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なるほどテクノロジー
不思議な四角形「QRコード」の謎に迫る

最近、街で見かける「信号機」が薄型になってきているのをご存じでしょうか。これまでは、いかにも大きなランプが入っているかのようなカタチをしていた信号機ですが、最近はすっかり薄くなっています。その理由は「発光ダイオード」が活躍しているおかげなのです。


リアル連携がキーワード
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diodes)は、半導体を使ったランプのようなものです。
半導体に電流を流すことにより、半導体のなかにある「正孔」と呼ばれる物質と、流れる電子がくっつきます。

それにより発生したエネルギーが「光」に生まれ変わるのです。
大きさは、直径わずか5mm程度。そんなにも小さく、かつ消費電力は白熱電球の約8分の1、蛍光灯の約2分の1程度しかありません。しかも、構造上の寿命は半永久的とも言われています(実際の製品では10万時間程度)。


 LEDの仕組み(概念図)

飛躍的に向上した情報量

発光ダイオードは、1960年代から研究が進み、まず赤色と黄緑色が開発されました。次に、1970年代になると、黄色が開発され、「赤」、「黄緑」、「黄色」が実用化されました。
しかし、青色の製品化は、数多くの研究者が開発を行いましたが、難しいとされてきました。「20世紀中の開発は不可能」とも言われる程で、研究者が相次いで開発を断念。青色発光ダイオードの研究開発をする人も減少してきました。どうしても品質の高いものを作ることができず、また完成しても寿命が短く、到底製品化できるものではなかったからです。
とはいうものの、赤と緑、そしてそこに青が揃えば「光の三原色」が可能となり、様々な表現ができるようになるとされていたので、青色の製品化は業界にとっても悲願とも言うべき課題でした。

 
■三原色の完成

こうした状況の中で、1993(平成5)年に登場したのが日本の科学者です。窒化ガリウム(GaN)を材料とすることで、青色の光を発する発光ダイオードが完成、実用化に成功しました。これにより「光の三原色」が揃うことになり、様々な技術的進化を遂げることができるようになったのです。


 LEDの歴史


まとめ

発光ダイオードは、表示機器での実用化が急速に広まっています。冒頭でご紹介した信号機も、省エネ、長寿命に加え、発光ダイオードのもつ指向性の高さ(光の広がりが小さく、ある方向に光が直進すること)を利用して信号機の性能を高める目的のために、最新型への交換が進んでいるのです。
さらに発光ダイオードは、フルカラーディスプレイなどの表示機器や携帯電話用バックライト光源としても使われています。さらに青色に続いて白色の開発により、照明光源としての用途が期待されています。発光ダイオードは水銀フリーで環境負荷が少ないことからカーナビ、液晶TV、パソコンなどのバックライト光源としての市場も見込まれています。
また同様に自動車のテールランプにも採用されています。これは発光ダイオードの応答速度が従来のものに比べ速いので、ブレーキを踏んでからテールランプが点灯するまでの時間が短くなるため、特に高速走行時での事故防止に期待が高まっているのです。

 

     

色の元「光の三原色」

赤、緑、青を光の三原色と呼びます。赤と緑が重なると黄色に、緑と青が重なるとシアンに、青と赤が重なるとマゼンタになります。そして赤、青、緑が重なると白になります。このように光の色を重ね合わせることで、新たな色をつくることを加色法と言います。
 三原色を混ぜ合わせることで、様々な色を作り出すことができます。テレビなどのディスプレイーは、光の三原色を応用して様々な映像を映し出しています。
  光の三原色


青色発光ダイオードを巡る訴訟合戦

青色発光ダイオードの開発成功は技術的にも大きな話題でしたが、業界では長年、多数の特許侵害訴訟が提起されるなど、先端技術開発競争の激しい分野でもあります。特に、高輝度青色発光ダイオード製造特許の一つである「404特許」を職務発明した日亜化学工業の元社員が、同社を相手取り特許権帰属確認ないし譲渡対価を求めて提訴したのは、社会的も大きな注目を浴びました。

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