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品川デジカメ散歩
第10回「早春、銭湯三昧」

「春」と呼ぶには、まだまだ早いと思うなかれ。
2月半ばも過ぎれば、そろそろ梅の花がほころび始める時期。
春の風を感じつつ、寒さに硬くなっていた身体を熱い湯でほぐしてみてはいかがだろうか。
地下水が潤沢だった品川は、銭湯が多いことでも知られている。
今月は、品川の銭湯を巡ってみた。


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品川概要
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京浜急行本線北品川駅

品川駅から京浜急行で1つ目の北品川駅に到着。実はこんな都心にも銭湯が残る。これから目指す「吹上湯」は、北品川駅からわずか徒歩2分ほどの銭湯だ。駅のホームからも「吹上湯」と書かれた煙突が目に入る。

京浜急行本線北品川駅
京浜急行本線北品川駅
線路すれすれに立つ「吹上湯」の煙突。目にしたことがあるのでは?

現在のご主人で四代目となる「吹上湯」は、大正時代から続く銭湯。地下水が豊富だったこの一帯には、一昔前まで6、7軒の銭湯が軒を連ねていたそうだ。「吹上湯」の名も「地下水が噴き上がるほど出たから」という説がある。備長炭を入れたお湯は、滑らかな肌触り。近所の常連さんの他に、品川駅で深夜バスの発着を待つ人や、近隣のホテルの宿泊客、外国人などが入浴に訪れるという。なかにはスーツ姿のお客さんもいるとか。タオルを無料で貸し出してくれるので、仕事の合間にざぶんとつかって、気分をリフレッシュするのも良し。
Tel:03-3471-3726  水曜日定休

吹上湯
吹上湯
美しいタイル絵。ご主人と息子さんが笑顔で迎えてくれる
海水湯

再び京浜急行に乗車。新馬場駅で下車して山手通り方向へ徒歩9分ほどで「海水湯」に到着。ここは日替わりで男湯、女湯が入れ替わるのが特徴。和風と洋風をイメージした広い浴場には、それぞれ露天風呂が付いている。
昔は、店舗の裏手が海で、その海水を汲み上げて湯を提供していたことから「海水湯」の名が付いたそうだ。下水道が整備された昭和初期以降は、海水を汲み上げることもなくなったという。広いロビーでは、1階の飲食店から軽食や生ビールをとって飲食することができる。電気風呂、ジェット風呂、ジャグジーにサウナと楽しんだら、同じく1階の「海水湯治療院」で、アロマテラピーやマッサージなんていかがだろうか。駐車場を完備しており、家族連れも多い。
Tel:03-3471-3926  http://www.kaisuiyu.co.jp/ 月曜日定休

海水湯
こちらは和風の浴場。外には岩風呂あり

東急大井町線の下神明駅へ。ここでまず向かったのが「大盛湯」。立派な唐破風に、瓦屋根、そして煙を吐く煙突! 何と大きな銭湯か! はやる気持ちを抑えつつ脱衣所へ向かうと、目に飛び込んでくるのがぴかぴかに磨き上げられた高い格天井と床。営業時間前にもかかわらず、既に常連さんが脱衣所でくつろいでいる。さらに男湯の脱衣所には縁側が付いていて、庭を見ながら湯上がりの身体を休めることができる。
男湯、女湯ともに、浴場の最奥部がガラス張り。ガラスの向こうには、またしても庭。立体的な植栽が施されたこの庭を眺めつつ、湯につかる。贅沢なひとときだ。
Tel:03-3786-6573  金曜日定休

大盛湯
大盛湯
縁側で湯上がりの涼を取る。「自然の風が一番よ」とは女将さん
宮城湯

続いて天然温泉「宮城湯」へ。先々代が宮城県出身であったため「宮城湯」の名が付いた。三代目となるご主人は、3歳のころブラジルに移住し28歳の時に帰国。お父様がこの地で始めた銭湯を、約20年前に継いだという。10年前に大規模改修をし、その後、水質を改善すべく地中深く井戸を掘ったところ「温泉」が出たのだとか。1階に岩風呂、2階がフロントと宴会場、3階に露天風呂があり、2日ごとに男女の浴槽を交代している。
深夜2時まで開いているので、会社帰りでもゆっくりと東京の温泉を楽しむことができる。
Tel:03-3491-4856  http://www.miyagiyu.co.jp 第三火曜日定休

宮城湯
100%天然温泉の露天風呂。ひと風呂浴びれば小旅行気分

宮城湯から戸越銀座方面へ。現在のご主人で二代目となる「記念湯」は、終戦後の1946(昭和21)年に、この地に開業した銭湯。オリンピックの翌年に、鉄筋コンクリート造に建て替えたそうだ。
男湯は、露天風呂付き。開閉式の屋根が付いており、雨天時でも気持ちよく入浴できる。また、浴槽がとにかく広い。中央のメインの浴槽と並んで、高温、低温と湯温を変えた3つの浴槽が並ぶ。メインの浴槽はやや浅めで、ごろりと体を横たえてつかることができる。壁面に取り付けられたボタンを押すと、気泡が吹き出してくる。
心地良い森の香りの蒸気が立ち込める「森林浴槽」や、打たせ湯、サウナ(別料金)もあり、ゆったりとお風呂を楽しむことができる。湯上がり後は、子供用のおもちゃやマッサージ機が並ぶ広いロビーで休憩を。
Tel:03-3491-8920  不定休(サウナ部は水曜日定休)

記念湯
記念湯
浴場いっぱいに広がる浴槽。ゆったり身体を伸ばせる
 


写真をスライドショーで見る記念湯から、戸越銀座通りを歩いて帰路に就く。
一口に「銭湯」といっても、その歴史も施設の内容もさまざま。
銭湯の広い湯船は、心も身体もリラックスさせてくれるもの。普段は「自宅のお風呂に入浴剤」で我慢するとして、たまにはご近所の銭湯に顔を出してみるのはいかがだろう。

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イラスト/小湊好治 Top of the page

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