“世界一治安のいい国”という日本の安全神話はもはや昔話となり、ここ数年間、侵入盗や強盗は増え続けるばかり。ハウスメーカーや管理会社にとってもセキュリティ対策は欠かせないサービスになっている。
こうした中、注目を集めているのが、前号(ことばの新大陸)でもご紹介した「バイオメトリクス」。指紋や声紋、目の虹彩、顔、手のひらの静脈パターンなど、個人特有の生体情報によって本人を認証するため、これまで一般的だったパスワード入力やICカードを利用する手法と比べ、盗難、偽造、紛失などによる“なりすまし”の心配がないのが特徴だ。
さまざまな種類があるバイオメトリクスの中で、現在最も普及しているのが指紋を使った認証。参入企業が多くコストが安く抑えられること、認証に指の一部分しか使わないため装置を小型化できることなどがその主な理由だが、半面、乾燥指や多汗指の認識が難しく、各メーカーとも認識精度の向上に力を注いでいる。
最近ではマンションやオフィスの入出退管理だけでなく、PCやPDA、携帯電話への搭載も増えている指紋認証。住基ネット問題で心配される行政側の情報漏洩や、病院内でのカルテ改ざんなどを防ぐセキュリティ・システムとして利用されているケースもある。
今後は指紋以外の認証技術の普及が進み、複数のバイオメトリクスを組み合わせた複合認証が一般化することが予想される。
外出時のドアロックも、車のドアを開けてエンジンをかけるのも、ネットショッピングの決済も、すべて自分の指や顔だけで完了する…。そんなことが当り前になる日も近いのかもしれない。
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衣服類や家庭用品から、食品、化粧品、学習教材、貴金属類と、多彩な商品を取り扱う通販業界。衣服類や家庭用品などの分野ではインターネット事業にも力を入れ、消費不況の影響を防いでいるが、苦戦を強いられているのが、学習教材を扱う通信教育の分野。一時は勢いがあった資格講座も今は厳しい状況だ。
通信教育のメリットと言えば、いつでも、どこでも学習できることだが、価格に見合ったサービスが提供されるのか、最後まで一人で続けられるのかといった不安が、利用の際のネックになる。そうした点を考慮したのだろう。“生涯学習のユーキャン”でおなじみの日本通信教育連盟では、受講者向けのコミュニケーションサービス「仲間さがそうネット」に力を入れ始めている。
「仲間さがそうネット」は、受講生同士の交流を目的とした無料のメーリングリストサービスで、自分が受講している講座の受講生や修了生、時には指導部スタッフも交え、テキストの進み具合を報告し合ったり、学習法や資格試験の情報を交換することができる。つまり、通信教育でも、クラスメートとコミュニケーションを取りながら修了を目指せるというわけだ。
現在稼動している62講座のうち利用が活発なのは、あらかじめ環境が整っている「パソコン講座」や「保育士」のような女性が多い講座だが、当初ネットに不向きと思われていた「囲碁」でも参加者が工夫してメーリングリスト上に基盤を作りネット対戦を行うなど、うれしい誤算もあると言う。
独学が不安な人もこれなら安心。本サービスを皮切りに、インターネットを活用した新サービスが誕生することを期待したい。
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