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なるほどテクノロジー
デジタルビデオレコーダと「EPG」の秘密に迫る

デジタルビデオレコーダは、これからの「一家に一台」といわれるデジタル機器の一つで、DVDやHDD(ハードディスク)といったデジタルメディアにテレビを録画できる機器の総称です。
CMや雑誌で話題となっている「DVD&HDDレコーダ」はその機能の便利さから今までの「VHSビデオ」にとってかわるこれからの時代の「ビデオ」なのです。なぜ、これほどデジタルビデオレコーダが注目されているのでしょう。
それには、デジタルビデオレコーダに搭載された「EPG」に秘密があるようです。


ヒットの理由は「VHSビデオより簡単」!?

デジタルレコーダの接続方法は今までの「VHSビデオ」と同じです。ただしセッティングだけでは、見られる番組が増えるわけではありません。とはいえDVDレコーダは録画したり、それを再生するだけではなく、市販やレンタル店のDVDビデオを楽しむこともできます。
しかし、飽くまでも「レコーダ」ですので「録画」して、初めて使いこなしていると言えるでしょう。このデジタルビデオレコーダの革命的な機能をご紹介します。

■画面上でテレビ番組覧

一般的なデジタルビデオレコーダでは「EPG」とよばれる機能を搭載しています。この機能によってテレビ上に新聞のテレビ覧のような画面が表示されます。この画面を見れば、リモコンのボタンひとつで、今見ている番組でも、向こう一週間の番組でも難しいチャンネル設定や時間設定をすることなく録画ができるのです。

■撮り貯めた番組も簡単整理

HDDによって大量に録画された番組に記録されるのは映像と音だけではありません。録画時間やテレビ番組情報(番組タイトルやジャンル)が同時に記録されます。これによって大量に録画した番組も一覧表示され「3日前に録画したドラマ…」といった感じで簡単に探して、すぐに再生が可能となります。
デジタルビデオレコーダはテレビの番組ガイドという「情報」とデジタルメディアという「技術」が見事に融合しているのです。


核となっている「EPG」とは?

この情報と技術の融合が、具体的な形で表れているのがEPGです。これは「Electric Program Guide」の略称で「電子番組表」とも呼ばれています。
現在、地上波(アナログ)の番組データを配信するEPGサービスにはテレビ朝日系列で配信されている「ADAMS」とTBS系列中心で配信されている「Gガイド」の2つがあり、デジタルビデオレコーダメーカーによって採用しているサービスが分かれますが、どちらも新聞のテレビ番組表以上の詳細な情報を配信しているのが特徴です。

■EPGの配信方法

EPGの配信にはVBI(バーティカル・ブランキング・インターバル)と呼ばれる、放送局からの電波の隙間が利用されています。国内のテレビ放送では1/60秒の間に262本の水平走査線を描いていますが、この内最初の21本はモニターの制御信号として使われている部分です。これをVBI領域と呼びます。この領域のうち8本は使われずに余っているのです。その余った部分に情報を乗せて放送することを多重放送といいます。
多重放送は最初、8本のうちの4本を使って文字情報の配信を行っていましたが、現在は最後の4本を利用して文字以外にもあらゆるデジタルデータが配信されるようになっています。


EPGで配信される情報

EPGによって取得できる番組情報としては「局(チャンネル)・時間帯・番組タイトル・番組ジャンル・出演者・番組の内容詳細」といったものがあります。こういった情報はテレビ番組のようにその度にチャンネルを合わせて受信するのではなく、一日の中で決まった時間に受信が行われ「デジタルビデオレコーダ」内に保存されます。そのため1週間後のある番組のデータを見たいといった場合でも、瞬時に詳細な情報を得ることができるのです。


まとめ

EPGは電波以外の情報配信方法としてインターネットを利用するサービスもあります。また携帯電話は赤外線機能を持っているのでテレビと相性が良く、これを利用したサービスが提供されています。例えば帰宅途中に検索しておき、そのまま携帯電話をリモコン代わりにチャンネルを指示する、といった使い方が代表的ですね。
今後、放送は地上波デジタル・衛星放送・ケーブルテレビ、さらには光ファイバーなどを経由したインターネット配信と多様化していきます。近いうちに視聴者が見ることの出来るチャンネルや番組はかなりの数になることが予想されます。そうなると私達は本当に観たい番組を選択していくことが出来るでしょうか? そんな時に「番組をガイドする」という目的を持った「EPG」が今以上に活躍することでしょう。

 

     
1/60秒の間に262本描かれる水平走査線の内、最初の21本はモニターの制御信号として使われている部分です。これをVBI領域と呼びます。VBI領域で余っている8本のうち最初の4本が文字放送、残りの4本がEPGなどデジタルデータ配信に利用されています。EPGはこの多重放送として電波に乗せて配信されているのです。
情報はテレビ局の番組放送と同時に配信されるためテレビ番組が見られる環境であれば、EPGが受信できるのです。

多重放送はEPG以外にも古くから利用されています。多重放送が最初に利用されたのは1982(昭和57)年で音声多重放送と呼ばれるものです。これは複数の音声を別々に配信するもので、現在でも音楽番組やCMなどでステレオ放送として利用されています。他にも洋画や衛星中継などで、主音声(日本語)と副音声(外国語)を配信して、視聴者が切り替えて利用できるものがあります。その後、文字多重放送が始まり、聴覚に障害がある方でも番組を楽しめる文字放送などで利用されています。


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