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◆ eチケットについて
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◆ アメリカの現状

eチケットとは一般に電子化されたチケットの意味で、航空業界で最も広く用いられ ているようである。そして、航空会社ごと(あるいは旅行代理店ごと)のナンバー (ファイル・ロケーターとかチケット・ナンバーとか呼んでいる)が、紙の切符の代わりになっている。一昔前のように航空券を郵送で送って貰う煩わしさが無い上、空港 では(まだ大都市のみだが)専用のカウンター(端末)に行き、自分でチェックインで きるし、席も自由に選べる。空港によっては(また航空会社によっては)コンピュー ター端末に慣れていない人のために係員を置いているところもある。ちょうど日本の 銀行ATMのようで面白い光景であった。
Frequent Flyerプログラムに加入していて、ある程度のプレミアム・ステータスの人 は、チェックイン・カウンターで優先的にチェックインすることができるが、eチケットにより、自分でチェックインする方がもっと簡単で便利である。もっとも先日フェニックス空港でアメリカウエスト航空に乗る時(金曜日の夕方ではあったが)、12台位あった eチケットの端末が順番待ちで少々びっくりしたが、それほど一般化しているという ことだろう。アメリカでeチケットが一般化したのはそれほど古くないと記憶するが、 最初は国際線とか大手の航空会社だけだったように記憶する。今はほとんどの航 空会社がeチケットになったようである。もちろん紙のチケットで発券して貰うこともで きるが、旅行代理店などは面倒くさがる。一昔前はアメリカの航空券予約は一握り の大手が所有するシステムに依存していたため、よくオーバー・ブッキングとか直 前フライト・キャンセルなどが日常茶飯事で有った事を考えると、大型コンピュータ ー・システムに依存しない各社独自の小型コンピューター・システムとか、それを 使った顧客サービスの改善という点で航空業界もITを大いに活用しているようである。

◆ 出張社員へのアメリカ大企業の待遇

アメリカ国内のビジネス・トリップは。このeチケットで格段に便利になったと言える。 私が今勤めている会社では、更に主要なサイト間の異動は専用のチャーター便を 使っている。ターミナルも一般のとは違い、会社の前からシャトルバスで専用ターミ ナルに直接行くので、待ち時間はゼロかつ面倒なセキュリティー・チェックも無い。 車は会社の駐車場に止めておけばよいので、空港の駐車場と比べ、料金も掛から ずかつ安心感も高い。アメリカは、民間の小型機専用飛行場は各所に相当な数あ るので、会社のすぐ近くの飛行場が使える。その点でも時間短縮効果は大きい。 会社のこうしたサービスが無くても、以前はサンノゼ空港など出発15分くらい前に ゲートに行けば良かったものだが、今では最低1時間、ラッシュアワー(夕方)の時 間帯など、2時間くらい前に空港に行っていないと、駐車場も満員で、チェックイン・ カウンターやセキュリティー・ポイントは、長蛇の列でかなりあせってしまう。 さて出張の後の経費精算だが、私の会社ではMSアクセスを使った専用ソフトを使っ ており、自分のノートPCにダウンロードすれば、いつでもどこでも経費精算が簡単に でき、かつツールバーの上司の承認というところをクリックすれば上司に清算書が送 られ、すぐに承認を貰うことができる。これも昔に比べれば格段の進歩と言える。まあ コピーにレシートをつけて経理部門に送らなければならないのが唯一残っているペー パーワークだが。

◆ 航空会社のサービス

米国航空会社のサービスのひとつに、搭乗予定飛行機の案内をページャーないし は携帯電話のショートメールに送ってくれるものがあり、ゲートの変更とか予定時間 の変更など、いちいち問い合わせせずに済むのは便利だ。 あらかじめ各航空会社 のサイトで設定しておくだけで、チケットを買った時点から自動的に送信し初めてくれ るし、何時間前とか何日前に案内が欲しいか指定もできる。携帯王国の日本だから、 こういうサービスは既に実施されているのではないかと思うがどうであろうか。

◆ 空港でのセキュリティーについて

航空会社、飛行場とくれば今一番の関心はセキュリティーの問題であろう。アメリカ の空港は連邦政府の職員によるセキュリティー・チェックに変わる事になっている (実際には11月までに、全て置き換わる事になっている)。今までは空港が委託し た会社がセキュリティー・チェックをしていたのだが、安い給料の関係から、ほとんど がアメリカ市民権を持たない移民(アジア系が多い)であった上、バックグラウンド・ チェック(信用調査)もされていなかったため、かなりの数のセキュリティーが犯罪暦 のある人であることが判ってしまったからだ。
9月11日以降、国内線のセキュリティーはかなり良く(きつく)なった。以前は2−3週 間もすれば元に戻ってしまったものだが、今回はどんどんきつくなる一方だ。まずパ ソコンはケースから出して単独でX線検査に掛けるようになった。手荷物にハサミと かナイフといった、例え小さいものでも刃物が見つかれば没収されてしまう。特定の 靴をはいていたなら脱がされて検査される。帽子をかぶっていれば、取らなくてはい けないし、ズボンのベルトのバックルもはずさないといけない。 今や国際線の方が セキュリティー・チェックが甘く感じるほどである。搭乗ゲートではIDを見せないと搭 乗できないし、その場で突然手荷物検査を要求されることもある。
連邦職員になって何が変わったのか、今週の最新情報をお教えしよう。なんと9月 29日現在、連邦職員は5万人必要なのに対し1万人強しか(雇われて訓練を受け) 業務に就いていないそうだ。緊急に雇わなければならないので、給料はボーナスも 含めて一般の警察官などよりかなり良いらしく、警察官を辞める人が多くて、都市に よっては深刻な問題ともなっている。つまり、まだほとんどの空港では従来のままの セキュリティーであるということだ。ただし犯罪歴のある人はもういない。このバック グラウンド・チェックやセキュリティーのシステムで、サンノゼにある会社が一躍脚光 を浴びたのは、ちょっとびっくりしたというか、さすがシリコンバレーで、新しい物には何でも手掛けているのだなあと思った。
刃物はさておき、9月11日以降、手荷物検査で見つかり没収された銃は500丁にも のぼるという。何と一日一丁以上持ち込まれていることになる。もちろんほとんどが、 ついうっかりバッグの中に入れたまま忘れてセキュリティー・チェック・ポイントまで 来てしまった人のようであるが、これではイスラエルのテルアビブ空港での入出国 の際の質問がアメリカでも必要なようだ。その質問とは「あなたは銃火器をスーツ ケースに入れてありませんか」 というもので、イスラエルのようにほぼ全員が軍隊 に所属し、弾薬が装填されたままのウージーを街中で持ち歩いている国では納得 の行く質問と思ったものだが、今更ながら銃王国のアメリカを思い知らされた。これ を更に裏付ける例として、最近アリゾナ州で車の修理工場に行った時に見た、修理 に際しての注意書きの2番目に「車内にある銃火器は持ち帰ってください。当工場 は残された銃火器についてのいかなる責任も持ちません」と書いてあった。アメリカ のほとんどの州では銃火器を車内に置いておくことは法律で禁止されているのだが、 今でも車のダッシュボードにピストルを入れている人は少なくないらしい。困ったも のだ。逆に言えば飛行場や飛行機の中が今や一番安全な場所になったと言えるの かも知れない。

◆ レンタカー事情

最近、飛行場でもう一つ気がついたことが、レンタカーが置いてある場所で、空港 内では無くてすこし離れた場所にまとまってレンタカー・センターになっている飛行 場が多くなってきた。昔は出口から出て直ぐのところでレンタカーに乗れたものだが、 今はほとんどの空港でシャトルバスに乗らないとレンタカーのところまで行けなくな った。友人の話ではコストの関係で統合したセンターを、やや離れた場所に設置し ているのだそうだが、この点は不便になったと言わざるを得ない。その代わりと言 ってはなんだが大手のレンタカー会社では町中に多数の営業所を設置している事 が多く、空港で借りてその営業所の一つに返却する、ということもできるようになっ ている。最近それを利用してみたが、すこぶる便利であった。まず、予約の時にレ ンタカー会社のサイトを使うと、地図を参照に、借りる場所と返す場所をそれぞれ 選べる。ハーツの場合、地図検索にはMapQuestを使っているようであった。

具体的には、入力として自分のいる場所の住所とかZip Code(郵便番号)などと、 何マイル以内などの条件を入れてやれば、最寄りの営業所のリストと地図が表示 されてそれから選択できるようになっている。私の場合、自分が行きたい場所の2 ブロック先に営業所を見つけることができ、ここで無事レンタカーの返却をすること ができた。 以前から、特定のレンタカー会社(エンタープライズ社など)では、レン タカーを指定の場所(普通は自宅やホテル)に届けてくれて、引き取りも顧客指定 の場所でできるのが売り物であったが、一般大手もそれに負けないシステムを作 りつつあるようだ。なおガソリンは自分で必ず満タンにして返すことをお勧めする。 以前は使ったマイル数だけガソリン代を取っていたのだが、今は満タン分を請求 される。まあガソリン残量が三分の一以下なら自分で満タンにしなくてもその差額 は数ドル以下であろうが。

◆ 空港内のレストラン事情

最後に、最近空港内のレストランの質が改善されたように思う。これも9月11日以降、 空港に来る人が極端に減ったため、かなりのレストランが廃店ないし改善を余儀なく させられたと言うことのようで、悪名高かったサンフランシスコの国際線ターミナルも、今回食事をしてみて友人ともども、これなら町中とあまり変わらなくなったね、と納得した次第だ。 ちなみに国内線のターミナルには、もともと良いレストランがいっぱいあ る。私のお気に入りの店の一つは、ユナイテッドのターミナル入り口にあるCrab Potと 言うシーフードのレストランである。昔は国内線のセキュリティー・ポイントがずっと 内部の方だったので、国際線のターミナルからでも歩いて行けたのだが、今はレストラ ンの直前にセキュリティー・ポイントが移ってしまい、チケットが無いとレストランに は行けなくなってしまった。国際線のターミナルでは、以前からもレストランはセキュ リティー・ポイントの直前にあったので、国内線のターミナルの設計がセキュリティー に考慮していなかった一つの例でもある。

次回は eラーニングについて。


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