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◆ 好調なデルコンピューター
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◆ シェアを伸ばすデルコンピューター

このところ、アメリカではデルコンピューターの話題に事欠かない。社長の マイケル・デルがテレビに出ない日は珍しいと言っていいくらいだ。株価も ついに30ドルまで戻った。一時は19ドル台まで落ちていたので、ここで少し 持ち株を売って現金を作った人も多いと言う話だ。マイケル・デルは以前HP とコンパックの合併の話が持ち上がった時に、これはマーケットシェアを伸 ばす絶好の機会だと何度も話していたがその通りになった。全体のPCマーケ ットがほとんど拡大していない中で、ゲートウエイを始めHPなどのシェアを 奪って拡大していく手並みは、並の者ではない。筆者は未だにデルの製品を 買ったことがないが、デルのサイトはいつでもPCを買うときの参考として、 アメリカ版のみならず日本版も読んでいる。

◆ 法人向けPCはIBMかデルしかない?

今時、会社のPCとしてはIBMかデルしか選択がないようだ。筆者の会社はIB MのノートPCが(600シリーズ以来)メインのPCとなっているが、他の会社で はデルを使っているケースが多いようだ。筆者は個人用として現在使用中のPC はソニーのバイオノートで、その前は長い間IBMのノートPCを初期から使って いた。IBMの場合、アメリカで買った英語版かつ101タイプキーボード製品でも、 日本語のOSさえ用意すれば日本語のドライバーはダウンロード・サイトから無 料でダウンロードしてインストールできるのでとても便利である。以前は英語 と日本語と両方のOSを1台のPCにインストールしていたので、このサービスが あるがために高額のIBMを買い続けていたくらいである。試したことはないが デルの日本版サイトには日本語ドライバーがダウンロードできるようになって いるみたいなので、IBMと同様のことができるものと思われる。 

当たり前のような話だがソニーも東芝もこのようなサービスは行っていない。 東芝は以前から海外向けを販売するサイトがあるがこのようなサービスはして いないし、ソニーは有料で101キーボードへの交換を行っているくせにドライ バーは何一つダウンロードできるようにはなっていない。

◆ 売れ筋に絞る製品戦略

さてそのデルコンピューターだが、最近買った人の話では、ペンティアム4マ シンで700ドル台で買えるそうだ。また現在デルコンピューターはアメリカ でかなり頻繁にTVコマーシャルを流しているが、その内容はデルがいかにお 客様の話を聞いているかをアピールする内容だ。アメリカ市場ではノートPCは いわゆるオールインワンのやや厚手の2ないし3スピンドルのものが一番売れ筋 だが、デルはこの分野にのみ特化しているようだ。他社のようにあらゆるタイ プのノートPCを販売はしていないのも、儲かる秘密かもしれない。

IBMは以前、コンシューマー向けのPCを製造販売していたが、今は止めているの も、デルから教わったのかもしれない。確かIBMは、PCの部品についてデルに納 入する長期契約を結んでいると思うが。

◆ PDA市場に進出したデルコンピューター

今回、噂通りポケットPCを300ドル以下で売り出した。これはポケットPCでも新 しい商品の分野(普及版?)で、今のところ競合相手はパームしかいないと筆者 は見ている。なぜならソニーも東芝もカシオも600ドル台でかつ機能てんこ盛り であり、客層が異なるため、直接には競争相手とはならないと考える。なぜパ ームが競合するかというと、これからパームが本格的に取り組もうとしている企 業向けで、このシンプルなポケットPCが立ちはだかるのではないかと見ている。 以前お話したと思うが、シリコンバレーでPDA購入の補助金を出した時、補助金 は確か200ドルだったと記憶する。デルのポケットPCはここを正しく狙っている だけでのみならず、クリスマスセールでは200から300ドルが、一番買いやすい贈 り物でもある事を見抜いての価格設定と見た。

◆ デルの戦略

デルではモニター、キーボードなども自社ブランド・バンドルされており、プ リンターやデジカメなどはメーカー品であるがこれも自社ブランドにするとい う噂は絶えない。最近では特定のTVショッピングで特別な安売りを行っている のを見かけるようにもなった。つまり儲かるチャンスは絶対見逃さないのがデ ルの商法といえようか。つい先日のTVインタビューでもマイケル・デルは利益 率20%をキープすると言っており、今時パソコン商売でそれだけの黒字が出る 会社はデル以外にはいないのではないかとさえ思ってしまう。もちろんサーバー やそのサービス関連での利益がこれに寄与しているとは思うが。

デルはまた部品購入で、他社がやらない方法をかなり取っているようだ。ひと つはウインテル(マイクロソフトとインテル)のみを使用し、他社製品には目 もくれていない。1説には、マイケル・デルが電話をしたら、ビル・ゲーツや クレーグ・バレットは即座に電話を取るし、その要求(原価低減のアイデアが 主だそうだが)は必ず実現されるそうだ。

2つ目は、徹底した流通在庫の圧縮である。日本でもやっとSupply Chain Manage mentを取り入れ始めているようだが、このコンセプトはアメリカではもう10年近 く前に注目されたものだ。日本で花開いたデミング博士の品質管理理論はアメリ カでは1990年頃からアメリカ版に焼き直され、その前後には有名なパラダイムシ フトと言う発想が生まれて、日本を追い抜いて一番に返り咲くということが可能 になったわけである。

さて、日本が再び名実ともに経済大国に戻るための理論や思想はあるのだろうか?


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