一覧に戻る
COMZINE BACK NUMBER
デジカメ散歩
第10回 江戸文化の中心地「日本橋」

江戸時代、日本全国へ延びる五街道の起点として、また、全国から物資が集まる水路の輸送ターミナルとして、その名を全国に轟かせた「日本橋」。またこの一帯には、銀行、魚市場、郵便などの「○○発祥」と言われる場所が多く存在する。日本の文化、経済の中心地と言って過言ではないだろう。その日本橋で、再開発が相次いでいる。昨年4月に日本橋高島屋がリニューアルオープンしたのに続き、三越日本橋店もリニューアル。どんな街になるのか、いざ散策スタート。

 
  地図を拡大する

COREDO日本橋

昨年3月に、東急百貨店の跡地にオープンしたCOREDO日本橋へ。低層部はファッション、インテリア、雑貨、レストランなどが入った商業施設、上層部にオフィスが入る20階建ての複合施設だ。印象的な外観の弓なりのガラス壁は、船の帆をイメージしたという。
中に入ると地下にいながら、かなり明るい印象を受ける。地下1階から地上4階までを貫く吹き抜けから、光が降り注いでいるためだ。東京メトロ銀座線、浅草線、東西線の3線が乗り入れる日本橋駅から直結という好立地。営業時間も、この一帯にしてはやや遅めに設定されている。仕事を終えて、電車に駆け込む前に、きゅっと一杯……なんていきたいところ。

印象的な外観
写真を拡大する
印象的な外観
1階入口
写真を拡大する
1階入口
地下1階。吹き抜けから光りが降り注ぐ
写真を拡大する
地下1階。吹き抜けから光が降り注ぐ
アネックス前の公園
写真を拡大する
アネックス前の公園

COREDO日本橋本館の裏手には、小さな公園を持つ低層のアネックス棟がある。1階のスペイン料理店の厨房が、公園に面したガラス窓越しに見える。昼時とあり、みなさん忙しそう。そしておいしそう……。
公園には、コロンとした可愛いらしいベンチもあり、休憩にはもってこい。屋上は、ちょっとした広場になっている。

写真を拡大する
草花でいっぱいの屋上
草花でいっぱいの屋上
COREDO日本橋 アネックス
日本橋

日本橋に来たからには、「日本橋」へ。重要文化財に指定されている日本橋だが、1603(慶長8)年に架けられ、その後20回も架け換えが行われたのだそうだ。現在の橋は、1911(明治44)年に完成した石造の橋で、橋の裏(水面)側にまで、花崗岩を使った贅沢なつくりとなっている。その昔は、5街道の起点として、現在も7つの国道の基点となる重要な場所だ。
現在、日本橋から室町四丁目交差点までの約300メートルほどの区間で、地下歩行空間の整備拡張が進められている。

 
橋のたもとにある日本橋由来記
写真を拡大する
橋のたもとにある日本橋由来記

重厚な橋と、その上を通る高速道路
写真を拡大する
重厚な橋と、その上を通る高速道路
橋近くの交番。瓦屋根がいい味を出してます
写真を拡大する
橘近くの交番。瓦屋根が良い味
日本銀行。どっしりとした外観
写真を拡大する
日本銀行。どっしりとした外観

続いて日本銀行へ。ここは、全国4箇所にあったという金貨鋳造所(金座)の一つがあった場所。金座では、金貨の鋳造、鑑定、地金類の買収、監察をしていたという。因みに、道を挟んだ向かいには、日本銀行貨幣博物館がある。日本銀行の創立百年を記念して、金融研究所内に1985(昭和60)年に開館したお金の博物館。貨幣の歴史や、世界の珍しい貨幣などが展示されている。偽造紙幣や硬貨を見抜く知恵が、つけられるかも。

写真を拡大する
ヨーロッパの街並みのよう
ヨーロッパの街並みのよう
日本銀行
室町三井新館

日本銀行のすぐ裏手に、建設中のビルがある。今年9月に竣工予定の室町三井新館だ。1997(平成10)年に重要文化財に指定された三井本館に隣接する建物で、本館のデザインを踏襲しつつ地下4階、地上39階、高さ約195メートルの高層ビルが新たに建つ。
その全容が、見えつつある。

建設まっただ中。どんな姿になるのだろうか
写真を拡大する
建設まっただ中。どんな姿になるのだろうか
錦絵が描かれた仮囲い
写真を拡大する
錦絵が描かれた仮囲い
谷崎潤一郎生誕の碑
写真を拡大する
谷崎潤一郎生誕の碑

下町の香りが残る人形町へ到着。日本橋周辺とは、雰囲気も一変する。
江戸時代、現在の人形町のあたりは、芝居街と呼ばれていたのだそうだ。江戸三座と言われた芝居小屋の内、市村座と中村座の二座が、この辺りで歌舞伎を上演していたため、人形師達が多く住んでいたのだとか。
人形町商店街からほど近くに、作家、谷崎潤一郎生誕の地がある。1886(明治19)年、祖父が経営していた谷崎活版印刷所に生まれ、『春琴抄』(田中絹代や京マチ子、山本富士子、山口百恵など数々のスターが主演し映画化されました)や『細雪』『陰翳礼讃』など、陰影ある嘆美な世界を展開したことで知られる谷崎。著書の一つ「幼少時代」の中に、この地のことが描かれている。

写真を拡大する
人形焼きの良い香り
人形焼きのいい香りが漂ってきます
人形町商店街
甘酒横丁

さらに商店街へ。こちらは「甘酒横丁」と呼ばれる東西に約250メートルほど延びる商店街。明治時代初期に、通りの入り口に「尾張屋」という名の甘酒屋があったことが名前の由来なのだとか。当時の横丁は、現在よりも南にあり、道幅も狭かったという。
甘酒屋に、たいやき屋、だんご屋など、懐かしいお店が並ぶ。温かい甘酒で、ほっと一息。

薬局の前で発見
写真を拡大する
薬局の前で発見
横丁を抜けたところにある公園にて弁慶像を発見。公園の入り口には関所風の門もありました
写真を拡大する
横丁を抜けたところにある公園にて弁慶像を発見。公園の入り口には関所風の門もありました
あんなに高い場所で作業する人がいるんです。すごい
写真を拡大する
あんなに高い場所で作業する人がいるんです。すごい

新大橋通りと清洲橋通りが交差する、浜町3丁目でも再開発が進んでいる。正式名称、日本橋浜町3丁目西部地区第一種市街地再開発事業。地上46階、地下2階建ての高層ビルが今年完成予定だ。共同住宅やオフィス、また低層部には商業施設が入るという。
巨大なクレーンが上下に行ったり来たりしている。よく見ると、クレーンに吊られた箱の中に、作業員の方がたくさん乗っている。本日の作業の終了時刻らしい。

写真を拡大する
ビルの谷間で、少し早い春を見つけました
ビルの谷間で、少し早い春を見つけました
浜町三丁目再開発
浜町公園

現在「浜町」と呼ばれる地域の大部分は、江戸時代の埋め立によってできた土地で、大名屋敷が並んでいたのだそうだ。浜町公園あたりも、肥後藩細川邸の下屋敷があった場所だという。明治に創業した明治座は、公園から歩いて数秒の場所にある。
公園内には、区立のスポースセンターがあり、みなさんたっぷり体を動している様子。まだまだ寒いにも関わらず、半袖姿で施設から出てくる人を多数目撃した。負けじと体を動かさねば、と気合いが入ったところで、お散歩続行。

公園入り口の小便小僧。片手を挙げてポーズを決めてます
写真を拡大する
公園入り口の小便小僧。片手を挙げてポーズを決めてます
愛犬と一休み中
写真を拡大する
愛犬と一休み中
屋形船が行き交う隅田川
 

浜町公園を抜けると、目の前は隅田川。新大橋の上からぐるりと周囲を見渡してみる。
関東大震災の時、5大橋中ただ一つ、新大橋のみ被害がなかったのだそうだ。橋のたもとには、この橋の上で難を逃れた人々が建立した震災避難記念碑があるという。辺りを探してみたが、この碑は見つけられなかった。自然災害が多い昨今のことを思いつつ、この橋の上で本日のお散歩終了。

写真を拡大する
屋形船が行き交う隅田川
新大橋
日本橋

散策していて目に留まったのが、史跡、旧跡の案内図。こんなにあったのかと、驚くほど、その数は多い。進行中の再開発の現場を巡るもよし、史跡を巡るもよし。巡りつつ街の変化を、じっくり観察したいものだ。

イラスト/小湊好治 Top of the page

月刊誌スタイルで楽しめる『COMZINE』は、暮らしを支える身近なITや、人生を豊かにするヒントが詰まっています。

Copyright © NTT COMWARE CORPORATION 2003-2015

[サイトご利用条件]  [NTTコムウェアのサイトへ]