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◆ 語学力について
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◆ 英語力上達のヒント
英語が重要だと言われて久しいが、今アメリカに来ている一般の日本人で(自
分の知っている限りでは)まともに英語で話ができる人はそれほど多くないよ
うに思う。ここでは私の経験から、いくつかの語学力あるいは総合英語力のヒ
ントを述べてみるので、(私がそうであったように)この中から自分がなるほ
どと思ったことだけ、実践して頂ければ、必ず上達する(最悪、上達した気に
はなる)と確信する。
ソニーの故盛田さんは、アメリカではかなり有名であったことはご存知だろう
か?特に話が非常にうまいと言う評判であった。ある時、テレビで盛田さんと
アメリカ人のインタビューワとが会話しているのを見る機会があって、なるほ
どこれはさすがだと思った。英語そのものは決してお世辞にもうまいと言える
ものでは無かったが、インタビューワの話しに即応して相槌を打ったり、すぐ
返事をするので、会話が途切れず見ていて好感が持てた。また、返事が極めて
アメリカ的な論理で、アメリカ人に理解しやすいものであった。アメリカ人と
話をする時に、相手の話の切れ目をうまく探し、すかさず反応することがまず
重要であり、返事や意見は論理的にする必要があるが、盛田さんはまさしくこ
れを実践しておられた。
◆ アメリカ人の論理
論理的という意味は、まず結論を先に言うことである。論点がいくつもある時
は、まずいくつあるか、先に言うこと(箇条書き)が必要である。日本的にだ
らだら話しをして結論がなんだか良く判らないとか、論点がいくつあるのか判
らないようだと、アメリカ人はもう話を聞こうとしない。最後に述べたい結論
が尤もなことであっても、もうアメリカ人には聞こえていないのである。私は
重要な話をする時は、必ず何日もかけて話す内容を書き出し、論点をまとめあ
げてから話すようにしている。こうするとおのずと結論として言いたいことも
はっきりとして来る。
◆ 会話中はメモを取る
また会話中はメモを取る、あるいは(最悪)メモを取るふりをすることも、ア
メリカ人にはこの(日本)人は話を理解しようとしている、と受け止められ好
印象を持たれる可能性が高い。会議中に会話のなかで判らないことがあったり、
はっきりしない時は、すぐに質問し返さないと、アメリカ人は相手が理解した
(つまり納得した)とみなしてしまい勝ちである。Yesと言うのは理解した了解
したと受け取られるので、聞き流すのであればI hear youなどと言っておくのが
無難だが、ある場面では勇気を奮って No, I do not understand と言わなく
てはいけない。
◆ 英語の知識と英会話能力は違う
ここまで到達する前に、まず基本的な英語の知識が必要なのは言うまでもないが、
それだけでは会話はできないし、盛田さんの例でもお判りの様に、英語の知識だ
けが全てではない。私も英語の知識がすばらしい日本人を何人も知っているが、
それらの人でもアメリカ人からあいつは何を言っているのかぜんぜん判らないの
で通訳して欲しいと言われたことが何度もある。私自身の英語能力は、お世辞に
も人に言えた代物ではないので(一度も語学学校とかレッスンに通ったことがな
いし、文法は全くだめ)通訳してくれなどと言われると身が細る思いではある。
◆ 最初の外国旅行で知らされた英語の汎用性
私は大学時代、ドイツ語を第二外国語として選択し、専門が化学系であったので、
必然的にドイツ語学習に力を入れた。前の会社に入ってまもなく、ヨーロッパに
スキーツアーに出掛けたのも、ドイツ語を試したいのが隠された目的であったが、
初日からその思いは見事に崩された。フランクフルトから国際列車に乗った迄は
良かったが、目的地のオーストリアに行くため、列車の乗換駅を年取った車掌に
(もちろんドイツ語で)聞いたのだが、さっぱり理解されず、結局夕方になって
から国境の小さい駅で降りる羽目になってしまった。この時、助けてもらったの
が若いドイツ人の学生で、片言の英語で会話をして、そこの国境の駅で降りない
と乗り継ぎが出来ないと教えてもらったのである。この時に、汎用語としての英
語の重要性を、身をもって理解したのである。
◆ 語学力瞬間上達法との出会い
それでもすぐに英会話を勉強しようという気にはならずに、その後アメリカ製の
製造装置の購入などでアメリカ人と話をする機会が増え、又アメリカにも何回か
出張するようになって語学力をなんとか向上させなくてはと思うようになったが、
その時間もなく過ごしているうちに、ある時、語学力瞬間上達のセミナーがある
というので聴きにいった。講師の名前は忘れた(申し訳ない)が、そのヒントで
目から鱗が落ちる思いであった。すなわち話をする時、細かいことにこだわらず
必要な単語を並べていけば良いという論理で、確かシャドウメソッドとか称して
いた。すなわち薄暗くなった時見えるのは山とか空であって、細かい道とか標識
とかは見えない。文法にこだわって助動詞とかの順番を考えているうちに会話が
進まなくなってしまう方がもっと問題だというのである。元々文法が苦手だった
せいもあるが頗る感激して、単語を並べる方式の英語でどんどん話を始めてみると、
これがなかなか良く通じる(とその時は思った)。
◆ シャドウ方式の限界を知る
アメリカの会社の日本法人に就職した時も、最初は語学力があまり問題にならず
に過ごしていたが、ある日突然、同僚のアメリカ人が Say againと言い始めた。
始め、何のことかさっぱりわからず繰り返し話をしているうちに判ったのは、今
まで(何日も)ぜんぜん話が通じていなくて、このアメリカ人は私の英語が判ら
ないので聞いたふりをしていたそうであるが、私が何か重要な内容を話し始めた
らしいので、本当に内容を理解したくなってSay againと言って聞き始めたそう
である。これは私にはかなりのショックであった。シャドウ方式では本当にアメ
リカ人に理解させることは難しいと悟らされた瞬間であった。考えて見ると今迄
はこちらがお客様の立場であったので、アメリカ人も一生懸命こちらを理解しよ
うとしていたで、仕事仲間となればよっぽどのことがなければ、理解させるのは
こちらの責任であった。
◆ 英語環境に浸れば上達するか?
これを機に、やはりアメリカに行って英語に浸らないと本当の語学力は身に付か
ないと思い始めたところ、アメリカに居る上司の一人から一時アメリカに来ない
かという電話があって即OKした。最初の2年間は田舎の工場で勤務したのだが、
やはり語学力のハンディキャップはとても大きく、かなりいじけた毎日を過ごし
ていた。当時そこには日本人はおろかアジア人も見当らなかった。特に工場のテ
クニシャンやスーパーバイザーは、やたらにスラングを使うが、最初の頃は良く
わからないまま一緒になって馬鹿笑いしていた。
◆ 英語で話す時は頭のスイッチを英語にする
ある日(忘れもしない)マクドナルドの店で同僚たちと昼飯を食べている時、突
然後ろのテーブルで話している会話が耳に入った。あんな馬鹿なことをよく話し
ているもんだと思った瞬間、待てよあれは英語だったのだが、どうして理解でき
たのか?と思っている間もどんどん色んな会話が聞こえて来るようになった。こ
れが私にとってのターニングポイントであって、英語を話す時は頭のスイッチを
英語に、そして日本語を話す時は日本語に切り替えることを学んだ大変重要な第
一歩であった。つまり、もはや頭の中で翻訳する必要が無くなったわけである。
◆ 発音のこと
とは言うものの、その後、フリーマーケットで買物をしようとした時、何度しゃ
べっても判ってもらえず、メキシコ系のおばさん相手に四苦八苦させられたこと
を今でも覚えている。またカリフォルニアの本社工場で勤務し始めてから発音も
かなりカリフォルニア訛りでうまくなったと思って、冗談抜きで同僚の生粋のカ
リフォルニアンに「おれの発音はどうだ」と聞いたところあっさりと「うん、極
めて日本人的な発音だね」と言われて、まだまだ奥は深いと改めて実感させられ
た次第であった。
発音については、アメリカ人(アメリカで育って教育を受けた人で、できれば白
人)の友達を見つけて発音を聞いてもらうことをお勧めする。カリフォルニアな
ど移民が多く、各国の訛りとか、でたらめな発音であっても結構通じるので、通
じたとしても正しい発音でないことがあることに注意が必要である。サンフラン
シスコ市内にエクスプラトリアムと言う科学博物館兼学習所みたいなものがあっ
て、ここには世界各地の英語の発音が聞ける装置があったが、アメリカ国内でも
こんなに発音が違うのかとびっくりさせられた記憶がある。南部の英語は私には
全く何をしゃべっているのかさっぱり判らなかった。しかしアメリカ英語(米語)
は私に言わせればかなりでたらめではある。例えば、同僚に明日仕事に来るのか
と聞く時、一般的には Are you coming (to work) tomorrow? であるが文法的
にはWill youというべきであろう。こんな例はいくらでもある。
◆ ビジネス英語で重要なこと
次に、仕事上での会話について、いくつかの重要なポイントをお話したい。まず、
話をすることと、説得することは全く違うということである。アメリカ人(少な
くともアメリカで育って、小学校から教育を受けた人)は人を説得する教育を、
そしてそれに反論する教育を繰り返し受けているので、日本人(あるいはアメリ
カ人以外)がアメリカ人を説得しようと言う時はそれなりの準備が必要である。
アメリカでもかなり有名なTVレポーターの中国系アメリカ人が、ある講演で
「アメリカ人と対等であると思ってはいけない、それ以上の何かをしないと決し
て対等には議論は出来ない」と言っていたのが今でも印象に残っている。それに
はまず、アメリカ人の論理方式に則って主張を組み立て、結論ははっきりと最初
に述べることが肝心だ。図やデータなどを示して論理や主張を正当立てるのも良
いが、数字がおかしい場合など、質問されて逆に命取りになることもあるので注
意が必要だ。Dry runといった予行演習を仲間内で行って、問題のある部分を予め
取り除くなり Back upといって補足資料を予め用意して、想定される質問に備え
ることも必要となろう。
相手が自分の主張に合意したと思った時でも、自分の理解した相手の主張を再度
述べて確認を取るだけでなく、文書にしてサインを求めることも、たまにではあ
るが必要となる。
◆ 会議での暗黙のマナー
次に、意見が合わなかった場合やこちらが即答できない場合の対処も重要で、こ
れが一歩間違うと、とんでもない羽目になる。まず、意見が合わず会議の時間も
限られている場合は、Off-lineにしましょうと言って当事者同士の話で決着をつ
けることにする。
会議の席上で長々と議論をすることは、アメリカの場合許されることではない。
また議論が合わず口論となった場合や部下や上司と話が合わなくなった場合は、
別室で議論をすることが重要であり、会議の席上や廊下でそのような口論をする
のは極力慎まなければならない。日本企業の社員の経験がある人は特に気をつけ
ないと、周りのアメリカ人から冷たい目で見られる羽目にもなる。
◆ 議論と人間性とは無関係
私の場合も、議論が合わない人がいたが、幸い私の上司が「それではいけない、
毎週会って話をしなさい」といって旅費(相手はアリゾナ州で、私はカリフォル
ニア州)を出してくれて毎週会いに行かされた。最初はかなりつらかった。何せ、
話したくないほど嫌な人間だったからだ。しかし会って議論をした後、その相手
が言った言葉は今でも覚えている。「ビールでも飲みに行こうか」だった。アリ
ゾナ州は暑いせいかビールがとてもおいしく感じるが、それ以上に感じたのは、
議論は議論で意見の一致を見る必要はない、そしてそれは相手の人間性とは無関
係だ、と言うことだった。その人間とは今でも付き合っている。相手の議論には
今でも納得していないし相手も私の主張には納得していないが、公私ともに付き
合う上で何の問題も無くなった。
語学力向上には、総合学習(アメリカ文化の理解と実践)が必要であるというの
が私の経験から来る結論である。
◆ 英語文章の書き方
最後に、文章を書く場合だが、仕事の文章とそれ以外の日常の文章とは全く違う
のは日本と同じで、それぞれの雛形を参照して(会社であればTemplateが揃って
いるはずだが、日常の手紙等の文章は例文を満載した本などを参照すれば良い)
書いてみてから念のため、知り合いの外国人や英語に強い人に見せて、意見を聞
いてみるのも良いだろう。銀行・証券関係などは、私はいつもメールでどういう
文面書式にすれば良いのか尋ねているが、たいていの場合丁寧に教えてくれる。
私自身、部下の業績評価文書とか履歴書とかも、余り得意では無いが、たまに知
り合いの秘書が校正をしてくれることがあり、このような場合は自分でもびっく
りするくらい大変立派な文書になる。今では業績評価とか履歴書などは、パソコ
ンのソフトで良いものがたくさんあり、これを利用すると私でもかなりまともな
文章が書けるようにはなったが・・・。
次はe Ticket について。
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