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デジカメ散歩
第9回 多国籍な街「六本木・麻布」

江戸時代。現在の六本木、麻布周辺には、大名屋敷や寺社が数多く存在していたという。明治に入ると、それらの屋敷は各国の大使館や高級住宅へと変化。そして現在も、さらに変化を遂げようとしている。
インターナショナルな雰囲気と、下町情緒漂うこのエリアを散策開始!

 
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防衛庁跡地

2000(平成12)年に新宿区市ヶ谷に移転した防衛庁本庁舎。その跡地の再開発が始まっている。六本木駅のすぐ近くだ。商業施設やオフィス、住居などの他、隣接する檜町公園と一体化した緑地も整備していくのだという。

天まで届きそうなクレーンが活躍中
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天まで届きそうなクレーンが活躍中
人通りが絶えることのない六本木交差点
 

昨年末には、この跡地に高さ263メートルの超高層ビルが建つと発表された。都庁(こちらは243メートル)を抜く高さ! 東京で一番高いビルになるんだそうだ。
来年末の完成を目指して、工事は着々と進行中。

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人通りが絶えることのない六本木交差点
俳優座劇場。50年代当時は、劇場の屋上から海が見えたという
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俳優座劇場。50年代当時は、劇場の屋上から海が見えたという
 

続いて、やはり駅からほど近い俳優座劇場へ。こちらは、1954(昭和29)年に劇団俳優座のメンバーが中心となって設立した歴史ある演劇場。劇団俳優座が結成されたのが、第二次世界大戦の末期にあたる44(昭和19)年。その結成十周年記念事業として、劇場が建てられたそうだ。当時としては珍しい、鉄筋コンクリート造2階建てのモダンな建築だったという。

     

80(昭和55)年に建て替えを施し、現在は、鉄筋コンクリート造6階建てのビルに。座席数は300席。六本木の街の変化を、見守りつづけてきた空間が、ここにありました。

演劇をもっと身近なものに」という思いが、今日まで受け継がれている
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「演劇をもっと身近なものに」という思いが、今日まで受け継がれている
年間、劇場を見守ってきた木製のパネル。何と書いてあるかは……行ってのお楽しみ
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50年間、劇場を見守ってきた木製のパネル。何と書いてあるかは……行ってのお楽しみ
俳優座劇場
ザ・ハンバーガーイン

ザ・ハンバーガーインも六本木の街の変化を見続けてきたお店の一つ。創業1950(昭和25)年(!)のバーガー・ショップだ。
創業当時は、飯倉交差点近くにお店を構えており、現在の場所に移転したのが、65(昭和40)年という。メニューは、創業当時からほとんど変わっていないのだとか。数十年前の街の様子を想像しながら、ハンバーガーを味わうのも乙なもの。店の中は、「アメリカン」な空気で満たされていた。

遠くからでも目立つ黄色い看板が目印
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遠くからでも目立つ黄色い看板が目印
丸いスツールがカウンターを取り囲む

 

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丸いスツールがカウンターを取り囲む
想像以上にきつい坂道です
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想像以上にきつい坂道です
 

お散歩をしていて気がつくのは、この一帯の「坂」の多さ。坂を下ると、また坂にぶちあたり、さらに坂が見えてきて……。でも、なぜか坂道に吸い寄せられるように、足が動いてしまうのは私だけだろうか? 体力的にはきつくとも、坂道の魅力には、なぜか勝てない。
こちらは、そんな魅力的な坂の一つ「鳥居坂」。江戸時代の半ばまで、坂の東側に大名鳥居家の屋敷があったため、この名がついたという。かなりアップダウンの激しい坂だが、坂の両側には、瀟酒な住宅や学校が建ち並ぶ、繁華街間近とは思えない優雅な雰囲気。

 
鳥居坂
六本木ヒルズ

続いて六本木ヒルズへ。1986(昭和61)年に東京都より再開発誘導地区の指定を受け、95(平成7)年に「六本木六丁目地区第一種市街地再開発事業」として都市計画が決定したこの場所は、現在は「六本木ヒルズ」の名称で東京の名所となっている。総面積総面積11.6ヘクタール。東京ドームのグラウンドの約8倍の面積にもなる大規模プロジェクトとして注目を集めた再開発計画だ。

東京を360度見渡すことができる展望台「東京シティビュー」
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東京を360度見渡すことができる展望台「東京シティビュー」
雄大な景色を眺めつつカフェで一息。展望台は、深夜1時まで営業
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雄大な景色を眺めつつカフェで一息。展望台は、深夜1時まで営業

買い物に、美術鑑賞に、また昨年のクリスマスにイルミネーションを見に訪れた方も多いのでは? けやき坂通りに施された白色と青色のLEDの放つ光が、何とも幻想的だった。早くも今年のクリスマスが待ち遠しくなってしまう。

今は宇宙めだかのいる池。春先にはカルガモの姿を見ることができるかも
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今は宇宙めだかのいる池。春先にはカルガモの姿を見ることができるかも
広い歩道がうれしい、六本木けやき坂通り
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広い歩道がうれしい、六本木けやき坂通り

「東京シティビュー」で、海抜250メートルからの眺めを楽しんだ後は、毛利庭園と六本木けやき坂通りへ。毛利庭園は、江戸時代にこの地にあった長府藩毛利家の上屋敷の庭園跡地に作庭した庭園。中央の池には、「宇宙めだか」が生息中。現在は、寒さのためか、池の底に隠れている様子。春になったら、元気に泳ぐ姿を見ることができるだろう。

さらに歩くと、ロボットだらけの公園を発見。六本木さくら坂通りに面した、さくら坂公園(ロボロボ公園)。名前もかわいらしいけれど、遊具もとてもキュート。愛らしいロボットを見つつ、しばし休憩。

ロボット大集合! 夜になると眼が光るそうです。アーティスト、チェ・ジョンファが手掛けた公園。「ロボロボロボ(ロボロボ園)」2003年
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ロボット大集合! 夜になると眼が光るそうです。アーティスト、チェ・ジョンファが手掛けた公園。「ロボロボロボ(ロボロボ園)」2003年
カラフルなすべり台。見ているだけで元気が出てきそう
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カラフルなすべり台。見ているだけで元気が出てきそう
六本木ヒルズ 六本木けやき坂通り、毛利庭園
十番稲荷

大通りを進むと、立派な鳥居が見えてくる。十番稲荷神社へ到着。港区七福神の宝船の巡拝所にもなっている神社だ。
境内には、この一帯に古くから伝わる「がま池」伝説に因んだ、がまがえるの碑が鎮座している。池の水を吹きかけ大火を消したという、がまがえる。火の災難から身を守ってくれるという。じっと見つめているとユーモラスな表情に、不思議と癒される。

大通りに面した大きな鳥居が目印
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大通りに面した大きな鳥居が目印
2匹並んだ、がまがえる
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2匹並んだ、がまがえる
普段は落ち着いた雰囲気の麻布十番商店街
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普段は落ち着いた雰囲気の麻布十番商店街
 

本日のお散歩ゴール地点は、麻布十番商店街。坂道の上り下りで疲れた体を、「麻布十番温泉」で休めるもよし、おやつを買って商店街の中央に位置する公園で一息つくのもよし。
毎年8月中旬に行われる麻布十番納涼祭りは、このエリアの特徴をよく表したイベントだ。道という道に屋台が立ち並ぶという。特に高速道路下にある公園は「国際バザール」と銘打った特設イベント会場へと変身。韓国料理、イタリア料理、インド料理……などなど、普段お目にかかれないような屋台が登場する。大使館や公使館が多いこのエリアならではの催しと言えるだろう。第一回目が開催されたのが1966(昭和41)年というから、これまた驚きです。

 
麻布十番商店街
六本木・麻布

店先で焼き鳥やおでんを頬張っている人がいるかと思うと、ビジネススーツに身を固め颯爽と歩く人もいる。外国人の姿も、他のエリアに比べて多いように感じた。すべてが良い意味で、渾然一体となったような街――新しくもあり、懐かしくもあるお散歩だった。

イラスト/小湊好治 Top of the page

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