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なるほどテクノロジー
プラズマテレビの仕組みに迫る

プラズマや液晶に代表される次世代のテレビは、デジタル家電の代表であり、2004年のアテネオリンピックから普及期に入り、デジタル放送のサッカー中継などを機に、一気に出荷台数が伸びています。 今回は、映像画質・サイズなどの点で秀でているプラズマテレビの仕組みの謎に迫ります。


人気のプラズマテレビとは?

衛星、地上波と相次いでデジタル放送が開始され「ハイビジョン」と呼ばれる、より高品質な映像や音声の放送が行われています。 
高画質な映像を大画面で楽しめる次世代デジタルテレビとして早くから開発が進められたのがプラズマテレビなのです。


他のテレビとの違い

現在、広く製品として普及しているテレビの特徴を比較してみます。

■薄さ

従来のブラウン管型テレビではブラウン管の後ろから電子を放射して画面を描写しています。この仕組みは、画面の大きさに比例して奥行きが必要なため、狭い日本では普及も限られてしまいます。 液晶テレビやプラズマテレビはこの問題を改善し、壁にかけて視聴することも可能な薄さを実現しています。

■大画面化

液晶テレビの場合は大型のパネルを作る設備が必要な事と、全体を均一な明るさで表示する事が難しいため、40インチ以上となるとプラズマテレビの方が価格的にも優位となっています。また、ブラウン管型テレビは画質が粗いことから、大型化してもメリットが少なくなってしまいます。

■画質

液晶テレビは視野角やコントラストの点で弱いといわれています。発色としてはブラウン管型テレビが最も良いのですが、解像度においてはやや劣ります。プラズマテレビは各点において優れています。


発光の仕組みは?

ここまで、プラズマテレビという言葉は何度も出てきましたが、この「プラズマ」というのはどういったものか意外とわからないものです。そこでプラズマの原理を徹底調査してみました。
 
■プラズマとは

プラズマは物質の原子に電気を与えることで強制的に作ることができます。物質が従来帯びているはずの電子が離れてバラバラになっている特別な状態といえます。

■プラズマ発光の仕組み

1.

蛍光物質を含むガラス管などで真空状態を作り、そこにネオンとキセノンガスを混ぜ合わせたガスを封入します。

2.

ガラス管の両極から電圧をかけることで、ネオンやキセノンは電子を失います。この状態がプラズマです。

3.

プラズマは特殊な状態なので、ガラス管の中ですぐに元に戻ります。この電子が元にもどった時、不可視光線である紫外線(光のうち、人が見ることができない波長のエネルギー)が発生します。

4.

ガラス管の蛍光物質に紫外線が触れることで、エネルギーは目に見える波長(光)に代わります。

これがプラズマ発光の仕組みです。
この原理は、身近なところでは蛍光灯にも使われています。プラズマテレビではこの発光するいくつもの小さなガラス管をたくさん並べて光らせる事で映像を表示しています。


まとめ

初めてプラズマテレビが作られたのは、今から40年も前になります。
実用化や製品化という困難な技術を開発したのは、ほとんど日本となっています。現在も日本が最も多くの技術特許を保有し、国際競争力という点でも日本がトップの位置付けといえます。 今後もプラズマテレビが一般家庭にまで普及するための研究は続いており、国家プロジェクトである「省エネ型次世代プラズマディスプレイプロジェクト」を中心に、美しい映像のみならず、液晶と比べて同等以下の消費電力という方向に進化しています。

 

     

プラズマテレビは50インチクラスの大画面で臨場感のある映像を表現しながら、厚さ15センチ以下という設置スペースのため8畳程度の部屋でも壁際に設置して充分な距離で大画面を楽しむことができます。 そして液晶と比べどの角度から見た場合でもほとんど色が薄くならないという特性を持っています。

 
液晶テレビ
角度が浅いと、色が薄く見える
 
プラズマテレビ
角度が浅くても、色が変わらない

比較表
 
薄さ
大画面化
画質
プラズマ
液晶
ブラウン管
×

実際にテレビを選ぶ場合には上記以外に価格や熱効率など基準となる要素がありますが、大画面での画質の良さに関しては現在のところプラズマテレビが一歩リードしていると言えるでしょう


 
ITとこれからのテレビ

現在、NHKと民放キー5局を中心とした地上波アナログ放送ですが、総務省の取り決めにより、後6年程(2011年)で全国的に放送停止することが決まっています。
そうなると今までのテレビでは、番組を見られなくなってしまいます。 その前に、デジタル放送に対応したテレビやチューナーが必要となってきます。
デジタル放送では、より詳細な番組情報や番組表などが同時に配信され、いつでも閲覧できるようになります。 また、最近のデジタルテレビはネットワークポートを備える機種も多く、インターネットに接続して番組表を取得したり、テレビのリモコンを使って視聴側からテレビ局に情報を送るといった参加型の番組サービスなどが考えられています。
現在もテレビは国民の最も活用する総合メディアの位置づけを持っていますが、今後のデジタル化でプラズマテレビが、より暮らしと密着する存在となるでしょう。

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