お散歩出発地点は日の出桟橋。関東大震災で陸路を断たれて、救援物資が芝浦に集中したことを受けて、1925(大正14)年に造られました。ここから水上バスに乗って約40分間の船の旅へと出発!が、当日は、小雨がぱらつくあやしい空模様……。しかし今回は、「船」という強い見方がついています。
今回乗船したのは、日の出桟橋と浅草間を結ぶ「隅田川ライン」と呼ばれるコースをめぐる水上バス。名所・旧跡を紹介する船内アナウンスに耳を傾けながら、進んでいく。船内は、隅田川を巡るに相応しいレトロな雰囲気。船の中から臨む風景も新鮮です。ふかふかの椅子に座ると、腰の辺りに隅田川の川面がある。川にかかる12の橋をくぐることでも人気のあるこのコース、普段は見ることの出来ない橋の裏側も、真下からじっくり観察出来る。
船の旅を更に楽しくしてくれるのが、発着所で配布されている『船と水辺の隅田川・荒川ガイド』というパンフレット。「建物」「橋」「かわ」「まち」にカテゴリー分けされ、写真や図とともに解説がなされている。例えば、両国橋は、1657(明暦3)年に起きた江戸史上最大の火事と言われる明暦の大火(「振袖火事」とも言う)を機に、1659(万治2)年につくられた橋。武蔵と下総の両国をつなぐことから「両国橋」と呼ばれるようになったという。また、橋の上からの眺めが良いことから、花火や遊山船でにぎわい、橋の付近は「両国川」とも呼ばれたとか。パンフレット表紙には「なるほどテクノロジー」でも紹介したQRコードがついており、季節の情報などもその場でチェックできる。
そうこうする内に、終点の浅草に到着。雨にもかかわらず浅草寺周辺は、人の出が多い。5月中旬には、浅草神社の祭礼、三社祭が催される。江戸三大祭りの一つと言われるだけあり、辺り一帯人で埋め尽くされる。今年は、船で祭り見物に行くぞ!と心に決めて雨の浅草を後にする。 |