華やかなピンクのソメイヨシノや清楚な白い山桜など、一口に「桜」といっても、その種類は、さまざま。なんと300種以上もあるという。桜の数もさることながら、その「名所」と呼ばれる場所も、実に多い。古くは、上野や浅草、隅田川、飛鳥山や御殿山。当時の風俗史や歴史小説にも頻出する、江戸っ子たちが愛した桜の名所である。新しい名所も増えているようで、都内の「桜の名所」で検索すると、エリア別にずらりとお花見スポットが示される。千鳥ヶ淵のお濠沿いの遊歩道や、新宿御苑、小金井公園、井の頭公園など…全て回りたいところではあるけれど、花の満開時期は驚くほど短いし、天気の気まぐれも手伝って、なかなかタイミング良く桜を観賞するのは難しいもの。
そこで目を付けたのが、近所の桜の木。ふらりと立ち寄れる気軽さと、開花から葉桜になるまでをじっくり鑑賞できるのは、ご近所ならでは。なかでも、ご近所お花見スポット・ベストワンが、蚕糸の森公園。1986(昭和61)年に、公園と小学校とを一体化して開発された場所である。池や、ちょっとした遊具の置かれた遊びの広場、滝や川、小学校と共用のスポーツ広場などが設けられている他、災害時の一時避難所としての役目も担っている。防災施設としても、優れた公園なのだそうだ。環状七号線と青梅街道とが交差する位置にありながら、深い緑に包まれた園内には、桜の木も多い。池に張り出すように枝を伸ばしたもの、スポーツ広場をぐるりと取り囲むソメイヨシノ、山桜の巨木など、お花見にはもってこいの公園なのだ。
近所の幼稚園や、家の庭、公園など、探せば「マイ・お花見スポット」は、至るところにあるもの。桜並木も良いけれど、ただ一本、花を咲かせて舞い散る桜も風情たっぷり。今年は、自分だけの「お花見スポット」を見つけて楽しむ、というのはいかがだろうか。
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