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第29回 第1章 心がまえ
   第21項 クレームはメールでは解決しない
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■第1章 心がまえ

 第21項

 クレームはメールでは解決しない

 〜「憎悪メールのスパイラル」にならぬよう、即電話か面談

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■メールで良いのは、クレームメールへの第一返信のみ
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二次クレーム防止のため、クレームメールが到着し次第、トップへの報
告をかねて、お詫びメールを出すべきだと、前回お話しました。

しかしながら、その後は...なるべくはやく
「メール以外の、電話、面談での対応」に移るのが賢明です。

        @      @      @

もちろん、メール返信と、電話は、相前後してもかまいません。

お電話の後、そのタイミングよりはやく出されていたメールに、お客様
が気づいてくだされば、電話とメールの両方で対応したという「誠意」
を感じてくださるかもしれません。



■メールは「じっくり聴く」のが苦手なツール
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クレーム対応の基本は、聴くことだと言われています。

        @      @      @

日本における通販の草分けである名門百貨店の達人からお聴きしたことが
あるのですが、同社においては、コールセンターの人員のなんと半数近く
をクレーム要員にあてているそうです。

そして、ひとたびクレーム電話を取ったら、どんなに自分が正しくとも、
まずは「30分」、お客様のクレームを「否定せずに聴き続ける」そう
です。

その間に、当方は、お客様が、何にお怒りか、何を求めているか感じ取り、
同時に、お客様も、洗いざらい話すことで、まず怒りを鎮めていただく。

そのためには「30分は必要」だという経験則なのでしょう。

        @      @      @

「言葉をはさまずに、ただひたすらに聴く」

残念ながら、メールでは、そんな対応は不可能です。

それに、クレームをするお客様にしても、しゃべるよりもうまく、はやく
メールを打てる人は、まず少ないでしょうから...

クレームメールに書かれている想いは「本当の想い」の「ごく一部」だと、
考えた方がよさそうです。

        @      @      @

ですから、お客様の本心をうかがうために電話や面談が重要になるのです。



■メールでは、申し訳なさそうな声や表情が伝わらない
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残念ながら...メールでは、

本当に申し訳ないと思っていても、電話で聴く声や、実際にお会いした時
の表情ほどには、その気持ちが伝わりません。

一文字一文字、心をこめて打ったとしましても、丁寧に書けば書くほど、
「おわび文例集」をコピーしたような「事務的な印象」を与えかねません。

        @      @      @

また、おそろしいことに...
「おわびメールさえ出しておけばクレーム対応は終わり」だと考えている
安直な人も、世間には多いようです。

        @      @      @

いずれにせよ、お客様が「カッカと興奮している時」に、
妙に「冷たく見えてしまうメール」は、かえって気持ちを逆なですること
が多いので、十分注意が必要です。



■売り言葉に買い言葉になりやすい
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最悪なのは、いきなり「言い訳メール」をお送りすることです。

        @      @      @

「お客様の不満を、まずお聴きして」、気持ちを鎮めていただく前に、
いきなり、自分たちの「言い訳めいたこと」をメールで書いたら大変です。

かなりの確率で、「売り言葉」に「買い言葉」となって、
果てしない「ネット上の口げんか」に発展してしまいそうです。

前にもお話しました通り、メールは、一歩間違うと、憎悪が憎悪を生む
「憎悪メールのスパイラル」を生みやすいのです。

        @      @      @

そのあげく、その企業に対する「誹謗中傷」が、メーリングリストや掲示
板でまで書く連ねられることになります。



■本人のメール&電話の後、トップから電話、本人が電話か訪問
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ですから...

1)クレーム直後に、第一返信メールを出してトップと上司に報告
  すぐお電話をして、お怒りを静めつつご希望をうかがい
  
2)トップや上司と相談した上で善後策を決定。
  場合によってはトップや上司から電話をする

3)その後、担当者本人が、まだ電話か訪問をして、
  具体的な解決に入る

というのが、クレームメールの正しい対応でありましょう。



■抜本的解決策導入後のお礼メール
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クレーム対応の後は、そのお客様とコンタクトするのは、気が引ける
ものです。

しかし、ここまでの対応が迅速に出来ていれば、むしろお客様は、以前
よりも、さらに信頼してくださっているはずです。

他のご贔屓のお客様同様に、あるいはそれ以上に、積極的にコンタクト
すべきでしょう。

        @      @      @

そして、きっと何より喜ばれるのは、そのクレームを契機に、
会社の仕組みを改善、改革し、そのお礼を伝えることです。


「○○様には、前回、大変ご迷惑をおかけしました。

 二度とこのようなことがないように、このたび弊社では、
 新しい仕組みを導入することになりました。
 
 今後は、よりよいサービスをご提供できるかと存じます。
 
 これも、○○様のおかげでございます。
 どうも、ありがとうございました。」


こんな、メールが本人、そしてトップから届けば、
お客様も「特別な感情」を抱いていただけるかもしれません。


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