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デジカメ散歩
第8回 硬軟多彩な顔を持つ「新宿」

常に変貌を遂げる街、新宿。つい先日も新宿駅西口駅前に、60階建ての医療専門学校が建つと発表されたのを、ご存じの方も多いのではないだろうか? 古くは宿場町として、そして現在は行政を始めビジネス、商業の街として常に人々を惹きつける街の魅力はどこにあるのだろうか? 年末年始の買い物がてら、ちょっと足を延ばして街の魅力を再発見。いざ、散策スタート!

 
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JR新宿駅

新宿というと、24時間眠らない街、そんな印象を持つ方も多いのでは? 平日の昼間でも、人並みは絶えることはない。年末年始ともなると、デパートのディスプレイは、いつにも増してゴージャスに変身。夜間に灯る色とりどりのネオンに、艶やかに着飾ったショーウィンドウのマネキンの姿。「過ぎゆく年と、新たな年」を、街を散策することで感じ取ることができる。
新宿駅が開業したのが、1885(明治18)年。当時は、辺り一帯に草原が広がっていたというが、これを皮切りに市電が相次いで開通。昭和に入ると大手デパートが次々と新宿に進出してきて、現在の新宿の姿が出来上がってきたという。開発によって発展を続けてきた街と言っても過言ではないだろう。街の歴史を感じます。

 
例年より暖冬のせいか、薄着の人多し
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例年より暖冬のせいか、薄着の人多し
 
高層ビルがそびえ立つ副都心は新宿のもう一つの顔
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高層ビルがそびえ立つ副都心は新宿のもう一つの顔
 

新宿副都心へ。駅前の喧噪とは、また違った空気が流れている。そもそもここは、東京都の市街地整備の一環として掲げられた8つの「副都心」の一つとして、開発された場所とのこと。
1965(昭和40)年に、この地にあった淀橋浄水場が操業を停止。敷地面積34万平方メートル、東京ドームで約7個分もの跡地が、現在の都庁をはじめとする超高層ビルが林立する副都心へと姿を変えた。広い歩道に、公園、ホテルにオフィス群。歩いているだけで、背筋が正されるような気がするのは、私だけでしょうか?

 
新宿副都心
花園神社

駅をまたいで東口へ移動。新宿の総鎮守として、古くから多くの人々の信仰を集める花園神社。厳粛な雰囲気の漂う境内だが、毎年11月に行われる酉の市の日となると一変。境内から、溢れんばかりに露店が立ち並ぶ。焼きそば、たこ焼き、リンゴ飴。職人技が生きる飴細工に、トルコのファーストフード、ドネルケバブ、商売繁盛の熊手を売る露店商など、にぎやかな事この上なし。

銀杏並木が美しい参道
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銀杏並木が美しい参道
酉の市の日には、人で埋め尽くされる境内

現在、木造の神楽殿が、老朽化のために建て替え工事を行っており、2005(平成17)年5月に完成だそうだ。

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酉の市の日には、人で埋め尽くされる境内
ゴールデン街と花園神社の間を通る、四季の道
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ゴールデン街と花園神社の間を通る、四季の道

続いて「四季の道」と「文化センター通」へ。地図上で見ると、この2つの道が緩く曲線を描いているのが分かる。ここは、かつて都電の軌道があった場所なのだそうだ。
1972(昭和47)年に、荒川線を除いて廃止された都電。新宿の街にも都電は走っていた。ちなみに新宿区立新宿文化センターと伊勢丹本館が建つ場所には、都電の車庫があったそうだ。

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1979(昭和54)年に開館した新宿区立新宿文化センター
1979(昭和54)年に開館した新宿区立新宿文化センター
四季の道 文化センター通
西向天神社

さらに散策続行。文化センターからほど近い、西向天神社に到着。太宰府の方へ向かって、社殿を西向きに造っているために、こう呼ばれるようになったのだそうだ。

小高い丘の上にあります
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小高い丘の上にあります
手前が「新宿の女」の歌碑
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手前が「新宿の女」の歌碑

その境内で「新宿の女」の歌碑なるものを発見。石碑には、藤圭子のデビュー曲「新宿の女」の歌詞が刻まれている。作詞を手掛けた石坂まさの作詞作曲家生活30周年を記念して作られたものだという。花園神社には「圭子の夢は夜ひらく」の歌碑がある。

厳島神社。迫力満点の龍
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厳島神社。迫力満点の龍

続いて厳島神社へ。境内を南北に通り抜けることが出来るため、抜弁天と呼び慣わされている。
ここは新宿山の手七福神の一つで、弁財天を奉った神社。他に、恵比寿天を奉った鬼王神社、福禄寿を奉った永福寺、法善寺(寿老人)、経王寺(大黒天)、太宗寺(布袋尊)、善国寺(毘沙門天)がある。七福神詣が盛んになったのは江戸中期以降と言われているが、新年の抱負を胸に、ぐるりと巡ってみるのはいかがだろうか? 

さらにこの一帯は、元禄時代に「犬小屋」があったのだそうだ。その規模、約25,000坪(!)。五代将軍綱吉の「生類憐れみの令」の受け、野放しとなった犬たちを保護するために作られたという。保護された犬は、10万匹にも達した。

 
福禄寿が奉られている永福寺。厳島神社から徒歩2分ほど
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福禄寿が奉られている永福寺。厳島神社から徒歩2分ほど

厳島神社
出世稲荷

地図に託された「出世稲荷」の四文字が気になる。七福神も巡ったのだからと、ここにも足を運ぶことに。一般に「お稲荷様」とは、福徳開運十種の得を備えた衣食住の守護神とのこと。
この出世稲荷は、長禄元年に、江戸城主である太田道灌によって鎮座されたもので、当初は粟津稲荷、朝日稲荷と呼ばれていたものを、1873(明治6)年に「出世稲荷神社」と名を改めたという。なるほど、なるほどと納得したところで、しっかり頭を下げてきました。

深々と拝んで参りました
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深々と拝んで参りました
酉年にちなんで、公園の鳥(の置物)を激写
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酉年にちなんで、公園の鳥(の置物)を激写
この一帯、なぜだかミカンの木が多いんです
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この一帯、なぜだかミカンの木が多いんです

まねき通入り口
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まねき通入り口

まねき通を散策しつつ、本日のお散歩は終了。

またしても鳥を発見
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またしても鳥を発見
大都会に広がる空。夕暮れももうすぐだ
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大都会に広がる空。夕暮れももうすぐだ
まねき通
新宿

駅からちょっと離れれば、いろいろな発見があるもの。新宿の街の、もう一つの魅力を知ることが出来た一日だった。年末年始の買い物の際は、気分転換に、ちょっと足を伸ばしてみてはいかがだろうか。

イラスト/小湊好治 Top of the page

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