野球といえば、幼い頃、両親に手を引かれながら夏の甲子園球場に行ったことがある。蔦に覆われた球場が記憶に焼き付いているが、それ以上に、割れんばかりの観客の声援と、各校が工夫を凝らした応援歌のリズム、そして突然、空から降ってきた「かち割氷」が印象に残っている。あまりの興奮に、後ろのおじさんが放り投げたものらしい……。
その阪神甲子園球場が、昨年、開場80周年を迎えた。投げて、打って、走って、泣いて、笑って……数々のドラマが、ここで繰り広げられてきた。そもそも全国高等学校野球選手権大会の前身となる全国中等学校優勝野球大会が初めて開催されたのが、1915(大正4)年。開催から数年ほどは、会場も定まっていなかったようで、甲子園球場が会場となったのは、第10回大会のこと。その後、太平洋戦争を挟み、1947(昭和22)年に開催された第29回大会
より、再び甲子園球場で熱い戦いが繰り広げられるようになったそうだ。ちなみに、今年の夏の大会のキャッチフレーズは「君に見せたい夏がある」。新たなドラマが、また積み重ねられていくのだろう。
そんな夏の風物詩を思いつつ、多摩川べりで、野球をしている人たちを見学。ボールを投げる方も、打つ方も実に楽しそう。転がるボールを追いかける姿は、甲子園球児にも負けない真剣さ。最近、こんな風に思い切り走っていないな……と、ふと思う。
夕暮れ迫る多摩川を後にしつつ、この夏、仲間と野球ボールを追いかけてみたくなった。 |