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デジカメ散歩
第5回 個性溢れる5つの表情を持つ街「汐留」

日本初の鉄道の始発駅として明治5(1872)年に華々しく開業した旧新橋停車場。しかし、関東大震災で消失。その後、再建されるも鉄道貨物の需要の低下とともに、昭和61(1986)年、閉業の時を迎える。
それから16年。その跡地を中心に、新たな街『汐留シオサイト』が誕生した。全11街区からなるこの街には、商業・文化施設や、劇場、ホテル、高層ビル、公園など、多種多様な施設が集いながら、街区ごとに特色ある街づくりが進められている。今回は、その中でも地元住民が主体となって街づくりを進めている街区、ヴィータイタリア周辺を散策。

 
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新交通ゆりかもめ 汐留駅

お散歩スタート地点は、汐留駅。ここから2002(平成14)年7月に街開きをした『汐留シオサイト』を巡る。
汐留シオサイトは、全11街区からなる再開発地域。その広さは、約33ha。東京ドーム、約6.6個分もの広さだという。この広大な旧国鉄汐留貨物駅跡地の再開発事業に、東京都と各街区の開発を推進する民間業者とが一体となって取り組んでいる。この両者の間に、地元住民が主体となって設立した「汐留地区街づくり協議会」が仲立ちとなって街づくりを推進しているというのが特徴だ。

  各街区をつなぐペデストリアンデッキより、ゆりかもめを見る
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  各街区をつなぐペデストリアンデッキより、ゆりかもめを見る

JR新橋駅方向へ延びるペデストリアンデッキ
 

1995(平成7年)年に発足したこの組織が、両者の意見調整を進め、地区全体の管理運営をしている。その結果、街区ごとに特色を出しつつ、それらをつなぐペデストリアンデッキや、自然石の敷かれた歩道、手入れの行き届いた並木など、地区全体での調和が図られている。

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JR新橋駅方向へ延びるペデストリアンデッキ
近未来的なビルが建ち並ぶ汐留シオサイト
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近未来的なビルが建ち並ぶ汐留シオサイト
 

ガラス張りや、タイル張り、曲面を描いた建物など、近未来的なビルが建ち並ぶ汐留シオサイト。テレビ局や、広告代理店、化粧品メーカーなど大企業のオフィスビル、ホテル、商業施設、劇団四季の常設専用劇場「海」など、多種多様な施設が集合している。テレビ局の近くでは、親子で公開番組を観覧している人の姿が見受けられた。

広場の一角には、「亀」をモチーフにした噴水が設置されている(探してみてください)。何でも風水思想をもとに中国出身のアーティストが作ったものだとか。定刻になると、その甲羅の割れ目から水が噴き出す仕掛け付き。

 
近未来的なビルが建ち並ぶ汐留シオサイト
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近未来的なビルが建ち並ぶ汐留シオサイト

汐留シオサイト
ヴィータイタリア

汐留駅から、JRの線路をくぐって汐留シオサイト西街区へ。2007年のグランドオープンに向けて一部開発が進む地区「ヴィータイタリア」に到着。こちらは、旧国鉄跡地の利用ではなく、元々この地に住んで運送業などを営んでいた約70名の地権者たちが民間業者を介さず新たに作った街。東京都の区画整理事業地に含まれたことから、再開発を行うことになったという。
自分が生まれ育った土地に、どのような新たな街を作り上げるのか。自ら住んで快適な街、さらに活力を持った街にしたい--地権者が寄り集まって、意見交換を重ねた結果、食やファッション、文化などあらゆる分野において情報発信力を持つイタリアをテーマに、街作りを行うことになったという。現在は、街の中心に位置する「港区立汐留西公園」を取り囲むように、商業施設が順次オープンしているが、グランドオープンに向けてまだまだ開発は進行段階。
広場に設置されたベンチでは、地区の一角にあるジェラート屋で購入したジェラートを頬張る中年男性の姿が。ゆっくり、じっくりと、街の成長を皆が楽しんでいるようだ。

ヴィータイタリア
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ヴィータイタリア
 
ヴィータイタリア

 

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ヴィータイタリア
一つ一つ、職人が作り上げた一品
 

2004(平成16)年3月にヴィータイタリアの一角にオープンした、ハンドメイドのバッグショップ。この地区の開発内容に共感して出店を決めたというオーナーの、もう一つの顔はプロカメラマン。「自分が使いやすいカメラバッグが欲しい」と自ら革製のカメラバッグを作ったことがきっかけで、1973(昭和48)「年にバッグショップを立ち上げたという方だ。

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一つ一つ、職人が作り上げた一品

店内にはオーナーが撮影したイタリアの写真はもちろん、可愛いらしく、機能的なバッグや財布の数々が並ぶ。しかもマチの幅や、バッグの形状、表・裏地に使用する皮の色、縫い糸の色などなど、細かな注文に対して、イタリアで修行したデザイナーが一緒に考えてくれる。
http://www.hanehands.com

 
オリジナルバッグの注文も可能だそう
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オリジナルバッグの注文も可能だそう
ヴィータイタリア2 HANE HANDS(ハネハンズ)
ヴィータイタリア3 Marcello di Milano(マルチェロ ディ ミラノ)

こちらは今年4月にオープンしたシャツショップ。ミラノに本店を構えるシャツショップ『CAMICERIA』の日本初の直営店だ。
大のシャツ好きというオーナー自ら選んだ小粋なシャツが、常時50〜70種類揃っている。その数にも圧倒されるが、細身のライン、しっかりとした素材感、そしてアクセントの効いたステッチ使いは、女性から見ても、思わず「可愛いい!」と言いたくなる物ばかり。
ミラノの本店を再現したという店内には、シャツだけでなく、シャツに合わせるネクタイや、ウエストラインを引き締めるやや太めのベルトなども並ぶ。
http://www.marcello.jp

ずらっとシャツが並んだ店内。女性用のシャツも、年内には入荷予定だとか
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ずらっとシャツが並んだ店内。女性用のシャツも、年内には入荷予定だとか
ステッチの効き方が絶妙
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ステッチの効き方が絶妙
鮮やかな色。キバナコスモス
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鮮やかな色。キバナコスモス

藤棚越しに、潮入りの池を望む
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藤棚越しに、潮入りの池を望む

本日の最終地点は、「浜離宮恩賜庭園」。徳川将軍家ゆかりの庭園として、海水を引き入れた「潮入りの池」と二つの鴨場を持つ、江戸時代を代表する大名庭園だ。近くを走る幹線道路や高速道路の喧騒とは対照的に、静かな時が流れている。
庭園の一角にあるお花畑では、オレンジ色のキバナコスモスが満開を迎えようとしていた。その一瞬を収めようと、カメラを構えた人達の姿が多く見受けられた。庭園の一部には、水上バスの発着場があり、時折、汽笛の音が潮風に乗って流れてくる。
更に先に進むと、将軍が船に乗降する場所だった「将軍お上がり場」の案内が。そのすぐ近くの、同じく小高く盛り土された「新樋の口山」に登れば、東京湾とレインボーブリッジが一望できる。そしていよいよ海水を引き入れた「潮入りの池」へ。池の中央に浮かぶのは「中島の御茶屋」と呼ばれる休憩所。池の中を覗き込むと、蟹やフジツボ(?)、元気に泳ぎ回る魚の姿が見える。確かに海水なのだなぁと納得しきり。この池では、その昔、大奥の女性たちが釣りを楽しみ、御茶屋では饗宴が催されたという。御茶屋で一休みしつつ、ふと顔を上げると、木々の向こうに汐留シオサイトの高層ビルが顔を覗かせる。
来年4月には、汐留シオサイトから庭園にアクセスしやすいように、海岸通りに面した入口が新設される予定だ。



 
庭園の緑の向こうには、汐留シオサイトのビル群
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庭園の緑の向こうには、
汐留シオサイトのビル群
浜離宮恩賜庭園
汐留

国内最大級とも言われる汐留の開発だが、すでにいくつかのメディア関連企業が拠点を構え活気のある街を作っている。今後、住空間も整備され最終形がどのようになるか楽しみだ。

イラスト/小湊好治 Top of the page

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