の姿を感じつつ品川駅周辺をそぞろ歩いてみた。

地図を拡大する

品川駅

高輪口と東口とをつなぐ東西自由通路。98(平成10)年に東口に品川インターシティが竣工したことに伴い暫定開通したが、今では駅を利用する人、通勤、ショッピングに向かう人など多くの人々にとって欠かせない通路となっている。
再開発計画がスタートした直後の東口はというと、高輪口の賑わいとは対照的に品川浦に面する倉庫街というイメージが強かった。それが、この年を境に徐々に姿を変えていく。再開発の対象となった敷地は、A-1地区(現在、品川インターシティが建つ場所)、A-2地区、B-1地区(現、品川グランドコモンズ)、B-2、B-3、B-4地区と街区分けされ、土地利用の方針が定められた。また、街区間の公共空間や、街路などは総合的に開発。こうして、東口は倉庫街から一変していった。

東西自由通路
写真を拡大する
東西自由通路
ペデストリアンデッキからの眺め。
写真を拡大する
ペデストリアンデッキからの眺め。左が品川インターシティ、右が品川グランドコモンズ

東海道新幹線「品川駅」を横目に見ながら、港南口へ。そのまま、てくてく歩いて行くと目の前にそびえる高層ビル、と思いきやその谷間に樹木が見えてくる。この木々が立ち並ぶ空間が、品川インターシティと品川グランドコモンズの間に広がる「セントラルガーデン」だ。

この広場を地上2階レベルでぐるりと取り囲む通路は「スカイウェイ」と呼ばれ、港南口のペデストリアンデッキから直結し、インターシティとグランドコモンズに建ち並ぶ各ビルをつなぐ歩行者専用の通路となっている。セントラルガーデンは、幅約45メートル、全長約400メートルの公園であり、就業者や居住者、近隣住民の憩いの場として整備された歩行者専用の空間。桂の木を中心に、287本もの高木が植えられたこの空間は、昼時ともなるとオフィスワーカー達で溢れかえる。

 

またセントラルガーデンには、品川の自然をテーマにした7つのフォリー(造形物)が設置されているのだが、このフォリーもちょっとした「くつろぎ空間」となっているようだ。フォリーに腰を下ろして歓談を楽しむ人、高さを違えたベンチにお弁当を広げる人、皆思い思いの時間をこの空間で過ごしている。

各ビルを地上2階レベルで結ぶスカイウェイ写真を拡大する 思い思いの場所で時間を過ごす写真を拡大する
各ビルを地上2階レベルで結ぶスカイウェイ 思い思いの場所で時間を過ごす
品川セントラルガーデン
八ツ山橋

旧東海道へとつながる八ツ山橋は、映画「ゴジラ」の第1回作品にて、ゴジラが破壊した記念すべき場所(壊されても、記念となるのがゴジラならでは……)。ちなみに、現在の橋は4代目になるのだとか。現在、この橋のたもとでは、踏切待ちによる渋滞緩和を目的に、東八ツ山公園通りを第一京浜国道へ直接つなげる「八ツ山アンダーパス」の工事が進められている。

八ツ山橋
写真を拡大する
八ツ山橋

路地の間から高層ビルが顔をのぞかせる写真を拡大する

この工事現場の仮囲いに「平成品川宿名所図絵」なるものが描かれていた。品川神社の「北の天王祭」、東海寺の「沢庵和尚の墓」、御殿山の「原美術館」、そして東品川の船だまりの「屋形船」などなど。
橋を渡り切ると、そこは旧東海道の入口。この周辺には、銅板建築や家々の間を縫うような路地が残り、先程までとは対照的な風景を作り出している。

路地の間から高層ビルが顔をのぞかせる
品川浦に浮かぶ船の数々
写真を拡大する
品川浦に浮かぶ船の数々

かつて海に面していた旧東海道の名残を留める東品川の船だまりは、品川百景にも認定されている場所。昼間ということもあり、人影はまばらだったが、品川浦に張り出した屋形船や釣り船の乗り場には、出航の準備をきびきびと進める人の姿があった。
船に揺られながら眺める東京の街を想像しつつ、船だまりを後にする。

東品川の船だまり
東八ツ山公園

船だまりから天王州橋を渡り、旧海岸通りへ足を向ける。風景は、またもや一変。クレーンや荷物を積載したトラックが行き交う倉庫街となる。そのまま東八ツ山公園通りへ。東八ツ山公園の向かいには、本日のスタート地点、品川インターシティと品川グランドコモンズが見えてくる。
スカイウェイを抜けて、品川駅へと到着。

公園の向かいに、インターシティとグランドコモンズが位置する
写真を拡大する
公園の向かいに、インターシティとグランドコモンズが位置する
駅からスカイウェイへとつながるペデストリアンデッキ写真を拡大する

駅からスカイウェイへとつながるペデストリアンデッキ

品川駅

広々とした真新しい駅舎、それを取り巻く旧東海道と新たに誕生した街並み。新旧が入り交じる品川の街のさまざまな表情を垣間見ることができた。さらに足を延ばして、旧東海道沿いを散歩してみると、さらにこの街の魅力を知ることができるだろう。

イラスト/小湊好治 Top of the page

月刊誌スタイルで楽しめる『COMZINE』は、暮らしを支える身近なITや、人生を豊かにするヒントが詰まっています。

Copyright © NTT COMWARE CORPORATION 2003-2015

[サイトご利用条件]  [NTTコムウェアのサイトへ]