例年、10日間の長きにわたって祭りを開催することから、「だらだら祭り」と呼ばれている芝大神宮の秋祭り。創建されたのが寛弘2(1005)年。古くから「関東のお伊勢様」として、遠方からも多くの人々が足を運んだ由緒ある神社である。今年は、鎮座1000年(!)にあたるそうで、祭りの内容もスケールアップ。
見所は、38年ぶりに行われる「御神幸祭」で、お囃子など約300人の装束をまとった人々が、麻布十番から新橋方面まで、一日かけて練り歩くのだそうだ。
まずは境内へ。あちこちで葉付きの生姜を手にした人を見かける。この生姜は「御膳生姜」と呼ばれ、食べれば風邪をひかないと言われる縁起物。この祭りが、別名「生姜祭り」と呼ばれる由縁もここにある。参道に立ち並ぶ屋台の脇で、「御膳生姜」をつまみに、日本酒を傾けている人もいる。もう一つ、この祭りの縁起物として有名なのが「千木箱(ちぎばこ)」と呼ばれる経木で作った小判形の箱。千木が「千着」に通じることから、これをタンスに収めれば女性の服が増えるという。境内の一角では、かわいらしい千木箱を、職人が見事な手さばきで作り上げていた。
参道を抜け、表通りにでると編み笠に着流し姿の女性と出会った。「あと少しで御神幸祭の行列が到着するわよ」とのこと。さらに「お馬さんも一緒に練り歩いていて、私たちの踊りと合流するの。本物のお馬さんよ!」との情報を入手。本物の馬が都内を練り歩いているとは!わくわくしながら大通りに戻ると、着流し姿の踊り子たちが列をなし舞い始めていた。その美しいことといったら!さらに朝から練り歩いていたという行列も到着。装束に身を包んだ行列が、粛々と進んでいく。お囃子の音が、ビルの谷間に広がると、まるで平安時代にタイムスリップしたかのよう。
祭りに気分をたっぷり味わったところで本日のお散歩終了。さて次は、どこの秋祭りに行きましょうか。
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