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◆ コンテンツ・ビジネス
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◆ アメリカでも日本製コンテンツ

日本のコンテンツがアメリカを初めとして、海外に多く輸出されているのは周知の事実である。アメリカで一番多く目に付くのがアニメで、放送されている殆どが日本製といって良いだろう。またゲームソフトも日本製が多く、時々テレビコマーシャルが日本語で流れているのがご愛嬌だ。ゲーム機は日本製が幅を利かせ、任天堂のゲームボーイはどこの家庭へ行っても見掛けるし、ソニーのプレイステーション2のテレビコマーシャルは1時間おき位の感じで流れている。但し、アメリカ人の友人家庭の一部では、テレビそしてゲーム機をなるべく買わないとか、使わせないといった家庭もある。子供の教育のためには、本を読ませた方が良いという理念に基づくものだが、それはそれで納得出来る。

パロアルトにあるスタンフォード大学の近くの、カリフォルニア・ストリートに、古くから漫画専門店があり、ここには日本の漫画が一杯ある。もちろんアメリカ本来のコミックブックもあるのだが。昔、シンガポールに仕事で行った時、紀伊国屋書店があり、漫画をむさぼり読んでいる現地の子供をたくさん見掛けたことを思い出す。テレビに目を向ければ、筆者も時々見るFoodチャンネルでは、アイアンシェフを毎週の様に放送している。なかなか素晴らしい英語のナレーションが日本語版と同じく、堂に入っており、どうやら英訳とナレーションも日本で行っているのではないかと思ったりしている。

◆ 日本製コンテンツはケータイ向けにも売れるか?

これらの事実から、日本のコンテンツは売れると考えるのは当然であろうが、ケータイのコンテンツとなると話が違って来る。アメリカより先に、ヨーロッパや中国でコンテンツの販売を狙っている日本の会社があるということだが、商売が伸びていると言う話はまだ聞こえて来ない。殆どの会社は、ケータイ向けゲームのコンテンツを売ろうとしているらしいが、コンテンツだけで商売が進むというのは少々無理というもので、ソフトウエアの販売がお判りになっていないとしか思えない。

ソフトとハードは表裏一体であって、魅力的なハード(単に安いというだけの場合も多いが)の上にキラーアプリと呼ばれるソフトがあって初めて商売になるというのは、最早常識である。パソコン、ゲーム機、最近ではDVDがそれに当たる。DVDは、アメリカでは当初のマーケティングの予測より5年近くも遅れて、今、花が開こうとしている。筆者はDVDプレイヤーが最近まで高価だったのが原因ではないかとみている。今は100ドル以下で手に入る。

ヨーロッパと中国の携帯電話の使われ方を見てみると、アメリカと余り変わらず、第一に電話そして第二にSMS(ショートメッセージ)だという。たいていの人はページャーから携帯電話にアップグレードしている訳だからSMSが電話の次に使われるのは当然だろう。世界どこでもSMS サービスは通常のサービスで3Gサービスは要らない。さて、この先が問題となる。明らかにカメラ搭載の携帯電話というのが次のステップかと思うのだが、アメリカではカメラや録音機の持ち込みや使用を禁止しているオフィスや官公庁が多いので、カメラ付きを買うのは二の足を踏むことも多いと聞く。

その次がBREWテクノロジなどを採用したオンラインゲームとなるが、この場合、対象の顧客がどのような年代の人かというところで、日本との違いがかなりはっきりしてくる。ヨーロッパでは高校生あたりでも携帯電話を持っている人がいるらしいが、アメリカではまずいない。大学生でも持っている人はかなり稀になる。最近アメリカでも家族割引が広まりだしているので、家族や家を離れている大学生に広まる可能性はあるが、日本と違って18才になれば自活させるアメリカの習慣(最近はだいぶ変わってきたが)では、家族割引の無料電話がせいぜいで、それ以上に消費できる金銭は持っていないだろう。

となると対象の顧客は一般の勤め人となるが、通勤を考えても、勤務後を考えても、日本の様にゲームをする時間など、よほどのゲームマニアでもない限り無いと思うので、コンテンツが出荷時に携帯電話に組み込まれている(すなわちスタンドアローン=オンラインゲームではない)のでない限り、需要は限られていると思う。日本のコンテンツプロバイダはそうは見てはいないらしく、要はやる気の問題です、などとの賜って居られるのには人ごとながら心配になる。

◆ 新型ケーターが出ていないアメリカは無線LANにシフトした?

アメリカでは今や携帯電話のコマーシャルもカメラ付きを宣伝する物がいつのまにか消えて、夜間や週末通話無料の拡大とか家族で契約すると本体が無料でかつ使用時間が共用できる、などの実質割引で顧客獲得にやっきになっており、過去3ヶ月で新型の携帯電話機は一種類も発売されていない。携帯電話会社も投資する資金が無くなって来ているらしく、他社と相乗りで新しい基地局の建設をするという発表が最近増えて来ている。どうやら高速データ通信の方向は無線LANに完全に移った様で、無線LANに特化したISPやそのウエブサイト・コンテンツが、これからの注目らしく、以前と比べて大幅に減少したベンチャーキャピタルも、その方面の会社に重点的に投資していることから、いかにその方面がいわゆるホットであるかを物語っていると言える。

さて筆者の見方が正しいのか、はたまたビジネスプラン無しにやる気だけで商売を進展させようとしている日本のコンテンツプロバイダの方が正しいのかは、今年末に再度取り上げさせて頂くとして、最後にビジネスプランの正しい使い方について、ご紹介して終わりにしたい。筆者も知らなかったのだが、アメリカの国立公園(National park)は独立採算なのだそうだ。そのため維持が困難になった国立公園も多く、どうやって維持するかが最大の問題となっている。最近ではMBAの卒業生を雇って、ビジネスプランを作成させ、それに基づいて、再び維持できるようになった公園も多くなったそうだ。サンフランシスコの陸軍跡地のPresidioも国立公園となったが、独立採算にするための各種の案が出されている。結論に至っていないが、ジョージ・ルーカスが提案した映画テーマパークなど良い案だと思っている。


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